どうか知ってほしい、ステロイド筋症のこと。【連載 #"生きる"を綴る】

宮井典子

どうか知ってほしい、ステロイド筋症のこと。【連載 #"生きる"を綴る】

宮井典子
宮井典子
2022-09-21

ピラティスインストラクターであり、ヘアターバンデザイナーの宮井典子さん。全身性エリテマトーデス(SLE)患者としてメディアで啓蒙発信しながら、心地よい暮らしと働き方を模索しています。そんな宮井さんによるエッセイ連載『"生きる"を綴る』、今回は第4回目です。

先月、宣言した通り、インストラクター復帰に向けてピラティスを再開したものの、体力がなさすぎてピラティスの"ピ"までたどり着いていないというわたしの体。

実は、再燃(体調を崩す前)のときよりも下肢の筋肉が著しく低下していて、思ってる以上に日常生活の様々な場面で不便さを感じています。

悩ましい筋肉の低下について、この場を借りてみなさんとシェアしたいという想いで書きました。

聞き慣れない言葉も出てくると思いますが、ぜひ最後まで読んでいただき、いち当事者の日常を知ってもらえたらと思います。

これはステロイド治療に伴う筋萎縮、すなわち「ステロイド筋症」と言われている症状で、ステロイド剤による副作用のひとつであり、筋力・筋肉の低下を引き起こすというものです。

一般的には、ステロイドの使用量を減らすにつれて症状は改善されると言われていますが、日常生活での活動量も減ってきているせいか、ステロイドを減量しても改善してきたという実感が未だ持てません。

個人差はあるものの、わたしの場合は疲れやすい、つまずきやすい、階段の昇り降りがしんどい、下肢の慢性的なむくみによる疲労感、よろけやすいといった症状が目立つようになりました。

体幹も下肢の力も弱いので、踏み留まる力や踏ん張る力がほぼありません。

たとえば、スーパーで小さな子供が走りながらぶつかってきたり、急な進路変更を余儀なくされたり、すれ違い様に大きなバッグが体に当たったりすると、簡単によろけてしまいます。場合によっては転けてしまいそうになることもあります。

もちろん誰も悪くないのです。

どちらもわざとしてるわけではないですが、特に小さなお子さんの親からしたら、「え?そんなことで大の大人がよろける?」と驚かれる場合もあるかもしれません。

側からみればまるでコントのよう。でもこれが現状なんです。

退院して数カ月経った頃、久しぶりに電車に乗ったある日。乗り換えをする電車を前にホームで大転倒し、娘に心配されたことがありました。たくさんの人がいる前で、大の大人が派手に転んで、情けなくて泣きたいような、恥ずかしさをごまかしたくて笑いたいような何とも複雑な心境の中、わたしは起き上がることで必死でした。

だから知ってほしいんです。

ステロイド筋症のこと。筋萎縮のこと。

そして、当事者の方においては、諦めないでほしいということをお伝えしたいです。

ステロイド筋症や筋萎縮は、単なる筋力低下の問題だけでなく、徐々に生活意欲も失われる悪循環に陥る可能性があるのでは?とわたしは危惧しています。

これはわたしの経験からですが、ステロイド筋症で筋力が低下し、それによって「迷惑掛けちゃうから外出は控えておこう」とか「痛い思いをするくらいなら外出を我慢しよう」とか、自身で日常生活に制限を掛けてしまうことで活動量も生活意欲も奪われていき、結果的にQOL(生活の質)の低下に繋がっていくように思います。

これってどう考えても悪い連鎖の始まり。なのに、治療が最優先のため、ステロイド筋症は軽視されている現状があります。

仕方がないこととは言え、インストラクター業に従事していた当事者としては、仕方がないことでは済まされないのでは?と悶々と日々を過ごしてます。

そんな毎日ですが、少しでも現状を抜け出せるように継続は力なりを信じて、疲れを残さない程度の軽い運動を継続しています。

主治医から運動を勧められるものの、「具体的な運動内容の提示はない」という当事者の声もありますし、病気によっては運動に関するガイドラインが確立されていないことから「何から始めたらいいのかわからない」という声も聞こえてきます。

そこで、今少しずつ準備を始めてるのが、わたしと同じようにステロイド筋症に悩む低体力者を対象した、QOL維持のためや社会復帰のための簡単な運動。強いて言えば産じょく体操のようなものです(※産じょく体操とは、産後に始められるお母さんの体や機能回復のための軽い体操のこと)。

ステロイド筋症に悩む人に必要なのは、筋肉をつけて体力を取り戻し、機能を回復させること。いかにQOLを下げず落とさず、毎日をよりよく過ごすか。

わたしが常に掲げている人生のテーマである、

"自分の目で景色をみて、自分の手でごはんを食べて、自分の足で歩き続けること"

に繋がっていくのです。

形になるまでもう少し時間が必要ですが、自分自身がよりよく生きるためにも、そして誰かの役に立てる喜びを想像しながら進めていきたいと思いますので、またこの場でみなさんとシェアさせていただけたら嬉しいです。

AUTHOR

宮井典子

宮井典子

ヘアターバンデザイナー、ピラティスインストラクター。37歳のときに膠原病予備軍と診断される。38歳で結婚し、39歳で妊娠、出産。産後4カ月で仕事復帰し、ピラティスのインストラクターとして精力的に活動。45歳のときにSLE、シェーグレン症候群を発症。現在は、病気や薬の副作用による髪の悩みに特化したヘアターバンをデザイン、販売している。

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