【皮膚科医が警鐘】かかと荒れは足裏の「温度差」が原因?!猛暑日には約40℃差を行き来も
猛暑日には、足は約40℃の温度差を行き来すると言われています。床面の冷気滞留と灼熱アスファルトが引き起こす、かかと荒れの実態について、皮膚科医の野村有子先生が教えてくれました。
ふだん見ることのない足の裏を見て、荒れていることに気づいてあわてたことがあるのではないでしょうか。近年の猛暑によって「かかと荒れ」も深刻化しています。というのも、気温が30℃を超えるとアスファルト路面の温度は60℃以上に達することがあり、一方で冷房の効いた室内では足元に冷気が滞留し、その温度は室温より約3℃低いのが標準です。断熱材のない一般家屋では、この温度差がさらに大きくなる場合もあるようで、昼間、外出を繰り返す場合は、この温度差を一日のうちに何度も体験することになり、特に地面に近い足元は体の中でも過酷な温度差に晒されているといえます。
過酷な温度差が「乾燥」と「血行不良」を深刻に!
皮膚科医の野村有子先生(野村皮膚科医院院長/横浜市)によると、そもそもかかとは
1. 体重の約70%の圧力が常にかかる
2. かかとを含めた足の裏には皮脂腺がなく、乾燥しがちである
3. 体の末端であるため血流が滞りやすい
という特殊な部位で、ガサガサしたり粉を吹いたように白っぽくなったりするのは多くの人が経験したことがあるはず。この「かかと」が、過酷な温度差を一日のうちに幾度となく繰り返すことは、暑さによる発汗が室内で急激に冷やされ、乾燥が加速するだけでなく、急激な温度差により血管の収縮が起きて血行不良を起こし、皮膚の生まれ変わりのサイクル“ターンオーバー”が乱れます。さらに素足になることで外的刺激が加わりやすくなり、角質は厚く硬くなってしまいます。角質が厚いと、保湿成分が行き渡りにくくなるため、クリームを付けても治りにくい状態になってしまいます。
常に負荷がかかる“かかと”はケアしないと治りづらい!
かかとの側面がひび割れて痛みがある方のMRI断層診断による皮膚の画像について野村先生は、「皮膚表面のひび割れは0.7mmの深さであることがわかります。これは角質層を超えている深さです。ここまでの深さの傷がもとに戻るには、何もしないと通常およそ2週間かかるでしょう。しかし、かかとの皮膚に全く負荷をかけずに生活するのは難しいので、実際はそれ以上かかります。つまり、かかとはケアをしないとなかなか改善しない部位といえます。」と解説します。
【セルフケア】症状にあった保湿クリーム選び
かかと荒れのセルフケアは、保湿クリームの選び方、塗り方で、効果が変わります。野村先生は「まず、保湿クリーム選びです。ビタミン配合タイプや尿素配合タイプなどがあるので、成分にも注目しましよう。ビタミンEが配合されたものは、保湿効果だけでなく血行を促進する作用もあるので、冷えが気になる方のかかと荒れケアにおすすめです。尿素配合タイプは角質を柔らかくしますが、深いひび割れには刺激になることがあるので注意が必要です」とアドバイスしています。
【セルフチェック】携帯のカメラ機能を活用した「フットセルフィー」
普段の生活で視界に入る機会が少ないかかとは、気がつくと荒れが重症化していることも。早めに気づいてケアをすることがポイントです。携帯のカメラでかかと撮影して画像を拡大し、荒れていたら保湿ケアをして、さらにチェックをする「フットセルフィー」もおすすめです。カメラで自分の足をチェックすることで、重症化する前に早めのケアを行うことができます。
フットセルフィーの撮影方法
1. 椅子もしくは床に座り、携帯を足から10 ㎝ほど離して持つ
2. かかとを中心にピントを合わせて撮影
3.写真を拡大して、かかとの荒れをチェック
教えてくれたのは…野村有子先生
野村皮膚科医院院長・医学博士、日本専門医機構認定皮膚科専門医。
1986年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局。同大学助手、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務を経て、98年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。「一人ひとりの患者を大切にし、最高の医療を提供する」という医療理念のもとに、あらゆる皮膚疾患についてていねいに説明をし、治療からスキンケアにいたるまできめ細かな指導を行っている。著書「図解スキンケア」(南江堂)
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