SNS批判を力に変えて|菊池雄星の妻・瑠美さんの挑戦とブランド「The Ruby’s」誕生秘話

 SNS批判を力に変えて|菊池雄星の妻・瑠美さんの挑戦とブランド「The Ruby’s」誕生秘話
Photos by Azusa Hasegawa

メジャーリーガーとして活躍する夫・菊池雄星選手をサポートするため、現在はアメリカ を拠点に活動している元アナウンサーの菊池瑠美さん。2024年9月に「Beauty&Wellness」をコンセプトにしたアパレルブランド「The Ruby’s」を立ち上げ、自分が変わるきっかけとなったフィットネス情報の発信も積極的に行っていらっしゃいます。産後の体型をSNS等で批判されたこと。それを機に始めた本格的なトレーニングを通じ、固定観念にとらわれず自分らしく生きることの大切さに気付いたという瑠美さん。その経緯やブランドに込めた想いなど、お話をお聞きしました。

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産後の体型をSNSで批判されたこともきっかけに

――アパレルブランド「The Ruby’s」の「Beauty&Wellness」というコンセプトには、トレーニングを通じて得た思いが込められているそうですね。トレーニングを始めるようになった経緯から、お聞かせいただけますか。

瑠美さん:さかのぼると、結婚を機に、トレーニングへの意識が変わったのだと思います。

夫のトレーナーさんが私にもトレーニング指導をしてくださるのですが、それまで私は運動が大嫌いでした。体をメンテナンスするならマッサージや鍼などを選んでいましたし、体を動かすことは苦手でしたね。特にアナウンサー時代は本当に忙しくて。毎日深夜まで生放送があったので、できればエステでリラックスしたいと考えていましたが、そのトレーナーさんに出会ってトレーニングの概念が変わりました。疲れているときこそ体を動かすことで疲労回復効果が期待できるといわれている「アクティブレスト(積極的休養)」という考え方。トレーニングをすると体も心にも良い影響があるのだと教わり、そのトレーナーさんと一緒に最初は月に1度から始めて、それが週に1度になって、とトレーニングの基礎を作っていきました。

ですが、その後、妊娠中に渡米。初めての海外生活のなか、第1子を出産し育児に奮闘と産後はトレーニングどころではなくなってしまったんですね。ただただ毎日を生きるのに一生懸命。トレーニングはおろか、ビューティーの部分も自分にかけている時間がないという状態でした。そんなときに、夫がオールスターに選出され、家族でレッドカーペットに出席したのですが、当時SNSを中心に体型批判のコメントをたくさんいただいて…。

――2021年の夏。オールスターの試合前セレモニーにご家族3人で出席されたんでしたよね。

瑠美さん:そうですね。そのときは全然運動もしていなかったのでお腹も出ていたでしょうし、仕方ないのかなとも思いました。でも、やっぱり傷ついてしまって…。とにかく何とかしなくちゃとエステを予約して息子を抱っこしながら駆け込んだんですけど、最初のカウンセリングでエステのスタッフさんに「妊娠、出産は命懸け。あなたはありのままで十分美しいの。インターネット上の人々の声によってあなたの心を傷つけないで」と言われてすごくハッとしたんです。周りの声に惑わされず、自分のペースで徐々に健康を取り戻していけばいいんだと、とりあえず近くのジムに登録することに。ですが一人でマシーンを使ってもあまり楽しさを感じることができませんでした。モチベーションも高くなかったと思いますし、最初に夫のトレーナーさんに教えていただいた、疲れているときこそトレーニングで心も体も元気にする、というのもすっかり忘れていました。

菊池瑠美

運動することの良さを改めて実感

――そこから再びトレーニングを本格的に始めるようになったのは、またきっかけがあったのでしょうか。

瑠美さん:きっかけは何回かありましたが、本格的に始めたきっかけはチームの奥様会ですね。シーズン中はもちろん、スプリングトレーニング中もキャンプ地でイベントがあるのですが、そのなかでトレーニングをみんなでやりましょう!という呼びかけがあったんです。みんなと一緒なら楽しできそう、と気軽な気持ちで参加したら、それがもうかなりハードなサーキットトレーニングだったんですね。腕立て伏せとか9種目くらいのトレーニングをインターバル10秒とかで繰り返すもので、私は全然ついていけなかったんですけど、奥様会の皆さんは笑う余裕があるほど慣れていて。尋ねたところ、「運動は生活の一部で、家でもヨガマット一枚あれば体を動かせるよ」と言われて。そこでまたハッとしたんですよね。トレーニングって、そういうものだったなと。

