〈食のウワサ〉「朝、柑橘類やキウイを食べるとシミができやすくなる」はうそ?本当?管理栄養士が回答
「柑橘類やキウイフルーツを朝食べるとシミができやすくなる」というウワサを耳にしたことはありますか?ソラレンという成分が影響しているとされ、美容に関心のある方のあいだでは、長くこの考えが定着していました。しかし、実際のところ、この情報にはどれほどの科学的根拠があるのでしょうか?今回は、気になるウワサの真相に迫ります。
ソラレンとシミの関係
かつて「柑橘類やキウイフルーツには、ソラレンという成分が含まれるため、朝に食べるとシミができやすくなる」と、さまざまなメディアで話題にあがりました。
そもそもソラレンとは、紫外線に対する肌の反応を強める作用を持つ成分です。メディアでは、オレンジ・グレープフルーツなどの柑橘類やキウイフルーツ、いちじくなどに、ソラレンが多く含まれていると取り上げられました。ソラレンを多く含む食べ物を食べてから紫外線を浴びると、シミやそばかすなどが悪化しやすいというのです。
たしかに「肌を白く保ちたい」「シミを増やしたくない」という方にとっては、気がかりな情報ですよね。そのため、「柑橘類やキウイフルーツなどは、紫外線を浴びやすい朝の時間帯には食べない方がよい」という考えが、広く知られるようになりました。
しかし現在では、その情報には科学的根拠がないことが指摘されています。
シミの悪化が起こりうるソラレンの摂取量は15~20mg、安全性を考慮して10mg程度です。しかし、10mg程度のソラレンをフルーツから摂ろうとすると、ほとんどの場合、一度に食べきれる量ではないというのです。
結論、朝に食べてはいけないフルーツはない!
たとえば、10mgのソラレンをフルーツから摂る場合、レモンだと30kg、ライムだと1~2kg食べることになります。あまり現実的な量ではありませんよね。
「ソラレンが多く含まれるフルーツ」としてよく取り上げられるオレンジやいちじくも、実際にはソラレンがほとんど含まれていないようです。さらに、キウイフルーツに限っては、果実にも皮にも、ほとんどソラレンが含まれないことも分かっています。
そのため、通常の食生活であれば、柑橘類やキウイフルーツのソラレンの量を気にしすぎる必要はないでしょう。お気に入りのフルーツや旬のフルーツを朝食でおいしくいただき、気持ちよく1日のスタートを切りましょう。
スムージーや柑橘類の皮には気をつけて
柑橘類やキウイフルーツを皮をむいてそのまま食べる場合には、ソラレンによるシミの悪化を不安に感じすぎる必要はありません。もし気をつけるとすれば、ゴクゴクと一度にたくさんの量を飲んでしまいやすいスムージーやジュースにした場合でしょうか。
たとえば、1リットル以上のグレープフルーツジュースを飲む場合には、ソラレンを10mgほど摂ってしまう可能性があるとされています。一度にたくさんのジュースを飲む習慣がある方は、注意が必要です。
また、柑橘類の皮には、果実の部分よりも多くのソラレンが含まれています。そのため、スムージーやジュースに使うときは、皮を取り除いて果実の部分だけ使うのがおすすめです。柑橘類の砂糖漬けやはちみつ漬け、ドライフルーツなど、皮ごと食べるメニューは、朝食で一度に摂りすぎないよう、意識したほうがよいでしょう。
まとめ
これまで強く根付いていた「朝に柑橘類やキウイフルーツはNG」という考え方。しかし実際には、紫外線の影響を強めるというソラレンは、柑橘類やキウイフルーツにほとんど含まれていないことが明らかになりました。
「美肌のためだから」といって、朝食で柑橘類やキウイフルーツをガマンする必要はないと言えるでしょう。むしろ柑橘類やキウイフルーツは、強い抗酸化作用のあるビタミンCも豊富であるため、美しい肌を目指すのにおすすめの食べ物でもあります。
「好きだけど、食べないようにしていた」という方は、これを機に、朝食に柑橘類やキウイフルーツを取り入れてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
・駒沢女子大学|駒沢女子短期大学「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします【拡散希望】」
AUTHOR
藤倉詩織
管理栄養士。【予防医療】にかかわりたいという思いから、大学卒業後は健診センターに就職。メタボリックシンドロームや生活習慣病の方への栄養指導・特定保健指導を経験し、現在はフリーランスの管理栄養士・ライターとして活動中。
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