緑茶を飲むのは1日何杯までが適量?飲みすぎるとどうなる?管理栄養士が解説
日本人にとって身近な飲み物である緑茶。カテキンやテアニンなどの効能も注目されていますね。しかし体によいからといって緑茶を飲み過ぎると、健康を損なう可能性があります。そこでこの記事では、1日に摂取できる緑茶の量について管理栄養士が解説します。緑茶を毎日安心して飲むために、適正量を知りましょう。
健康づくりに役立つ緑茶
お茶と一言でいっても、世界中にはさまざまな種類が存在します。そのなかでも茶葉を発酵させないお茶は、まとめて緑茶と呼ばれています。実は煎茶やほうじ茶、玄米茶、玉露などは緑茶の一種。日本で生産されるお茶のほとんどが、緑茶に分類されるのです。
緑茶には、主に以下のような効果・効能があります。
・コレステロール値の低下
・生活習慣病予防
・美肌効果
・抗菌・抗ウイルス作用
・リラックス効果
緑茶の渋み成分であるカテキンには、コレステロールや中性脂肪の吸収を抑える作用があります。そのため「体脂肪がつきにくい」と称した、カテキン入りのお茶も販売されていますね。
緑茶のうまみや甘みのもとになるテアニンは、交感神経の働きを抑制して心身をリラックスさせます。睡眠の質の向上にも効果が期待できるでしょう。
上記は緑茶により得られる効果の一部に過ぎません。緑茶は、健康維持の強い味方になる存在といえるでしょう。
緑茶はカフェインに注意
緑茶に含まれる成分のひとつにカフェインがあります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクの成分として名前を聞いたことがあるかもしれません。カフェインには覚醒作用があるため、適量の緑茶を飲むと眠気を防げるでしょう。しかしカフェインを摂り過ぎると覚醒作用が強く働き、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠といった症状が現れます。消化器官にも影響して、下痢や嘔吐を引き起こすこともあります。このようにカフェインにより体調を崩すおそれがあるため、緑茶の過剰摂取には注意が必要です。
緑茶は1日何杯まで?
日本では、カフェインの摂取上限量について具体的な数値は示されていません。しかし海外に目を向けると、カフェインの摂取量を明示している国がいくつかあります。
アメリカやカナダ、ヨーロッパの公的機関では、妊婦・授乳婦・妊娠予定の方を除く大人であれば、1日当たり400mgまでカフェインを摂取しても健康に影響はないとしています。
そこで気になるのは、緑茶に含まれるカフェインの量です。緑茶とコーヒー100ml当たりに含まれるカフェインの量は、次のとおりです。
100ml当たりのカフェイン含有量(mg) | |
煎茶 | 20 |
ほうじ茶 | 20 |
玄米茶 | 10 |
玉露 | 160 |
コーヒー | 60 |
緑茶は種類により、カフェインの含有量が異なります。
玉露には、コーヒーと比べてもかなり多くのカフェインが含まれることがわかりますね。玉露は、カフェインが豊富なお茶の新芽を多く使用するため、カフェインの濃度が高くなります。また、玄米茶のカフェイン含有量は少なめです。これは、カフェインを含まない炒り米が茶葉とほぼ同量含まれるためです。
1日400mgまでカフェインを摂取してよいのであれば、煎茶は1日2リットル飲んでもよいことになります。煎茶1杯を150mlとすると、13杯まではカフェインの影響を心配することなく飲めるでしょう。
ただしカフェインの作用には個人差があります。カフェインの影響を受けやすい方は、上記の量よりも摂取を控えてください。また表のとおり、玉露には多量のカフェインが含まれています。玉露は一度に多く飲むものではありませんが、カフェインがたくさん含まれていることに留意しましょう。
緑茶を飲み過ぎると、カフェインの作用により体調を崩すおそれがあります。一方で、緑茶にはさまざまな健康効果があることもわかっています。健康づくりのために、適量の緑茶を生活に取り入れてはいかがでしょうか?
【参考文献】
農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
伊藤園「お茶百科」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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