ジュースのパッケージに書かれている「濃縮還元」の正しい意味、知ってる？ストレートとの違いとは

濃縮還元とは？

果汁100％のジュースには、大きく分けて「濃縮還元」と「ストレート」の2種類があります。

ストレートと表記のあるジュースは、生の果実から絞った果汁をそのまま使って作られたものです。

一方で、濃縮還元タイプのジュースには、搾ったままの果汁ではなく、加工して濃縮させた果汁が使われます。加熱したり、冷凍したりすることで、果汁の水分を飛ばし、濃縮させるのです。

濃縮果汁はしばらくその状態のまま保管され、容器に詰めるとき、本来の濃度になるように水分を加えて調整されます。

このように、一度濃縮した果汁をもとの濃度に戻す（還元する）製法で作られたジュースを、「ストレート」と区別して、「濃縮還元」と呼んでいます。

なぜ果汁を濃縮するの？

濃縮果汁が使われる理由は、おもに2つあります。

1つ目の理由は、年間を通して安定した品質の商品を製造するためです。旬には味のよいストレート果汁が十分に手に入りますが、収穫期を外れると、品質が悪くなったり、収穫量が少なくなったりするおそれがあります。

収穫期に獲れた果実の果汁を濃縮し、長期的に保存しておくことで、旬以外の季節でも安定した品質の商品を作れるというわけです。

2つ目は、保管と輸送のコストを抑えるためです。濃縮すると果汁の体積が小さくなるため、保管や輸送するために必要なスペースが少なくて済みます。

ストレートとのちがい

同じ果汁100％でも、製造方法が異なる濃縮還元タイプのジュースとストレートタイプのジュース。栄養価や風味などにも、ちがいはみられるのでしょうか？

①栄養価

基本的に、濃縮還元を選んでも、ストレートを選んでも、栄養価の面ではそこまで大きな差はありません。どちらの製法でも、果実を絞ったり加熱したりと、さまざまな加工処理を行うため、食物繊維やビタミンCなどの栄養価は生の果物よりも少ないのが一般的です。

②風味

濃縮還元タイプのジュースは、果汁を濃縮する過程で果実の香りが飛び、風味が落ちやすいといわれています。それを補うために、商品によっては、香料を添加しているものもあります。

より本来の果物に近い風味を楽しみたい場合には、ストレートタイプのジュースを選ぶのがよいでしょう。

③価格

濃縮還元タイプのジュースは、ストレートタイプのジュースよりも製造にかかるコストが少ないため、商品自体の価格も比較的安い傾向にあります。商品にもよりますが、価格を重視したいときは、ストレートタイプのものより濃縮還元タイプのものを選ぶとよいでしょう。

普段飲むのは濃縮還元？ストレート？

普段飲んでいるジュースが濃縮還元タイプなのか、ストレートタイプなのか、あまり意識したことがないかもしれません。気になる方は、ぜひパッケージで確認してみましょう。飲み比べてみるのも面白いですよ。

【参考文献】

・消費者庁「果実飲料品質表示基準」

・福井県「Q&A　濃縮還元果汁とは？」