「イギリスで、全く別の世界に飛び込む覚悟をした」フラワーアーティスト・前田有紀さんの生き方
――前田さんの夢について教えてください。
「自分がおばあちゃんになったとき、都会でも花と緑が当たり前になっていて、皆が当たり前に部屋に花を飾ったり、当たり前にベランダに緑を育てたり…そんな未来がどうしても見たいんです。それに向けてできることを、ひとつひとつやっていきたい」
――花と緑が当たり前の未来に向かって、これから考えている企画があれば聞かせてください。
「いろんな世界とのコラボレーションは、どんどん挑戦していきたいと思っています。ちょうど今日と明日は、鎌倉のジェラート屋『SANTi』とのコラボレーションで、店頭にも立つ予定です。ジェラートって選んでいるときや、食べているときはすごく幸せだけど、あっという間に終わっちゃいませんか?だからジェラートのカップに花を入れ、そのまま飾ることができる“フラワーカップ”を考えました。ジェラートを食べた方が持ち帰り、SANTiでの楽しい時間をまた思い出して幸せを感じてもらえたら嬉しいです。そうやって花を届けるだけでなく、花にまつわる様々なことを届けていきたいですね」
――前田さんとコラボレーション先のあたたかい想いが詰まっていますね。
「ありがとうございます。移動花屋『gui』を始め、買っていただいた方の喜んでいる顔を見ることができ、本当に嬉しく思っています。ありがたいことにguiではオンラインで購入した方からお礼のメールをいただくことが本当によくあります。自分がネットで買い物をしてもメールを書こうなんて思ったこともないけど、花だから、きっとそれだけ喜んでくれたのだと思います。今はまだ月に一度、20個限定でお届けできるだけの体制なのですが、どうしたらもっと温もりと共に花を届けられるのか…いつも考えています。味気なくなってしまうのが嫌で。体験として、花を買ったと思ってもらいたい。まだまだやることはたくさんありますね」
――前田さんが自然な笑顔でいれるときは、どんなときでしょうか。
「自然を感じているときかな。子供の頃から自然への憧れがありました。自分自身の日々の暮らしの中にはほとんど自然がなく、夏休みに行く鳥取の祖母の家に遊びにいくのが楽しみだったんです。だから、今は自然の中で暮らせていることを幸せに感じています。鎌倉の山の方に引っ越し、自然の中で空気を吸うことができます。そこで家族と過ごしてる時が、自分が一番自然な笑顔でいられる瞬間ですね」
――鎌倉での暮らしは、ご夫婦で決めたのですか?
「実は、東京に勤めている夫の方が引っ越したいと言い出したんです。最近は鎌倉に住みたいという人も増えてきたけど、『通勤が大変』『やっぱり東京が良い』…などと何かと言い訳をつけて引っ越さない人が多い。でも夫は、人生一度きりなんだから、やりたいと言いながらそのまま人生が終わってしまうより、言い訳せずにやってみようと思っている人。だから鎌倉暮らしについては満場一致でした(笑)。あとは子供に対し、自然との暮らしをプレゼントしたいと思いました。私たちは子供になんでも与えられるような夫婦ではないけど、『自然だけは与えられたね』と言える夫婦でありたい。この辺りでは、蛍がそこらじゅうに飛んでいたり、流れ星を見たり、旅先でしか経験できないような自然に触れることができます。きっと彼のDNAにも少しずつ刻まれていると思うんです。でも、今は電車やブルドーザーが大好き(笑)!彼が自然を満喫するのはもう少し先なのかな」
決して積極的なタイプではない。自分でも受け身の性格だと思っていたというのだから。しかし自分と向き合い、この先の人生を本気で考えたとき、気がついたら彼女は道を、どんどん切り開いていった。本当に好きなことや、覚悟が決まったことというのは、姿勢や行動をも変えることを実感したのだそう。ご主人の言葉のとおり、言い訳なんてする暇があったら、やりたいことに向かって行動すべきということだ。皆さん、この週末に鎌倉で美味しいジェラートを食べ、フラワーカップを持ち帰って、幸せな気持ちを味わってみては?
*11月10日(土)・11日(日)に移動花屋をオープン!
@GELATERIA SANTi(鎌倉、御成通り)
前田有紀(Instagram: yukimaeda0117)
神奈川県出身。テレビ局勤務を経て、イギリス留学。
3年間の花屋勤務を経て、独立。株式会社スードリーを設立し、オリジナルフラワーブランド「gui」を立ち上げる。
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