〈健康診断〉受けただけで満足していませんか?薬剤師が教える、年代別・女性が必ず受けたい検査項目
企業や自治体が行う健康診断が健康かどうかを調べるものであるのに対し、女性向け検診は女性が注意すべき特定の病気の早期発見・早期治療を目的とするものです。健康診断で見逃されがちな病気をチェックするためにも大切な検診ですが、その受診率は3~4割程度と低いのが現状です。この記事では、年代別に女性が受けるべき検診について解説します。
年齢に合わせた検診を定期的に受けることが大事
女性ホルモンとの関係が深い女性の体。女性ホルモンは年齢とともに変化するため、注意すべき病気も年齢によって変わります。月経がある間はホルモンバランスを乱さないように心がけ、婦人科系疾患の予防や早期発見に努めることが大切。
更年期以降は生活習慣病やがんなどに注意が必要です。60代以上は運動や脳の機能低下などへの対策も不可欠になります。検診はヘルスメンテナンスの一環として、基本は1年に1回、70代は半年に1回、80代以降は3カ月に1回を目安に受けるとよいでしょう。
年代ごとに変わる!必ず受けたい検査項目
<20代>子宮や卵巣の病気にかかわる検査
性交渉がある場合は子宮頸がん検診を2年に1回受診。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを接種済み、またはHPV併用検査で陰性なら3~5年に1回でOK。20代は女性ホルモンの分泌量が多く子宮や卵巣にかかわる疾患のリスクが高いため、経腟超音波検査も受けたほうがよいでしょう。いずれも痛みはありません。
<30~40代>乳がんやホルモン値の検査
乳がんのリスクが高まることからマンモグラフィーの受診を。乳房を挟むため人によっては痛みを感じますが、がんの特徴である微細石灰化も発見でき、早期治療につながります。女性ホルモンが減少し始める年代でもあるため、血液採取によるホルモン値や、X線や超音波による骨密度の検査も始めましょう。
【乳房視触診について】……医師が目と手で乳房に異常がないかチェックする検査ですが、がん死亡率を下げる根拠がないとされ、2016年には厚生労働省が乳がん検診の方法として推奨しないとし、海外でも行われていません。受診することで安心してしまうというデメリットもあるので、画像による検査の受診をおすすめします。
<40~60代>子宮体がんや生活習慣病の検査
生活習慣病やがんのリスクが高まるため、血液採取による脂質などの検査や腫瘍マーカーを受けましょう。40代以降に増える子宮体がんの検査もぜひ。子宮内膜の細胞を採取する検査で、多少の痛みや出血を伴う場合もあります。先に経腟超音波検査を受け、内膜の厚みや不整をチェックしましょう。
世代別、女性が受けておきたい検診メニュー
女性向けの検診メニューは婦人科だけでなく内科のものもあります。年齢に合わせて必要な検査項目が変わります。
※検査費用は医療機関により異なります。上記費用には保険診療のほか、自由診療も含まれます。また、自治体により無料クーポンや負担軽減を受けられる場合があります。
女性向け検診はどこで受診できる?
・かかりつけ医のいる人は、上記のような検査が受けられるか確認しましょう。
・かかりつけ医が対応していない、またはかかりつけ医がいない人は、上記のような検診を行っている医療機関を口コミやネットで探し、検診を機にかかりつけ医になってもらうとよいでしょう。
まとめ
一般的な健康診断だけでは、女性特有の病気の早期発見ができない場合が多くあります。そのため女性は健康診断とは別に、定期的に女性向けの検診を受ける必要があります。また、女性ホルモンの影響により、年齢に合わせて必要な検査項目が変わっていくことも考慮する必要があります。コロナ禍で検診の受診控えが続いたこともあり、今こそ女性向けの検診をきっかけにヘルスリテラシーを向上させましょう!
AUTHOR
小笠原まさひろ
東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。
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