「お酒を飲みすぎる…」わかっているのにやめられないのはなぜ?飲み過ぎる原因と対処法|心理師が解説

 「お酒を飲みすぎる…」わかっているのにやめられないのはなぜ?飲み過ぎる原因と対処法|心理師が解説
AdobeStock
石上友梨
石上友梨
2024-05-18

「お酒がやめられない」「ついつい飲み過ぎてしまう」そんな悩みを抱えていませんか?今回はお酒を飲み過ぎる原因と対処法について紹介します。

広告

お酒を飲み過ぎる原因とは?

お酒を飲み過ぎるのはいくつかの原因があります。どのような可能性があるのか紹介します。

1. ストレスなど心理面

まずは、ストレスや不安が強いなどの心理的な理由です。私たちはつらさを感じないようにしたり、和らげたりするためにお酒を頼ることがあります。お酒は強力なパワーを持っており、飲んでいる間はつらい感情を感じなくて済むため、ついつい頼りやすくなります。しかし、長期的には依存などの問題を引き起こす可能性があります。

2. 社交的な圧力

社会的な圧力によってお酒を飲み過ぎてしまうことがあります。飲み会や特定のイベントでは、周囲の人々が飲酒を促すことがあり、「空気を読む」ことで飲み過ぎてしまい、自己制御が難しくなることがあります。

3. 環境や文化的な影響

飲酒は環境による影響が大きいです。飲酒が社会的に許容される文化や推奨される環境では、お酒を飲むことが「当たり前」になりやすく、飲み過ぎるリスクも高まります。

4. 身体的な要因

飲酒量が多かったり、継続的・長期的にお酒を飲むことが習慣化していたりする場合、身体がアルコールに依存してしまうことがあります。身体的な依存状態になると、飲まないことでイライラ、不眠、頭痛や吐き気など身体的な不快感が強くなり、それを鎮めるためにまたお酒を飲んでしまいます。

AdobeStock
AdobeStock

お酒を減らす方法とは?

習慣化して増えてしまった飲酒量を変えていくのはとても大変なことです。まずは、お酒を飲み過ぎてしまう自分、飲酒量をなかなか減らせない自分を責めないことが大切です。「それだけ大変なんだ」「ストレスが溜まっているんだ」などと自分を受け入れ、労ってあげましょう。それでは、お酒をやめたり、減らしたりする方法を紹介します。

1. 目標を立てる

まずは、どの程度の頻度や量に飲酒を減らすか、あるいは完全にやめるか目標を明確にします。大きな目標だと続かない可能性がありますので、はじめは小さな目標から設定しましょう。

2. トリガーを認識する

自分の飲酒パターンやお酒が飲みたくなるトリガーを理解し、対処法を考えることが重要です。どのような状況やきっかけでお酒を飲んでしまうのでしょうか。ただの習慣になっているだけでしょうか。例えば、上司から注意されたとき、焼き鳥屋の前を通った時など、特定の場所や対人関係、寝る前など特定の時間帯がないのか特定しましょう。

3. サポートを求める

人は孤独感が強くなると、お酒などに依存しやすくなります。家族や友人、または専門家などのサポートを求めることが重要です。医療機関の中にはアルコール依存症の治療プログラムやカウンセリングを提供している場所があります。また、お酒に悩む人たちが集まる自助グループも有効です。

4. 健康的な代替手段を見つける

お酒以外のストレス解消法やリラックス法など、健康的な対処法のレパートリーを増やしていきましょう。お酒以外の対処法でストレスや不安を和らげられるようになると、自然と飲酒量は減っていきます。

5. 環境を変える

お酒を飲みやすい環境を避けることも重要です。例えば、飲み会に参加しない、禁酒宣言をした上で参加する、飲屋街を歩かない、家にお酒をストックしないなどです。アルコールを飲まない友人との対人関係を深めるのも役立ちます。

6. 自己ケアを続ける

睡眠やバランスの良い食事、運動など、健康的な生活習慣を取り入れることで、心と身体の健康をサポートしていきます。自己ケアを続けることで健康的な行動が自然と増えていきます。

AdobeStock
AdobeStock

最も重要なのは、自分の状況に合った対処法を見つけ、目標に向かって少しずつ進むことです。まずは今できること、取り組みやすいことから始めていきましょう。また、近年では依存に対する「ハームリダクション」という考え方があります。ハームリダクションとは、アルコールの使用や関連するリスクを最小限に抑えるためのアプローチです。ハームリダクションの目的は、アルコール使用による害を軽減し、個人の生活の質を向上させることです。お酒を完全に禁止するのではなく、それぞれの状況やニーズに応じた柔軟な対策をとっていきます。もし興味がある人は、ハームリダクションの特集も読んでみてください。

関連記事:依存を無理に「やめる」のではない新しいアプローチ「ハームリダクション」とは?臨床心理士が解説

広告

AUTHOR

石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

AdobeStock
AdobeStock