冷たい飲み物、飲みすぎが招く体の不調とは?管理栄養士が解説〈暑い季節の水分補給の落とし穴〉
今年も各地で異例の暑さが続いています。暑いとキンキンに冷えたビールやジュースがとても美味しく感じますよね。冷たい飲み物は火照った体を冷ましてくれるので、特に屋外や入浴後などは更に体に染み渡り美味しく感じます。しかし、夏も後半戦に差し掛かり「なんだか最近だるい」「食欲が湧かない」などの不調はありませんか?もしかするとこれらの不調の原因は冷たい飲み物にあるかもしれません。今回は冷たい飲み物の飲み過ぎが招く体の不調について解説していきます。
冷たい飲み物の飲み過ぎと体への影響
屋外での活動時など熱中症リスクが高い場合には体内の温度を下げるために冷たい飲み物を摂ることが重要となりますが、冷たい飲み物を習慣的に飲んでいると以下のような症状を引き起こす可能性があります。
胃腸の不調
私たちの体は内臓の機能が円滑に働く温度帯である37℃前後に保たれています。しかし、冷たい飲み物を飲むと胃に入った飲み物を適温である37℃まで戻して腸に送るため、冷たいほど温度を戻すのに時間がかかり胃に負担がかかります。また胃から排出するのにも時間がかかります。つまり消化に時間がかかり、結果として胃腸の不調に繋がってしまいます。
慢性的な疲労
胃腸の不調が起こると消化不良になりやすくなります。それにより栄養素の取り込みも悪くなり体内でエネルギーが上手く作れなくなってしまいます。結果として疲れやすく、眠っても疲れが取れないなどの慢性疲労に繋がります。
精神的な不調
体が冷えることで腸の血流が悪くなります。血流の悪化により腸の動きが悪くなり、便秘を引き起こし、腸内環境の悪化を招くこともあります。
突然ですが、「脳腸相関」という言葉をご存知でしょうか?実は腸は第二の脳と呼ばれる程、脳と関係しています。腸の調子が悪いと脳にも影響を及ぼします。「なんだかやる気が出ない」などの精神的な不調は腸内環境の悪化が原因ということも考えられます。
睡眠障害
睡眠と腸も深く関係しています。上記にも述べたように冷えにより腸内環境の悪化が懸念されます。そして腸内環境の悪化から自律神経が乱れ交感神経が過剰に働いてしまうことで不眠に繋がります。また、不眠や浅い睡眠が更に腸の動きを悪くしてしまうという悪循環にも陥ってしまいます。
体のために今日から出来ること
上記のような症状に悩まされないために出来ることとして、
・温かい飲み物も摂るようにして内臓を温める
・一気飲みをしない
がおすすめです。
今の時期はエアコンが効いた部屋で過ごすことも多く、体の外側からも冷えている場合があります。冷たい飲み物ではなく、なるべく温かい飲み物や常温にするなど飲む物の温度を意識すると良いでしょう。
そして一気飲みをすると急激に胃内の温度は低下してしまいます。なるべくひと口ずつ、可能であれば口の中で少し温めてから飲むようにすると胃腸への負担は軽減できるでしょう。
夏は飲み物だけでなく、食べ物も冷たいアイスや麺類を食べることが増えて知らないうちに体の内側から冷える機会が多くなります。そのため夏は意識して体を冷やさないようにすることが大切です。
まとめ
「冷えは万病のもと」と言われるように、冷たい飲み物の飲み過ぎで内臓が冷え、胃腸の不調だけでなく慢性疲労や精神的な不調、睡眠障害など全身の不調に繋がる可能性があります。熱中症対策として冷たい飲み物も大切ですが、1日1回でも体の内側を温めて胃腸を労わってあげましょう。
【参考文献】
・新しい腸の教科書 著:江田証
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