木綿豆腐と絹ごし豆腐、何が違う?使い分け方は?意外と知らない豆腐の違い|管理栄養士が解説
豆腐は、あっさりした味わいと口当たりのよさが魅力の食材です。豆腐には「木綿」と「絹ごし」の2種類がありますが、違いを理解して使い分けられていますか?そこでこの記事では、日々数多くの食べ物を扱っている管理栄養士が、木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いを解説します。栄養価の違いや使い分けのコツも紹介するので、毎日の料理に活かしてくださいね。
豆腐の違いは作り方にあり!
木綿豆腐と絹ごし豆腐という名前から「ふたつの豆腐は原料を木綿でこしているか、絹でこしているかで違う」と思っていませんか?実はふたつの豆腐の違いは、豆乳の固め方にあります。
そもそも豆腐とは、大豆の搾り汁である豆乳に凝固剤を加えて固めたものです。
豆腐の凝固剤には、伝統的ににがりが使われています。にがりとは海水を煮詰めて、塩の結晶を取り除いた残りから作られるもの。にがりの主成分である塩化マグネシウムが、豆乳に豊富なたんぱく質と反応して固まります。
現在はにがり以外にも、さまざまな凝固剤が存在しています。しかし今でもにがりが使われているのは、にがりが豆腐の原料である大豆の甘みを引き立てるためです。
では、木綿豆腐と絹ごし豆腐の固め方を比べてみましょう。
木綿豆腐は、豆乳に凝固剤を加えて固めたものを、一度崩します。そして穴が開いた型に木綿の布を敷き、崩した豆腐を入れて圧力をかけるのです。すると型の穴から水分が抜けて豆腐が押し固められ、木綿豆腐ができあがります。
一方、絹ごし豆腐は、型に豆乳と凝固剤を入れてそのまま固めます。絹ごし豆腐の型には穴が開いていないため、水分が抜けることはありません。名前に「絹」と付くのは、表面に木綿の布目が付いている木綿豆腐に対して、見た目がなめらかでつるんとしていることが理由とされています。
木綿豆腐と絹ごし豆腐の栄養価は?
作り方に違いがある、木綿豆腐と絹ごし豆腐。実は栄養価にも違いがあります。
木綿豆腐は水分を抜いて作られることから、栄養も凝縮されています。100g当たりのエネルギーを比較すると、木綿豆腐は73kcalであるのに対して、絹ごし豆腐は56kcalです。エネルギー以外にもたんぱく質や脂質、食物繊維のほか、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも木綿豆腐に多く含まれています。
一方、絹ごし豆腐はカリウムやビタミンB群が多めです。カリウムやビタミンB群は水溶性の栄養素であり、水分を抜いて作る木綿豆腐では失われやすくなります。しかし絹ごし豆腐では豆乳をそのまま固めて作るため、水溶性成分がそのまま残されています。
豆腐の使い分け方
木綿豆腐の表面には、隙間が見られますね。これは凝固した豆乳を崩して、再度押し固めて作っているためです。木綿豆腐を煮物にすると、隙間に味がしみておいしく仕上がるでしょう。また木綿豆腐は比較的固くて崩れにくいため、焼いたり炒めたりする料理にも向いています。
特徴を活かして木綿豆腐をおいしく食べるなら、肉豆腐やすき煮などの煮込み料理、豆腐ステーキ、揚げ出し豆腐などがおすすめです。
絹ごし豆腐の特徴は、つるんとしたなめらかな口当たりですね。絹ごし豆腐の食感を楽しむには冷奴、湯豆腐、サラダなどがよいでしょう。味噌汁やお吸い物の具材にもぴったりです。
同じ豆腐でも個性が違う、木綿豆腐と絹ごし豆腐。違いを理解して使い分け、豆腐をおいしく食べてくださいね。
【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
日本豆腐協会「種類と製法」「豆腐の原料・作り方」
全国豆腐連合会「豆腐の種類詳細」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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