40歳前後の成人が多いとされている〈もやもや病〉どんな病気?代表的な症状や治療は|医師が解説


40歳前後の成人が多いとされているもやもや病とは?代表的な症状や治療について、医師が解説します。
もやもや病とは一体どのような病気なのか?
もやもや病とは、首から脳へ血液を送るための内頚動脈が脳内に入ったところで狭くなっていく病気です。
閉塞していく血管の通り道を補うように周囲の細い血管が網目状に発達して、画像的にもやもやした塊に見えるため、「もやもや病」と呼ばれています。
通常は、左右両側にみられ、発症する好発年齢は10歳以下の子どもと40歳前後の成人が多いとされていて、厚生労働省の指定難病のひとつに認定されています。
もやもや病は、脳の血流低下を補うために狭くなった血管の周囲に網目状の細かい血管が発達しますが、明確な発症原因は現在のところ、解明されていません。
もやもや病の代表的な症状や治療
もやもや病は、成人でも小児でも、脳の血流不足による一時的な症状や脳梗塞を発症する場合がありますし、発達した側副血行路への負担が増していき、それが破綻することで脳出血を起こすことがあります。
脳梗塞
脳梗塞で発症する場合、前頭葉の血流不足による症状が起きやすく、手足のしびれや麻痺などの症状が一時的に回復することがしばしば見られるため、専門医療機関への受診が遅れることもあり、一定の注意が必要となります。

言語障害
手足の症状以外にも、息が切れるような運動などを契機に、言葉が正常に話せず、呂律困難といった言語障害もしばしば認められます。
運動
運動などに伴って、脳内の二酸化炭素濃度が低下して、脳血管が収縮することで、さらに脳血流が不足することが発症原因と考えられます。
脳出血
また、脳出血で発症する際には、激しい頭痛、意識障害、手足の麻痺、言語障害などの症状が出現し、出血量が多い場合や脳圧が高度に上昇する場合には生命に直結することもあります。
慢性的な頭痛など
慢性的な頭痛などの軽微な症状に対して、偶然に頭部の精密検査を実施した結果、もやもや病が判明する患者例も近年増加傾向です。
脳梗塞を発症予防するために、もやもや病の原因となっている内頚動脈に、新たに血流を供給するようにバイパス経路を作成する手術治療が行われる場合があります。
もやもや病に伴って、脳梗塞を発症した場合には、今後の再発防止のために、血小板機能を抑えて、血液をサラサラにして、凝固しづらくする抗血小板薬が使用される場合もあります。
まとめ
もやもや病は、内頚動脈という太い脳血管の終末部が細くなり、脳の血液供給不足が起こり、様々な中枢神経症状をきたす可能性がある病気です。
この病気は、成人や小児を問わず、脳梗塞や脳出血などの脳卒中を合併するリスクがある疾患であり、十分に合併症の発症予防に努める必要があります。
特に、小児の場合では、症状がしばしば出現する場合には、普段から激しい運動や楽器を吹く演奏行為などをできるだけ控えて、なるべく早期に手術治療を実施するかどうかを脳神経外科医などの専門医と相談することをおすすめします。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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