健康診断の結果で特に注意して見るべき2つの項目とは?医師が教える〈健康診断の正しい見方〉

 健康診断の結果で特に注意して見るべき2つの項目とは?医師が教える〈健康診断の正しい見方〉
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-05-14

健康診断では体重といった身体測定値は注目していても、それ以外の数値はあまり見ていないという人がいるかもしれません。チェックしておきたい診断結果について医師が解説します。

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健康診断とは

健康診断は、あなたの健康状態を把握したり、病気の危険因子の有無をチェックしたりするためのものです。

健康診断とは、現在の健康状態を調べ、病気の早期発見や予防につなげるためのものであり、さまざまな種類があります。

たとえば、事業者に実施が義務付けられているものを「一般健康診断」と呼び、これには職場で定期的に受ける定期健康診断、就職の際に実施する雇入れ時の健康診断、特定の業務に就いている人が受ける特定業務従事者の健康診断などがあります。

また、職場で健康診断を受ける機会がない個人事業主、自営業、専業主婦の人などは、お住まいの市区町村が実施する健康診断を受けることができます。

健康診断の結果は、後日に健康診断書が郵送されるか、当日あるいは後日に再度受診して健康診断書を受け取ることになります。

受診する場合には、健康診断書を見ながら医師からの説明を受けることもあります。

医療機関によって健康診断書の様式が異なりますが、各検査の数値や所見などに加え、判定として、正常(異常なし)、要経過観察、要再検査、要精密検査、要治療などと記載されていることが一般的です。

もし、健康診断結果に異常が見つかった場合には“要再検査”、詳しい検査を必要とする所見があった場合には“要精密検査”、明らかな病気があり治療を必要とする場合には“要治療”と判定されます。

このような判定となった場合は放置せず、医療機関を受診して精密検査や適切な治療を受けるようにしましょう。

健康診断結果で見るべきポイントについて

健康診断結果で見るべき点の一つであり、特に注意したいのが「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」です。

血糖値
健康診断結果で見るべき点の一つであり、特に注意したいのが「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」 photo by Adobe Stock

血糖値が高ければ高いほどヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が多くなるので、HbA1cの値は高くなる一方で、血糖値の低い状態が続くと、ヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が少なくなって、HbA1cの数値は低くなります。

HbA1cは世界中で測定されていて、2012年より日本でも国際的に広く使用されている測定値を標準化して使用することになりました。

実際の日常診療場面においては、糖尿病を現実的に診断するうえで一般的な血液検査を実践して、HbA1c(呼び方:ヘモグロビンエーワンシー)と呼ばれる採血項目値を測ることになります。

HbA1cの値は採血する前の過去1~2ヵ月間の血糖状態を反映する指標項目と言われていますので、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けないと考えられています。

この項目(HbA1c)は、最近1~2カ月の血糖値を反映しているので、いつ計測しても比較的安定した数値を知ることができます。

HbA1cは6.5%以上で糖尿病の恐れがありますが、数値が年々悪くなっている人、既に基準値を上回っている人は、炭水化物を減らすこと、お酒を減らすこと、運動することなど生活習慣を見直すことが大切です。

また、健康診断結果のなかで、特にチェックしたいのは、「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」です。

健康診断の項目のうち、LDLコレステロール値の異常というのは、非常に多くの方にみられるものの1つです。

LDLコレステロールの異常値は大きな病気の引き金になることもありますが、日常生活習慣を少し変えるだけで、数値の改善が期待できます。

LDLコレステロール(Low Density Lipoprotein cholesterol:低比重リポタンパク質コレステロール)は、別名「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、肝臓で合成されたコレステロールを全身に運ぶ役割があります。

このLDLコレステロールは増えすぎると血管の壁にくっつき動脈硬化を起こす原因となります。

この項目の数値が、140以上は高値に該当しますから、その際には、まずは炭水化物や肉を減らすこと、野菜を増やすことが大切です。

まとめ

これまで、健康診断とはどのような内容か、健康診断結果で見るべきポイントなどを中心に解説してきました。

健康診断をせっかく受けても、結果の見方が分からずに放置している人もいるかもしれません。

健康診断結果をきちんとチェックすれば、症状がないうちから「病気の前兆」を発見できますので、代表的なチェックポイントに照らし合わせて、自分の健康診断結果を見直してみましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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