【紅茶のプロが解説】英国紅茶の魅力と、イギリスの「濃厚ミルクティー」を再現する秘密
こんにちは。紅茶コンサルタントの林原真澄です。先日のロンドン、ウェストミニスター寺院で行われたチャールズ国王の戴冠式。輝く王冠や絢爛豪華な馬車がまるでおとぎ話のようでした。映像を見ているとロンドンに住んでいた頃が懐かしく、今回はその頃の体験を交えて紅茶の魅力をお伝えします。
イギリスで紅茶が作られているのですか? レッスンでもよくある質問です。イギリスに茶園は一つしかありません。イギリスは紅茶やアフタヌーンティーの習慣と文化が根付いている国で、主な紅茶の産地はインドやスリランカ、また中国やケニアなどです。
イギリスで飲まれる紅茶「ブレックファーストティー」の消費量が圧倒的と言えるでしょう。名称は「イングリッシュブレックファースト」や「アイリッシュブレックファースト」など紅茶会社によっていくつかありますが、その特徴はコクと深みのある「アッサムティー」(インド、アッサム地域で生産された紅茶)をベースにブレンドされていることが多いということ。「ブレックファーストティー」に冷蔵庫から出した牛乳を加えて飲むミルクティーが一般的です。一日に10杯近く飲む人も少なくありませんでした。
ロンドンで飲んだミルクティーが忘れられない
東京で淹れるミルクティーがロンドンで飲んだミルクティーの味にならない、と聞くことがあります。一番の理由は水の違いでしょう。ロンドンの水は硬水で東京の水は軟水です。(水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量でWHOが基準を設けています。)
紅茶は軟水で淹れる方が水の色が美しく香りもたつのですが、コクという点では硬水が向いています。つまり、ブレックファーストティーを硬水で淹れると水の色は濃いこげ茶色でよりコク深い紅茶になり、ミルクティーにぴったりというわけです。
たっぷりのクロテッドクリームとイチゴジャムをのせたスコーンと、コクのあるミルクティーのマリアージュはロンドンの最高のご馳走のひとつかもしれません。
Happy Tea Time!
AUTHOR
林原真澄
紅茶コンサルタント /(株)Masumi English Tea NY代表取締役。ロンドンで紅茶の専門家としてキャリアをスタートし、英国紅茶会社のブランドアンバサダーとして世界の5つ星ホテルで紅茶研修やイベントを数多く手がける。その後NYに拠点を移し、セミナーの主宰や執筆活動をへて帰国。16年の海外経験をいかし、東京で紅茶の可能性を広げる活動を行う。現在は、企業向けのティーコンサルティングや研修を中心に、ブランドや飲食店とのコラボレーションを実施。南青山のヴァルカナイズ・アカデミーにて「モダン・ブリティッシュティークラス」を毎月第3金曜日&第4水曜日開講中。★★ハーニーアンドサンズ紅茶セミナー9/26(火)募集中です。
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