「自分一番のサーファーから、娘一番の母となった」ブランドディレクター・市川麻衣子さんの生き方

「自分一番のサーファーから、娘一番の母となった」ブランドディレクター・市川麻衣子さんの生き方
Photo by Naoki Yamashita
関早保子
関早保子
2018-10-13

自分の心の声に向き合うことは、簡単なようでいて難しい。「本当にやりたいことって何?」私たちは、自分の心の声を無視して、日々をサバイブすることに慣れている。だけど、そんなあなたは心の底から笑えているだろうか? 本連載ではインタビュー形式で、笑顔が素敵な女性たちの「笑顔のきっかけ」を探っていく。彼女たちにとって、笑顔にさせてくれるコトって何だろう? どうやってそれを見つけたのだろう? そして、それを始めたときの「はじめの一歩」って?

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「海の心地よさを伝えたい」市川麻衣子さんインタビュー【わたしの、はじめの一歩】#12

連載12回目は、本誌でもお馴染みの人気講師陣が集結するヨガイベント「SHONAN BEACH YOGA WEEK 2018 in HAYAMA」の総合プロデューサーを務める、市川麻衣子さん。ファッションデザイナー・ディレクターとして活躍する一方で、海の心地よさを伝えるべく、様々な場所でヨガイベントを手がけている。夫婦で海を愛するサーファーで、6歳を迎えた娘さんの母でもある彼女の笑顔の元にあるものとはー

――「SHONAN BEACH YOGA」も今年で4年目を迎えたそうですね。そもそもどういう経緯で始まったのでしょうか。
「神奈川県の海を活性化するプロジェクトとして開かれた会議に、呼んでいただいたことがきっかけです。県知事の声がけのもと、木村太郎さんを代表に、県漁連の会長、マリンスポーツ系のメディアの方などが集まり、月に一度のペースで会議を行っていました。圏央道が開通し、東京や郊外からのアクセスが良くなったので、もっと多くの方を神奈川県の海に招致しようということで始まったプロジェクトですね。そこで私は、マットひとつあればできるビーチヨガを提案したんです。話は進み、実際に翌年からヨガイベントを行うことになりました。まずは県が実行委員会を作り、私はプロデューサーとして参画しました。」

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――今は市川さんが主催者側となり、続いているということですね。
「そうですね。翌年からは私が主催者となり、県に協賛して頂くようになりました。県はとても協力的で、町長さんも応援してくれています。
もちろん私一人では何もできず、クリエイティビティあふれる地元の方たちと一緒に作り上げていますね。感覚をシェアできる仲間たちと完成させていくのは、とても幸せなことです。」

――今年も大盛況のイベントですが、ご自身ではどんな実感がありますか?
「地元の口コミイベントというよりは、感度の高い方々が東京から来て楽しめるイベントとして、広まってきている印象があります。参加者の4割が都内からの参加者、遠方から来ている方もたくさんいるんですよ。年齢層も幅広い。今日はキッズヨガもあるのでお子様も多いですが、上は60代まで!本当に幅広く楽しんでいただいています。多くの方に喜んでもらい、『また来ますね』と言ってもらい…大勢の見知らぬ方からこんなに感謝されることなんて、なかなかないと思うんです。元々マネタイズすることを目的とせずに始まっているので、純粋に誰かに喜んでもらえるということに、毎回感動を覚えます。」

――神奈川の海の魅力が、多くの方に広まっていますね。
「ありがたいですね。年を重ねるごとに、目的はシンプルに考えています。海の心地よさをシェアして、コミュニティが広がっていったら良い。ヨガ歴10年の人もビギナーの人も、ここで一緒に体験して、気持ち良さや楽しさを感じ、海への興味が広がっていったら嬉しい。今年はウクレレの生演奏を聞きながらヨガをやったり、毎年内容は進化していますよ!」

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――市川さんのヨガとの出合いについて聞かせてください。
「実はきっかけはサーフィンなんです。サーフィンを始めて15年たつのですが、10年ほど前、サーフィン界のレジェンドであるジェリー・ロペス(パタゴニアのアンバサダーであり、ヨギーニとしても有名)が来日したんです。彼が少人数制のヨガクラスを開くということで、人生初のヨガ体験となりました。だからヨガをやりたいというよりは、彼がやっているからという理由で体験したのが正直なところ。
その後2012年にスポーツ&ライフスタイルウエア『anima』のディレクターを務めることになり、ヨガと強く関わるようになりました。ヨガの講師の方々とも、このときに出会いましたね。ファッションの世界しか知らなかった私が、違う世界に飛び込み、素晴らしい方々と出会えたことは大きな財産となりました。でも、ブランドのオープンの日は娘が生まれる寸前。その後1週間ほどでこの子が生まれたので、大変だった思い出もたくさんあります(笑)。」

