実家と距離を置き「嫌われたくない」を手放した女性が語る、自分軸を取り戻すヒント【経験談】
『「いい人でいなきゃ」を卒業したら人生がラクになりました』(はちみつコミックエッセイ)作者・そうはは。さんインタビュー後編をお届けします。子どもの頃から早く実家を出たかったそうはは。さんが現在実家との距離感をどう築いているのか、顔色をうかがう癖を手放した後の心境の変化について詳しく伺いました。「人の機嫌は自分が解決するものではない」という学びや、全ての生きづらさの根底にあった「嫌われたくない」気持ちとの向き合い方も語っていただいています。過去のつらい経験を今どう捉えているか、同じように悩む人へのメッセージも含め、自分軸で生きるヒントが満載の内容となっています。
実家との距離感を見つめ直して
——今、ご実家の方との距離感はどのようにされているのでしょうか。
私は会いたくないと思っているので、会っていません。元々、祖母以外の家族は好きではなくて、安心して過ごせる家ではなかったので、早く家を出たくて仕方がなかったんです。お金がなく、姉も兄も高校卒業後は就職していたので、私も高校卒業後は就職して、20歳になったらすぐに家を出て、一人暮らしを始めました。
私は小さい頃から、温かい家庭を持つことにずっと憧れていました。結婚では一応実家に挨拶はして、結婚式にも来てもらいました。その後は必要最低限という感じです。
——お子さんがいると、年に1回ぐらいは帰省しているようなイメージがありますが、どうされているのですか。
年に一度、孫の顔を見せるという形で会いに行っていたのですが、それすら私にはつらくなってしまって……。でも夫は「子どもにとってはおじいちゃんとおばあちゃんだから」と言っていて、親は子どもたちには優しいですし、子どもたちもおじいちゃんおばあちゃんのことは好きなので、最近だと夫が子どもを連れて私の実家に帰省したことがありました。
たまたま私の仕事が忙しいタイミングもあったので、夫にお願いしたのですが、反対の立場だったら私だけで子どもたちを連れて義実家に帰省するとしたら気が重いので、助かっています。
顔色をうかがうことを手放せて得た変化
——顔色をうかがうということを手放せるようになって、ご自身にどんな変化がありましたか?
今までは人の顔色をうかがって勝手に気を使っていたのですが、「別に顔色ってうかがわなくていいんだ」と気づけてからは、相手がイライラしていてもその人の問題であって、私がどうにかしようと思わなくていい、放っておいてもいいと思えるようになりました。
そういう考え方ができるようになってからは、頻繁に「私が何かしちゃったのかな」と思うこともなくなったので、心が軽くなりました。
——八つ当たりしてくる人がいる一方で、実際に自分が何かやらかしてしまったということも現実にはあると思うのですが、明らかに失敗したこと以上に相手が怒っている場合に、背負い過ぎないように意識していることはありますか?
もちろん自分の失敗については、きちんと謝罪して繰り返さないように反省します。
そのうえで、「相手の顔色を気にしすぎなくていいんだ」と思えた経験があって、10年以上前のことですが、普段から結構イライラしていて、特に繁忙期にはイライラが強く、周りから恐れられているような上司がいたのですが、前もって「私、この時期にはイライラしているからね」と言われていたんです。
それを聞いて、私はその人のことを尊敬していたこともあって「自分が頑張ってイライラさせないようにしよう」と思って、顔色をうかがいながら仕事をしていたのですが、全然うまくいかなくて。
そのとき、上司に「なんでうまくいかないかわかってる?私の顔色をうかがっているからだよ」と言われたんです。上司は「不機嫌だから私を怒らせないで」という意味ではなく、「怒っているように見えるけれども、繁忙期が原因だから気にしないで」という意味で「イライラしてるから」と伝えていたんです。それでもイライラしている雰囲気は怖かったんですけどね(笑)。
上司のイライラは上司のもので、私がどうにかしようとは思わなくてよかったんですよね。それに気づいてからは、自分が人の機嫌を解決しなければとは思わなくなりました。
——作品の中では、「断れない」「迷惑をかけちゃいけないと考えてしまう」「否定されるのが怖い」など、それぞれの生きづらさを解消していく過程を描いていますが、特にこの部分は手放すのが大変だった、と感じていることはありますか?
漫画を描きながら、「結局私はなんでこういったことを思っていたんだろう」と考えたときに、断れないことも、迷惑をかけてはいけないと思うことも、否定されるのが怖いという感情も全て「嫌われたくない」というところからきているのだとわかりました。
でも全員から好かれるなんて無理なことですよね。それなのに、過去の自分はみんなに嫌われないように必死に頑張っていたのでつらかったのだと思います。
今は自分にとって大切な人と、自分のことを大切にしてくれる人に嫌われなければいいと思っています。
過去の経験を今どう捉えているか
——「顔色をうかがう癖」の原因となった家庭や学校でのつらかった経験を、顔色をうかがう癖を手放せた今、どのように捉えていますか?
正直「しなくてもいい経験」だったかもしれないとは思います。同時に、過去の経験があるから人の気持ちをより深く考えたりできるようになったと思います。
それで苦しくなってしまったこともあるのですが、人の気持ちを考えられずに傷つけてしまう方が嫌なので、過去があるから今の自分があると思っています。
——今でも過去の思考の癖というのは出てきてしまうことはありますか。
ネガティブモードに入っているときは、考えすぎてしまうこともあるのですが、以前と違って、落ち込みすぎる前に切り替えができるようにはなりました。
一度考え始めるとひたすら考えすぎてしまう癖のある自分に気づいたので、考えすぎているときには、何か別のことをして考えることを意識的にやめるようにしています。
——つらい思いをしていた過去の自分や、同じように他人軸で悩んでいる人がいたら、どんな言葉をかけてあげたいですか。
小さい頃から、つらいと感じることがあっても「世の中にはもっとつらい環境の人がいっぱいいるから、これくらいでつらいと思ってはいけない」と自分自身に言い聞かせてきました。今なら「つらさを人と比べなくていいよ。自分がつらいと思ったらつらいでいいんだよ」と伝えたいです。
他人軸で考えたり動いたりしてしんどい人は、きっと他人を優先して自分の気持ちを後回しにするぐらい優しい方だと思うんです。なので、その優しさを自分に向けて、自分の気持ちも大切にしてほしいと思います。
【プロフィール】
そうはは。
長男・次男・夫との日常マンガをSNSで発信しています。
コミックエッセイ描き方講座6期生。
前向きな気持ちになれるコミックエッセイを描けるように頑張ります!
X:@mukumi100
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