生卵・ゆで卵・たまご焼きで食べ方による卵の栄養の違いはある?管理栄養士が解説

 生卵・ゆで卵・たまご焼きで食べ方による卵の栄養の違いはある?管理栄養士が解説
Naomi Tsubata

卵は良質なたんぱく源となるほか、ビタミンCと食物繊維以外の栄養成分はすべて含んでおり、「完全栄養食品」と呼ばれるほど栄養が豊富な食品です。卵かけご飯など生でもおいしく食べられますが、ゆでや焼きなどいろいろな調理方法がありますよね。今回は、生卵・ゆで卵・たまご焼きで卵の栄養の違いはあるのかについて解説いたします。

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生卵の栄養

生卵
photo by Naomi Tsubata

生卵は加熱せず生で食べることから、熱で失われがちなビタミン類も摂ることができます。特にビタミンB群は水に溶けやすいため、調理で失われがちな栄養素です。

また、卵白に含まれ抗菌作用がある「リゾチーム」や、黄身に含まれ抗酸化作用により目の健康をサポートする「ルテイン」という成分は、加熱すると働きが減少してしまいます。

特にルテインは野菜と比べ卵黄に含まれているものの方が吸収されやすいことが知られています。

そのため、生卵で食べることで、ビタミンB群やルテイン、リゾチームなど健康のサポートをしてくれる栄養素を効率よく摂ることが可能です。

一方で、卵白に含まれる「アビジン」という成分は、ビタミンB群のひとつであるビオチンと結合してビオチンの吸収を妨げることが分かっています。

ビオチンは、エネルギーをつくるサポートや爪や髪の健康に関わっているビタミンで、不足により脱毛や食欲不振などの症状が現れます。

とはいえ、 ビオチンはいろいろな食品に含まれており、体内でもつくられるため、生の卵白を大量に長期間にわたって摂取しなければ欠乏することはありません。

ゆで卵の栄養

ゆで卵
photo by Naomi Tsubata

ゆで卵は生卵を殻ごと茹でるため、栄養成分を比べてみても、ビタミンB2やビタミンB12がほんの少しだけ減少しますが大きな違いはありません。

生卵ではビオチンの吸収を阻害してしまう「アビジン」がありますが、加熱することでアビジンが変化するので、その働きを抑えることができます。

たまご焼きの栄養

卵焼き
photo by Naomi Tsubata

たまご焼きなど油と一緒に調理することでカロリーや脂質は高くなりますが、油に溶けやすい脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、Kの吸収率が上がります。

また、たまご焼きも加熱によって、ビオチンの吸収を阻害する「アビジン」の働きが抑えられています。

まとめ

栄養を逃さないという点では、熱によって栄養素の損失が起こらないため生卵で召し上がるのが一番よさそうです。

とはいえ、生卵・ゆで卵・たまご焼きで栄養の違いが多少はありますが、卵自体は栄養がとても豊富な食材です。日常的にも手に入りやすく、生のままはもちろん、ゆでたり、焼いたりと毎日のメニューにも取り入れやすいです。

今回ご紹介した内容を参考に、卵の栄養をいろいろな調理方法で取り入れてみてはいかがでしょうか。

【参考文献】 

公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット,ビオチンの働きと1日の摂取量

文部科学省:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

一般社団法人 日本養鶏協会:卵の知識

Alisa Perry et al., : Xanthophyll (lutein, zeaxanthin) content in fruits, vegetables and corn and egg products, Journal of Food Composition and Analysis,2009

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AUTHOR

津端奈緒美

津端奈緒美

管理栄養士/ライター。大学卒業後、病院の管理栄養士として栄養指導などに従事しながら社会人学生として修士課程を修了し、現在は博士課程を履修中。ライターとして栄養や健康に関する分野で科学的根拠に基づいた記事やコラムを執筆している。



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