ウィニー・ハーロウが「自分を愛することは言うほど簡単なことではない」と語った理由

 ウィニー・ハーロウが「自分を愛することは言うほど簡単なことではない」と語った理由
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長坂陽子
長坂陽子
2022-12-11

スーパーモデルのウィニー・ハーロウ。彼女のメッセージが注目を集めている。

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スーパーモデルのタイラ・バンクスにSNSで見出されたことからファッション界に足を踏み入れたシンデレラガール、ウィニー・ハーロウ。タイラが司会を務めるオーディション番組「アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル」に出演、2014年にモデルデビューを果たした。すぐにスペインのブランド「デシグアル」のブランドの顔に抜擢され、一躍トップモデルに。これまで「フェンディ」や「トミー・ヒルフィガー」「マーク・ジェイコブス」など多くのブランドのランウェイやキャンペーンに出演してきた。

彼女を見たときに誰でも最初に気が付くのは肌。まだら肌と呼ばれる尋常性白斑を患っている。尋常性白斑は慢性的な皮膚疾患で肌の一部の色素が失われてしまう。現在も原因や治療法は確立していない。彼女が病気に罹ったのは4歳のとき。ジャマイカ系にルーツをもつことから元々肌が褐色だったウィニー。白斑は非常に目立つ。子どもの頃は「しまうま」「牛」とありとあらゆる暴言や悪口を言われ、虐められたという。いじめが原因で何度も転校、自殺を考えたこともあるという。彼女は結局高校を中退している。

ウィニー・ハーロウ
ウィニー・ハーロウ photo by Getty Images

ウィニーは現在、モデルとして活躍しつつ自分を愛すること、ありのままの受け入れることの大切さについてメッセージを発信している。体験に裏打ちされた彼女の言葉は病気やいじめに苦しむ若者をはじめ多くの人に勇気を与えている。あるインタビューでは「自分を愛することは言うほど簡単なことではありません」とシビアな現実を指摘し、共感を集めた。「私は成長過程でいじめを経験したことなどで自分を愛する心を失ってしまいました。私にとってその心を見つけること、そして私に対する否定的な意見は時間や感情を費やす価値がないものだと理解することが大切でした」「人と違うと感じるのは間違ったことでも後ろ向きなことでもないのです。私たちはみんな違うのだから」。

包括性が当たり前のことになる世界に

美の多様性、すべての人を受け入れる包括性が重要視されている今、ウィニーのメッセージはますます注目を集めている。とはいえ今の彼女はこの注目に対して複雑な心境を抱いているそう。最近のインタビューでは「包括性が当たり前のことになってくれること、議論しなくてはいけないような話題ではなくなることを望んでいます」とコメント、自分が語らなくてもよくなる世界になってほしいと語った。

「まだら肌モデル」と言われることについて「私はまだら肌患者でも、まだら肌モデルでもない。私はウィニー。私はモデル。そしてたまたま、まだら肌なだけ。その名前を私や他の人に押し付けるのはやめて」とコメントしていたこともあるウィニー。彼女が「まだら肌」と紹介されることがなくなる、本当に多様で包括的な社会がくることを望みたい。

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長坂陽子

長坂陽子

ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。



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