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――娘さんについて聞かせてください。今日もまわりの大人たちと楽しそうに話していて、海のある生活に、とても馴染んでいる印象です。
「そうですね。コミュニティで育ててもらっている感じです。
私たち家族は、子供が軸というよりはサーフィンが軸。千葉と違い、湘南は毎日波があるわけではないんです。だからその日の波で一日が決まるというか。休みの日に良い波があれば、まず朝一番に夫が海に行きサーフィンをします。その間私と子供は朝ご飯を食べ、その後全員で海へ。私がサーフィンをしている間は夫が子供と遊び、その後にまだ波があれば交代。そんな生活をしているので、娘も自然と海を好きでいてくれているみたいですね。」

――もともとは東京で暮らしていたそうですね。
「そうなんです。東京で働きながら、週末になったら波を求めてサーフィンに行くスタイルが好きでした。でも娘が生まれてから、仕事でどうしても面倒が見れないときに、鎌倉にいる母に来てもらっていたんです。でもだんだん母の体力も限界になってきてしまって。だとしたら、私たちが移り住み、仕事があれば東京に行くというスタイルが良いのではと考え、夫とも話し合って決めました。結果論ですが、今の生活が私たち家族にとってはベストだったと思いますね。」

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――東京で暮らしているときとの違いは、どんなところにありますか?
「いろいろありますが、東京では忙しくても忙しいと感じることがありませんでした。ただひたすら駆け抜けていた感じです。でも今は、例えば生野菜を無性に食べたくなるときがあります。コンディションが悪くなっていると、直そうと体が感じてくれるみたいで。日々の暮らしの中で、そんな些細な自分の変化をきちんと理解しながら、バランスよく暮らすことができるようになりました。私にとっても良い環境なんだと思います。
海があるから他は何もいらないわけじゃないし、ここで暮らしたらこうあるべきだ、と極端にならず、バランスのある生き方をしたい。そうやって自分自身が心地よく暮らしながら、みなさんにライフスタイル全般をプレゼンテーションし、魅力を知ってもらう活動をしていきたいですね。関わったみなさんが新たな自分を知るきっかけを、少しでも作れたら嬉しいです。」

――今年はどんな夏でしたか?
「忙しい夏でしたね。それは仕事的にということだけでなく、台風も多かったので、自然の中で生きる大変さを改めて感じながら過ごしました。毎日30分おきに天気予報をチェックしたりして(笑)。
そして初めて海のない場所でヨガイベントもしました。『SHONAN BEACH YOGA in Niseko」と題し、ニセコで開催しました。知らないところにも積極的に出向き、新しいコミュニティと関わりを持っていきたいですね。
プライベートとしては、毎年恒例、四国サーフトリップに行きました。徳島の海でサーフィンをし、しっかりと解放されてきましたよ。いろいろ感じた夏でしたね。」

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Photo by Naoki Yamashita

――では最後に、市川さんが一番自然な笑顔でいれるときとは?
「それはもう、娘と一緒にいるとき!世の中のお母さんは皆そうだと思いますが、人生で初めて自分より大事な存在が現れたんです。特に私はサーファーだし、私が!私が!というタイプでした(笑)。でもその順位が急に変わり、今は彼女が幸せであることが、私の幸せだと、日々感じていますね。彼女が笑顔でいれるために、心地よい環境を作っていきたいと思っています。自然の中で暮らすというのもそのひとつですが、それだけではなく、この先グローバルな視点で自立した女性になってほしいので、学びの環境も整えてあげたい。いまはインターナショナルスクールに通わせています。」
(向かい側に座っている娘さんに対し)「今一番楽しいことって何?」
娘さん:「ICT!」
「コンピューターの授業ですね(笑)。泥んこになって自然の中で遊ぶことも大事だし、勉強も大事。これはあくまでも私の考え方ですが、そんな両方の教育を続けていきたいと思っています。」

インタビュー中、友人やスタッフから何度も声をかけられ、その度に笑顔で話し、走り回る…。彼女は「このイベントは手弁当だ」と笑いながら話していたが、ヨガの名だたる講師たちや協賛企業を集め、他のコンテンツも充実させながら進化をとげるヨガイベントは、いつもあたたかい空気に包まれている。きっと彼女にしかできないことだ。娘という一番大事な存在が現れたからこそ得た鎌倉生活。今の生活がなければ、ヨガイベントも存在していなかったのかもしれない。
これからもきっと、私たちヨギーが楽しめる素敵なイベントを企画してくれるはずだ。

市川 麻衣子(Instagram: maimaiichikawa
横浜市生まれ鎌倉在住。ファッションデザイナー・ディレクター。
2017 S/Sよりスタートしたブランド「aise」のディレクターを務める。その他様々なブランドのディレクションや商品開発を行う。
神奈川県のビーチエリア活性化プロジェクト「FEEL SHONAN」のメンバーであり、ビーチヨガ実行委員会のプロデューサーとして湘南を中心にヨガイベントを主催。
サーフィンをライフワークとし、夫、愛娘、愛猫と暮らす。

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