〈歓送迎会でおなかを壊しがちな人〉食べ過ぎ・飲み過ぎによる下痢を予防する方法|管理栄養士が解説
春は歓送迎会が多くなる季節。仲間と飲むお酒は楽しいものの、「飲み会の翌日におなかを壊してしまう」という方は少なくないでしょう。楽しい時間を過ごしたあとで、下痢になるのはできれば避けたいものです。そこでこの記事では、飲み会でおなかを壊さない方法を管理栄養士が解説します。飲み会の翌日に下痢になりがちな方は、ぜひ実践してくださいね。
食べ過ぎによる消化不良に注意!
そもそも排便は、腸の蠕動(ぜんどう)運動により便が肛門へ向かって押し出されて起こるもの。腸内をゆっくりと移動している間に、便からは水分が吸収されます。
しかし、腸が活発になり過ぎると蠕動運動が盛んに起こり、便の移動スピードが速くなります。すると水分が十分に吸収されないまま排便されてしまうため、下痢になるのです。
焼肉や唐揚げ、フライドポテト、天ぷらなどの脂質が多い食べ物は、消化に時間がかかります。ご飯やパン、麺類など糖質が多い食べ物の消化にかかるのは2〜3時間ほど。一方、脂質が多い肉や揚げ物は、消化に6時間ほどかかることもあるのです。
そのため脂質が多いものを食べ過ぎると、消化不良が起こります。十分に消化されないまま腸へ送られた食べ物は、腸を刺激します。すると蠕動運動が活発になるので、下痢になってしまうでしょう。
飲みの席で食べる料理はお酒に合うように味が濃いめに調理されており、箸が進みますね。アルコールによる食欲増進効果も相まって、料理を食べ過ぎてしまうこともよくあります。脂質が多くなくても単純に食べ過ぎたことで、消化不良により下痢が起こるおそれもあるでしょう。
お酒の飲み過ぎも下痢の原因に
お酒を飲み過ぎると、過剰になったアルコールに刺激されて、水分やミネラルを吸収する腸の機能が低下します。そのうえお酒をたくさん飲んでいるため、腸内は水分が多い状態です。したがって便の水分量が増加し、下痢になるでしょう。
キンキンに冷えたビールに、氷がたっぷり入ったハイボールやチューハイなど、冷たいお酒も多くありますね。冷たい飲み物を摂り過ぎると、体が冷えて自律神経が乱れます。自律神経には、胃腸の働きをコントロールする役割があります。そのため自律神経が乱れると、胃腸がスムーズに機能しなくなり、消化不良が起きて下痢が引き起こされるでしょう。
下痢を防ぐ生活習慣
歓送迎会が多い季節を、おなかを壊さずに乗り切るために、まずは生活習慣を整えましょう。
胃腸の働きを支配している自律神経の機能は、睡眠不足やストレスにも影響されます。歓送迎会が多い季節は忙しい年度末や年度始めに重なり、ストレスがかかりやすい時期です。職場が変わり、生活環境が変化した方もいるでしょう。意識的にストレスを解消したり、休息を取ったりして、自律神経の乱れを防いでください。
また、腸内環境を整えておくことも大切です。腸の健康をサポートする食物繊維が多い野菜・果物・海藻・豆類・きのこ類を積極的に摂りましょう。ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を食べることも有効です。
歓送迎会でおなかを壊さない食べ方・飲み方
歓送迎会当日も、食べ方・飲み方に注意しましょう。
脂っこい肉や揚げ物など、脂質が多いものは食べ過ぎないようにしてください。とはいえ、お酒が入るとつい手が伸びてしまいますよね。脂質が多いものの前に枝豆やサラダ、漬物、冷奴、刺身、だし巻き卵など脂質が少ないメニューを食べて、おなかを満たしましょう。焼き鳥なら、胸肉やささみ、なんこつ、砂肝がおすすめです。
体を冷やさないように、お酒の合間にホットのウーロン茶や氷を抜いたソフトドリンクを飲みましょう。アルコールの摂取量も抑えられます。
仕事仲間と楽しく飲んだあとに、つらい下痢で苦しみたくないですよね。歓送迎会が多い時期は、とくに体調管理に努めてください。歓送迎会では食べ方、飲み方に注意して、気持ちよく翌日を迎えましょう。
【参考文献】
第一三共ヘルスケア株式会社 くすりと健康の情報局「下痢・食あたり(食中毒)の症状・原因」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く