腕立て伏せをしたくてもできない、といった自分で自分の体をコントロールできなかったところから、だんだんと動けるようになって。そこで、楽しさに気づいたのが大きかったように思います。子どもと遊んでいても疲れにくくなったのもうれしかったですね。うちの子は、すばしっこいので(笑)。

――改めて、トレーニングを始めたときの気持ちが戻ってきたようなところがあったんですね。

瑠美さん:そうですね。基礎を作っていただいたのに、産後なかなか運動を再開できなかったことで、そのときの気持ちを忘れていたのかなと。私は専門家ではないので、その体験から実感したことになりますが、やっぱり運動は脳にも影響するような気がしています。気持ちが明るくなるだけでなく、集中力も上がったような感覚がありますし、家事も時間を決めながらしっかりとやるようになりました。筋トレが脳トレになっているのかなとも思います。

――切り替えがうまくなったという感覚もありそうですね。

瑠美さん:それもありますね。メンタルもそうですけど、日々生きていればつらいこともありますし、そういったときの切り替えも早くなったように思います。オールスターのレッドカーペットで心無い中傷の声があったことも、当時はネガティブにとらえてしまったけど、振り返ってみれば、自分の体と向き合うきっかけではあったわけですから。そういったお話をSNSなどで発信していくなかで、共感してくださる女性が増えていき、それが今回のアパレルブランドの立ち上げにつながりました。トレーニングで内面からも輝くといった意味も込めたのが「Beauty&Wellness」というコンセプトです。

どんなシーンでも活用できることがこだわり

――ストレッチ素材のドレスなどがラインナップされていますが、特にこだわった点はどんなところでしょうか。

瑠美さん:筋トレをすればするほどボディーラインがかっこよく見える、というデザインにこだわりました。あとは、皆さんお忙しくクリーニングに出すのも大変だと思うので、洗濯機で洗えること。伸縮性のあるストレッチ素材なので、妊婦さんでも着られるほど、伸びる生地を選びました。私、これを着たまま息子を追いかけ回して、スクワットもできます(笑)。

実を言うと最初はこんなワンピースがあったらいいなあという趣味から始めたんです。子どもと一緒に公園で走り回れて、球場にも来ていけるストレッチ素材のものが欲しいなと思って、趣味とはいえ、とことんこだわって作っていたところ、欲しいという声をたくさんいただいて。それで、ブランド化しました。カジュアルはもちろん、パールやヒールをあわせればビジネスシーンでも活用できると思いますし、クローゼットやスーツケースにこれさえあれば大丈夫!というところを目指しました。先日も夫が岩手に建築した室内練習場のお披露目パーティーがあったのですが、アメリカから送った荷物が届いていなくて。持っていたのがこのThe Ruby’sのドレスのみだったんですね。これにアクセサリーを付けて出席しましたが、夫の同級生たちからも褒められて、奥さんに買います!という声もあったほど好評でした。どのようなシーンでも着回せる万能アイテムになると実感しました。

――周りの方の反応はいかがですか。

瑠美さん:Tシャツでストレッチ素材というところに驚かれることが多いですね。生地見本をいくつも確認して選んだこだわりの生地ですから、そこに注目してもらえるのは光栄だなと。筋肉をつけたらさらにかっこよく着られる。特にボディラインがきれいに見えるドレスなので、これを着るためにトレーニングをがんばります、と言ってくださる方もいらっしゃるんですよ。私が考えていたコンセプトが伝わっているのかなと、その言葉がすごくうれしかったです。

菊池瑠美

→【インタビューの続き】「体重という数字よりも、筋肉をどうつけるか」菊池瑠美さんが語る、渡米生活で変わった体型への価値観、はこちらから。

【プロフィール】

菊池瑠美

1986年生まれ。フェリス女学院大学卒業。
キャスターとして報道、バラエティ、スポーツ番組などに出演。
2016年に現エンジェルスの菊池雄星投手と結婚し、2019年にに第一子を出産。
野球選手の妻として夫をサポートする傍ら、2024年には株式会社を設立し、CEOに就任。アパレルブランド「The Ruby’s」をローンチした。フィットネスイベントを主催するなど、女性を応援するための取り組みに尽力している。

ドレス:Stretch Tee Mini Dress (WH) ¥20,790(税込)(The Ruby’s)、カーディガン:本人私物

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Photos by Azusa Hasegawa
Hair&make-up by TOM
Text by Mitsue Yoshida

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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