「いつも頭がぼーっとする」「仕事中ミスが増えた」脳疲労が限界のサインかも?産業医が警鐘
「なんだか最近、頭がぼーっとする」「簡単な計算ミスが増えた」「夜なかなか寝付けない」などの症状に心当たりのある方は、「脳疲労」が限界に達しているサインかもしれません。産業医の視点から、脳疲労の原因と対処法についてお伝えします。
「いつも頭がぼーっとする」「仕事中ミスが増えた」脳疲労が限界のサイン|産業医が警鐘
朝から晩までパソコンと向き合い、メール対応や会議の連続。家に帰ってもスマートフォンを手放せず、気づけば一日中、何かしらの情報に触れている・・・。そんな現代社会で生きる私たちは、知らないうちに脳を酷使しています。
脳疲労とは、一言でいえば、「脳がオーバーワークによって機能不全に陥っている状態」を指します。
私たちの脳は、意識的に考える「顕在意識」だけでなく、呼吸や心拍の調整、自律神経の働きなどを無意識にコントロールする「潜在意識(自律神経系)」にも絶えずエネルギーを使っています。
特に、IT化が進んだ現代社会では、パソコンやスマートフォンから常に膨大な情報が流れ込み、脳は常にフル稼働の状態であり、その結果、脳の司令塔である前頭葉が疲弊し、心身のバランスを保つことが難しくなってしまうのです。
脳疲労は、単なる「だるい」「疲れた」といった感覚とは異なり、様々な身体的・精神的なサインとして現れます。
これらのサインを見過ごさず、早めに対処することが重要です。
産業医として、私が多くの働く方々を診てきた中で、特に注意すべきサインは以下の通りです。
集中力・記憶力の低下
□ 簡単な作業に時間がかかる
□ 人の話が頭に入ってこない
□ 物の置き場所を頻繁に忘れる
□ ケアレスミスが増える
身体的な不調
□ 肩こりや頭痛が慢性化する
□ 目が疲れやすく、かすむことが多い
□ 十分な睡眠をとっても疲労感が抜けない
□ 胃腸の調子が悪い、食欲がない
精神的な不調
□ ちょっとしたことでイライラしたり、不安になったりする
□ 何事にもやる気が起きず、無気力になる
□ 朝、ベッドから起き上がるのがつらい
□ 夜、ベッドに入ってもなかなか寝付けない
これらの症状は、心身のSOSであり、放置すると本格的なメンタルヘルス不調(うつ病など)や、生活習慣病のリスクを高めることにもつながりかねません。
脳疲労を引き起こす現代社会の要因として、デジタルデバイスの過度な使用が挙げられます。
スマートフォンやパソコンから絶え間なく入ってくる情報に、脳は常に処理を迫られています。
特に、SNSや動画サイトの視聴は、ドーパミンを過剰に分泌させ、脳を興奮状態にさせます。
また、マルチタスクの常態化も脳疲労を引き起こします。
複数の仕事を同時にこなすことは、一見効率的に見えますが、実際には脳に大きな負担をかけています。
頻繁なタスクの切り替えは、前頭葉を酷使し、集中力を低下させます。
睡眠不足によっても脳疲労が起こります。
脳は睡眠中に、日中に溜まった老廃物を除去し、記憶の整理を行います。
睡眠が不足すると、この大切なメンテナンスができず、脳疲労が蓄積されていきます。
職場での人間関係の悩みや、過度な気遣いは、脳のエネルギーを大きく消耗させて、脳疲労を助長します。
脳疲労する場合の対処法とは?
脳疲労は、日々の少しの心がけで改善することができます。
以下に、産業医としておすすめする具体的な対処法をいくつか紹介します。
1. 脳を休ませる「デジタルデトックス」
最も効果的な対処法の一つが、意図的にデジタル機器から離れる時間を作ることです。
「スマホ断食」
休日や夜の決まった時間は、スマートフォンを触らないと決めてみましょう。
通知のオフ
仕事中は、不要なアプリの通知をオフにするだけで、集中力が保たれ、脳への負担が軽減されます。
寝る前のスマホ断ち
寝る1〜2時間前はスマートフォンやパソコンの使用を控えましょう。ブルーライトは睡眠を妨げ、脳を覚醒させてしまいます。
2. 脳の血流を良くする「軽い運動」
適度な運動は、脳の血行を促進し、疲労物質を排出する効果があります。
ウォーキング
休憩時間に少し外に出て歩くだけでも効果的です。自然の景色を見ることで、脳のリフレッシュ効果も高まります。
ストレッチ
デスクワークの合間に、首や肩をゆっくりと回したり、伸びをしたりするだけでも、脳への血流が改善されます。
3. 脳の栄養補給とリラックス「食事と睡眠」
バランスの取れた食事
脳のエネルギー源であるブドウ糖や、自律神経を整えるビタミン・ミネラルを意識的に摂取しましょう。
質の良い睡眠
毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい生活を送ることで、睡眠の質が向上します。寝具や寝室の環境を整えることも大切です。
4. 脳をクールダウンさせる「マインドフルネス」
瞑想や呼吸法といったマインドフルネスは、脳の興奮状態を鎮め、リラックスさせる効果があります。
簡単な呼吸法
目を閉じ、ゆっくりと鼻から息を吸い込み、口から吐き出す。これを数回繰り返すだけでも、心が落ち着きます。
まとめ
現代社会において、脳疲労は誰にでも起こりうる身近な問題です。
「いつも頭がぼーっとする」「仕事中ミスが増えた」といったサインを見過ごし、「気のせいだろう」「もう少し頑張ろう」と無理を続けてしまうと、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。
大切なのは、自分の心と体の声に耳を傾けることです。
まずは、今日からできる小さなことから始めてみましょう。
デジタルデトックスを試したり、休憩時間に少し外を歩いてみたり、早めにベッドに入って質の良い睡眠をとることを心がけてみましょう。
脳が健康であれば、仕事もプライベートも、もっと充実したものになるはずです。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く





