約9割も栄養成分が残っているって本当?だし取り後の【昆布】捨てないで!活用法を管理栄養士が解説


おでんや水炊きなどの鍋料理には欠かせない昆布。だしを取った後、そのまま捨ててしまっていませんか?実は、だし取り後の昆布には、生活習慣病を予防する効果的な成分が残されたままなんです。今回は、昆布の種類から栄養素、注目したい成分【アルギン酸】についてご紹介します。
国産昆布の種類
昆布は国内で生産されている約95%が北海道で採取されています。代表的な昆布と特徴をご紹介します。
・利尻昆布
おもにだし昆布として利用されている。甘みがあって味が濃い。香りが高い透明なだしがとれる。鍋物、お吸い物に最適。
・羅臼昆布
だし昆布や昆布茶などに利用されている。だし汁が濁りやすいが、香りが良く濃厚でコクのあるだしが出る。「だしの王様」とよばれている。
・日高昆布
三石昆布ともいわれる。やわらかで煮えやすく味も良いため、煮物や昆布巻き、佃煮など色々な料理に使える万能な昆布。

昆布に含まれる栄養素
昆布には体内の代謝を活発にするミネラル、ヨウ素が豊富です。ナトリウム、カリウムなどのミネラルは牛乳の約23倍も含まれています。カルシウムは約7倍、鉄分は約39倍と、とても優秀な食材です。だし汁の旨み成分はアミノ酸の一種で『グルタミン酸』。脳の神経伝達物質として、脳の活動を活発にする作用があります。また、疲労などで体内に増えたアンモニアを除去する働きがあるため、疲労回復に役立ちます。そして注目したいのが、昆布特有のぬめり成分である『アルギン酸』。アルギン酸は、水溶性食物繊維で消化器官内でゲル化し、食物の消化と吸収を調整する作用があり、血糖値の上昇を抑制してくれます。血圧やコレステロール値の調整作用も期待できるので、生活習慣病予防に最適な食材です。

捨てないで!だし取り後の昆布
だしを取った後の昆布には、栄養が残ってないと思われがちですが、それは間違い。だし取り後の昆布に含まれるアルギン酸は、なんと約9割も残っているのです。様々な健康効果を発揮してくれるので、捨てるなんてもったいないですよね。そこで活用法をご紹介します。
①だしがらチップス 昆布の水分をふき、油を絡めて両面がパリッとするまで焼く。
②塩昆布 昆布を細切りにして、水+醤油+砂糖+みりん+酢で煮詰める
③ふりかけ 昆布を小さく切り、乾燥させる。削り節、塩、ごまを混ぜてフードプロセッサーで粉状にする。

いかがでしたか。昆布を最後まで美味しく活用して、健康に役立ててみてくださいね。
参考文献:新・野菜の便利帳おいしい編/高橋書店
完全版その調理、9割の栄養捨ててます!/世界文化社
昆布のだし・うま味について/こんぶネット・一般社団法人 日本昆布協会
ライター:やなぎかおり
特別養護老人ホームにて介護食の大量調理や栄養士業務を経験。働きながら管理栄養士の資格を取得。その後、中学校給食センターにて献立作成、給食管理、食育授業に携わる。結婚、出産を経て、ヘルスケア栄養指導士の資格を取得。子育てをしながら栄養に関する記事執筆を行っている。
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