「木綿と絹、どっちが健康にいいの?」豆腐の意外な差と正しい使い分け|管理栄養士が解説
豆腐はヘルシー食材の代表格。ダイエット中から健康志向の人まで幅広く支持されていますが、スーパーで必ず目にする 「木綿豆腐」と「絹ごし豆腐」。「どっちがより健康にいいの?」と迷ったことはありませんか?実はこの2つ、栄養や食感だけでなく作り方や食感、調理法によって適した用途が異なります。今回は、木綿と絹の意外な差と、正しい使い分けを解説します。
木綿と絹の違いは「作り方」と「含水量」
木綿豆腐 …にがりを加えて固めた豆腐を型に入れ、重しなどで水分をしっかり抜いてから形成。水分が少なく、やや硬めの食感。
絹ごし豆腐 …にがりを加えた豆乳をそのまま型で固めたもの。水分を多く含むため、なめらかで柔らかい。
この「水分の量」の違いが、栄養成分の濃縮度や食感の差につながっています。
栄養で比べる!木綿と絹の意外な差
(数値は「食品成分表(八訂)」より100gあたりの目安)
たんぱく質:木綿:約7.0g / 絹:約5.3g → 木綿の方が水分が少ない分、たんぱく質はやや多め。筋肉づくりやダイエット中のたんぱく補給に◎
カルシウム:木綿:約93mg / 絹:約75mg → 木綿の方がやや豊富。ただしメーカーや凝固剤(硫酸カルシウムなど)の使用によって差が出やすい。
鉄分:木綿:約1.2mg / 絹:約0.9mg → 木綿の方がやや多い。特に女性や貧血気味の人には有益。
エネルギー:木綿:約72kcal / 絹:約56kcal → 絹は低カロリーで軽く食べたいときに◎
「栄養は木綿の方が濃縮されている」一方で、「低カロリーで消化に優しいのは絹」と覚えると、違いがわかりやすいです。
どんな人にどちらがおすすめ?
木綿豆腐が向いている人
✔ 筋肉量を増やしたい人(高たんぱく)
✔ 骨粗鬆症予防を意識している人(カルシウムなどのミネラルやや多め)
✔ 貧血対策をしたい人(鉄分やや多め)
絹ごし豆腐が向いている人
✔ カロリーを抑えたい人
✔ 消化が弱い人(柔らかくて消化されやすいとされている)
✔ 冷奴やスープなどで、なめらかな食感を楽しみたい人
調理法での正しい使い分け
木綿豆腐:炒め物、煮物、揚げ出し豆腐(※水分が少なく崩れにくいため、加熱調理に適する)
絹ごし豆腐:冷奴、味噌汁、デザート(※なめらかな食感で、生食や汁物に向いている)
「栄養重視なら木綿、口当たり重視なら絹」と覚えると便利です。
注意点:食べすぎには要注意
豆腐はヘルシーな食材ではありますが、大豆イソフラボンの過剰摂取には注意が必要です。特に更年期女性や甲状腺疾患のある人は、1日150〜300g程度(約1/2〜1丁)を目安にすると安心です。
まとめ
結論として、木綿と絹のどちらが「健康にいい」とは一概には言えません。
栄養を重視→木綿豆腐
消化の良さ・低カロリーを重視→絹ごし豆腐
それぞれの特徴を理解し、料理や体調に合わせて選ぶことが、賢い豆腐の楽しみ方です。
参考文献(公的サイト)
JETRO「The Virtues of Tofu: A Low-Calorie, Healthy and Nutritious Food」
記事監修/亘美玲
管理栄養士。病院栄養士を7年経験後、食品会社で約15年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。2児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信をしている。
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