嫌いな人も多い、生卵の〈カラザ〉取ってしまうと実は損してしまう理由は|管理栄養士が解説

 嫌いな人も多い、生卵の〈カラザ〉取ってしまうと実は損してしまう理由は|管理栄養士が解説
Photo by Naomi Tsubata

普段から食卓になじみのある卵ですが、生卵を割ると黄身の左右に白いヒモのようなものが付いているのを見たことがあると思います。この白いヒモのようなものは「カラザ」という名前で実はすごい栄養が隠されています。今回は「カラザ」の栄養についてご紹介したいと思います。

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生卵のカラザとは?

カラザとは卵を割ったときに卵黄の左右についている白いひも状のものです。卵黄をたまごの中心から動かないようにし、衝撃から黄身を守る役割があります。カラザは卵白と同じタンパク質からできています。

カラザ
カラザとは卵を割った時、卵黄の左右についている白いひも状のもの。 photo by Naomi Tsubata

カラザは取ったら損!実はすごい栄養が含まれている

photo by Naomi Tsubata

カラザは見た目が気持ち悪いから食べずに取っているという方もいらっしゃるでしょう。しかし、カラザにはシアル酸というすごい栄養が高濃度に含まれています。

シアル酸とは

シアル酸は体内では脳や神経に多く含まれています。また、シアル酸は母乳にも含まれており、産まれてから1歳半くらいまでに増加するので、身体の形成や発達に関わっていると考えられています。シアル酸には様々な効果があるのでご紹介いたします。

菌やウイルスを予防して免疫力を高める

シアル酸は菌やインフルエンザなどのウイルスと結合することで、身体への菌やウイルスの付着を防ぎ感染を予防する効果があることが分かっています。

これにより、菌やウイルスに感染しにくくなるため免疫力を高める効果があると考えられています。

カラザにはシアル酸が豊富に含まれていますので、菌やインフルエンザなどウイルスの予防や免疫力を高めたいという方はカラザを捨てずに食べるのがおすすめです。

抗酸化作用

最近では、シアル酸に抗酸化作用があることが分かってきました。

抗酸化作用により、動脈硬化やがん、老化などを引き起こす活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除いたりする効果が期待できます。抗酸化作用というと、ワインのポリフェノールや、緑黄色野菜などのカロテノイドが有名ですが、シアル酸にも同様に抗酸化作用が期待できます。

唾液の分泌量をアップさせる

年齢を重ねると唾液の分泌量が少なくなり、口の中が乾いてドライマウスになりやすいといわれています。ひどくなると舌の痛みや、味覚の異常、口臭などさまざまな症状が起こってしまいます。ラットの研究ではありますが、シアル酸を与えた高齢ラットでは唾液の量が若いラット並に増加しており、シアル酸が唾液の分泌量をアップさせるのではないかと考えられています。

 まとめ

カラザにはシアル酸が豊富に含まれており、免疫力の向上や抗酸化作用、唾液の分泌量を増やすなど健康に嬉しい効果がたくさんあります。そのため、生卵のカラザは取り除かずに食べるのがおすすめです。

【参考文献】

山本武彦 他:鶏卵の化学とその応用, 化学と生物, 35(4), 274-281, 1997

高橋忠伸:インフルエンザウイルスが結合する糖鎖分子の機能解明,ウイルス, 66(1), 101-116, 2016

渡辺剛 他:シアル酸(N-アセチルノイラミン酸)の機能性,食品と開発,53(1),2018

厚生労働省:e-ヘルスネット,抗酸化物質

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AUTHOR

津端奈緒美

津端奈緒美

管理栄養士/ライター。大学卒業後、病院の管理栄養士として栄養指導などに従事しながら社会人学生として修士課程を修了し、現在は博士課程を履修中。ライターとして栄養や健康に関する分野で科学的根拠に基づいた記事やコラムを執筆している。



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