「最近よくつまずく・転びやすい」…実は脳からのサインかも?医師が解説
よく転ぶのは、脳の異常や神経の病気の初期サインとして現れることもあります。医師が解説します。
「最近よくつまずく・転びやすい」…実は脳からのサインかも?
「最近よくつまずく」、「転びやすくなった」というエピソードは、単なる年齢や運動不足だけでなく、脳や神経の異常のサインであることがあります。
特に、脳梗塞やパーキンソン病などのような病気が関係している可能性があるため、注意が必要です。
脳梗塞
脳の血管が血栓などで詰まり血流が悪くなることで、脳血管が細くなって脳細胞に障害が起こって様々な症状を呈する病気が脳梗塞です。
高齢者が寝たきりになる原因の多くを占める脳梗塞は、初期段階での早期治療を行うと共に発症予防することが非常に重要なポイントであると言われています。
軽度の場合でも、「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)」が進行すると、足のもつれ・片足だけのつまずきが起こることがあります。
最近よくつまずく・転びやすい場合には、片側の手足に力が入りにくい、感覚が鈍いといった症状がないか確認することが大事です。
パーキンソン病
また、パーキンソン病の初期症状のひとつに、「歩き始めに足が出にくい」「小刻み歩行」「すり足で歩く」などがあり、日々の生活のなかで、つまずきやすくなります。
パーキンソン病では神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して溜まることが原因となることが分かっています。
ドパミン神経細胞がなぜ減少するのかは十分にわかっていませんが、現在はドパミン神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して蓄積し、ドパミン神経細胞が減少すると考えられています。
パーキンソン病では、日常動作が遅くなる・表情が乏しくなる・手が震えるなども併せて出現します。
脳梗塞やパーキンソン病以外にも、よく転ぶ原因疾患として、正常圧水頭症、脊柱管狭窄症や糖尿病性神経障害などの病気でも、転倒リスクは高まります。
以前より、片足だけよくつまずく、体の左右で動かしにくさやしびれの差がある、手の震えや動作の緩慢さが目立つ、最近「尿もれ」や「物忘れ」などの症状がある、歩き方が変わった(足が出にくい、すり足)などのサインがある際には、脳神経内科を受診しましょう。
転倒時、脳梗塞の前兆、パーキンソン病などを早期発見につなげる重要性
転倒することは、高齢者や中高年で「ただの不注意」と見過ごされがちです。
ところが、実は脳や神経の病気の“初期サイン”として非常に重要な手がかりになることがあります。
特に、脳梗塞の前兆やパーキンソン病などの早期発見において、転倒エピソードの捉え方が鍵となります。
脳梗塞の前兆として、一時的に足に力が入らなくなる、片足だけもつれてつまずくといったサインが出ることもあります。
脳梗塞は突然に起こる病気であり、かかってからしまったと後悔しても手遅れですので、健常人でも普段から脳梗塞を予防しておく方法を知って身に付けておくことが重要です。
また、パーキンソン病の初期症状としては、歩行時の「すり足」や「小刻み歩行」、足が前に出にくい「すくみ足」などが挙げられ、方向転換時につまずいて転ぶことも多いといわれています。
転倒歴や歩き方の変化に気づくことで、パーキンソン病の早期診断につなげて、薬物療法で進行を遅らせることが可能となります。
自己転倒による骨折や他の病気を罹患しないことは、パーキンソン病の治療経過にとても大事な要素です。
まとめ
「よく転ぶのは、年齢のせい」と思いがちですが、脳の異常や神経の病気の初期サインとして現れることもあります。
「最近、急につまずくようになった」場合や、「足がうまく出ない」と感じたら、脳梗塞やパーキンソン病などの病気が隠れている可能性があるので、早めに脳神経内科など専門医療機関を受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く





