ヘルシーなイメージだけど…栄養満点な「グラノーラ」の落とし穴とは?管理栄養士が解説
「グラノーラ」は、簡単に用意できるのに栄養素をバランスよく摂れるため、忙しい朝に重宝します。しかし、甘い味付けとザクザクとした食感から、ついつい食べすぎてしまうことも。グラノーラの食べすぎは体にどのような影響があるのでしょうか。今回は、グラノーラの食べすぎによるリスクと、1食の目安量を解説します。
グラノーラってどんな食べ物?
グラノーラはシリアルのひとつで、コーンフレークやオートミールなどの仲間です。オーツ麦(えんばく)やライ麦、米などの穀物に、はちみつやシロップ、植物油を絡めて焼き上げるとグラノーラになります。ドライフルーツやナッツなどを混ぜ合わせて食べるのが定番です。
グラノーラのオーツ麦やライ麦は、全粒穀物(ぜんりゅうこくもつ)に分類されます。全粒穀物とは精製されていない穀物のこと。ビタミンB群や鉄、食物繊維が豊富に含まれています。
そのため、グラノーラを食べると、体に必要なビタミン類や鉄、食物繊維などを効率よく摂ることができます。グラノーラは忙しい朝でも手軽に栄養をおぎなえる、便利な食べ物だといえるでしょう。グラノーラ単体ではたんぱく質が控えめなので、牛乳やヨーグルトなどをかけて食べるのがおすすめです。
食べすぎは、肥満やお腹の不調につながるおそれも……
バランスのよい栄養価が魅力的なグラノーラですが、「健康や美容によい」というイメージでたくさん食べると、かえって健康を損なうこともあります。
たとえばグラノーラの食べすぎは、肥満につながるおそれがあります。グラノーラには砂糖やシロップ、油などが使用されているため、思いのほかカロリーが高くなってしまうのです。
グラノーラのカロリーは、100gあたり400~500kcalほど。さらに牛乳を200mlかけると約126kcal、ヨーグルトを200gかけると約112kcalのカロリーアップにつながります。
グラノーラと同じような主食(炭水化物)のカロリーをみてみると、ごはんはお茶わん1杯(150g)あたり約234kcal、6枚切り食パンは1枚(60g)あたり約149kcalです。
今まで食べていた主食をグラノーラにかえると、食べる量によっては大幅に摂取カロリーが増え、体重が増える原因になることもあります。
また、グラノーラには便通を整える効果が期待できる食物繊維が豊富です。しかし、食物繊維を摂りすぎると、お腹が張って気分が悪くなったり、下痢になったりするおそれがあります。
「健康な食べ物だから」「栄養素をしっかり摂りたいから」といって、大量のグラノーラを食べ続けないようにしましょう。
1食あたりの適量
グラノーラの1食あたりの適量は、商品にもよりますが、およそ40〜50gといわれています。パッケージに記載されていることが多いため、一度確認してみるとよいでしょう。実際に計ってみると「意外と少ない!」と感じるかもしれません。
糖質オフ=低カロリーではない?
ダイエット中の方であれば、糖質オフタイプのグラノーラを選ぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし実際には、糖質オフタイプのグラノーラのカロリーは、通常のグラノーラよりも高いことが多いため、気をつけましょう。
「グラノーラを食べたいけど、できるだけカロリーを抑えたい」という場合には、糖質オフタイプを選ぶのではなく、牛乳やヨーグルトを低脂肪・脂肪ゼロのものにするほうがおすすめです。
グラノーラは適切な量であれば、牛乳やヨーグルトをかけるだけで簡単に体に必要な栄養素を摂れる、とても便利な食品です。お皿に盛り付ける量には気をつけながら、普段の食事に上手に取り入れてみましょう。
【参考文献】
・文部科学省,日本食品標準成分表2020年版(八訂)
・Calbee「よくいただくご質問」
・日清食品グループ「ごろグラ」
AUTHOR
藤倉詩織
管理栄養士。【予防医療】にかかわりたいという思いから、大学卒業後は健診センターに就職。メタボリックシンドロームや生活習慣病の方への栄養指導・特定保健指導を経験し、現在はフリーランスの管理栄養士・ライターとして活動中。
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