葉酸が不足すると何が起こる?女性は特に知っておきたい葉酸のはたらきと必要量とは|管理栄養士が解説
水溶性ビタミンの一種である葉酸。 「妊婦さんに必要な栄養素」として耳にしたことがあるかもしれませんが、実はすべての女性、そして男性にとっても重要なビタミンです。 この記事では、特に女性に注目して、葉酸のはたらき、不足・過剰による影響、摂取量の目安や豊富に含まれる食材についてわかりやすく解説します。
葉酸ってどんな栄養素?
葉酸は、ビタミンB群の一種で、ビタミンB1やB2と並ぶ水溶性のビタミンです。
主に以下のような働きを担っています:
- 赤血球の形成
- DNAやRNAなどの核酸合成
- アミノ酸代謝やたんぱく質合成
- 細胞分裂や細胞の成熟のサポート
とくに妊娠初期の胎児の発育に重要な栄養素であり、胎児の神経管(脳や脊髄の元になる部分)の正常な形成に不可欠とされています。
葉酸という名前から野菜だけに含まれていると思われがちですが、実はレバーなどの動物性食品にも多く含まれています。
葉酸が不足するとどうなる?過剰摂取の影響は?
葉酸が不足すると、次のような健康リスクが生じます:
- 巨赤芽球性貧血(大きな未成熟赤血球が増える貧血)
- 胎児の神経管閉鎖障害(無脳症・二分脊椎など)
妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性は、通常の食事だけでなくサプリメントなどからの補給も推奨されており、葉酸の摂取量が重要視されています。
一方で、葉酸は水溶性ビタミンであり、通常の食事からの摂取では過剰症の心配はほとんどありません。
ただし、サプリメント等で長期的に過剰摂取した場合は、ビタミンB12欠乏による神経障害の発見が遅れるなどのリスクが報告されています。その他にも、発疹・胃腸障害・睡眠障害などの副作用が出ることもあります。
葉酸の摂取量の目安
葉酸の摂取基準には、次のような数値があります:
- 推定平均必要量:50%の人が必要量を満たす基準
- 推奨量:ほとんどの人が不足しない量
- 耐容上限量:健康障害が起きないとされる上限
- 付加量:妊娠・授乳などで追加が必要な量
※妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性は、食品以外(サプリなど)から1日400μgの葉酸を摂取することが推奨されています(厚生労働省/日本産婦人科医会などのガイドラインより)。葉酸を豊富に含む食品
葉酸は、以下のような食品に多く含まれています:

特にレバーは、葉酸・鉄・ビタミンB12が豊富で、鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血の予防にも効果的な食品です。
ただし、妊娠初期はビタミンA(レチノール)を過剰に摂取しないよう注意が必要です。
まとめ
葉酸は、赤血球の形成や胎児の発育、DNA合成などに関わる重要な栄養素です。
一般的な食事で大きく不足することは少ないものの、妊娠を希望する人や妊娠初期の女性は意識的な摂取が不可欠です。
妊婦さん本人だけでなく、パートナーや家族など周囲の人も葉酸の重要性を理解し、栄養面からサポートできる環境づくりが求められます。
未来の命を守るために、今日から「葉酸」にちょっと目を向けてみませんか?
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く






