全身性エリテマトーデス当事者の私が考える、想像することの重要性【連載"生きる"を綴る】

Noriko Miyai

全身性エリテマトーデス当事者の私が考える、想像することの重要性【連載"生きる"を綴る】

宮井典子
宮井典子
2022-07-15

ピラティスインストラクターであり、ヘアターバンデザイナーの宮井典子さん。全身性エリテマトーデス(SLE)患者としてメディアで啓蒙発信しながら、心地よい暮らしと働き方を模索しています。そんな宮井さんによるエッセイ連載『"生きる"を綴る』、今回は第3回目です。

ダイバーシティ、インクルーシブ、誰一人取りこぼさない、取り残さない。

そう掲げてる現代社会においても、わたし達のように見た目にわかりにくい難病患者の声はなかなか届きません。

今回は治療真っ只中の当事者として罹患している病気について、ちょっと真面目な話を綴りました。

いつもより長いですが、最後までお付き合いください。

 

わたしは全身性エリテマトーデス(SLE)患者です。

全身性と名がつく通り、臓器、皮膚、関節、神経など全身に様々な症状が現れる疾患で、医療が進歩した現代社会においても発症原因は解明されていません。

患者数は6万人から10万人。それ以上とも言われています。

SLE患者は見た目はごく普通ですが、個人差や症状の度合いにはよるものの、日常的に不便さや不都合さを抱えて生活しています。

ここから先の症状についてはあくまでもわたしの場合ですが、病気による症状と薬による副作用で悩みは尽きません。

倦怠感や筋肉痛、疲労感は日常的。

関節の痛みや手指のこわばりといった症状は現在はありませんが、以前はほぼ毎日。

たとえば、ペットボトルの蓋が開けられない、締められない、グラスやお皿がうまく持てず落として割ってしまう、財布から小銭が掴めない、お箸が握れない等、生活をする上で不便さや不都合さを頻繁に感じていました。

人によってはその他にも様々な症状を抱えていて、誰一人同じ症状はなく、個々によっても症状は異なり、併発する疾患、合併する疾患もそれぞれ違います。

そしてSLEは指定難病のため、医療助成の対象であり、わたし自身も大変助かっていますが、実際のところ投薬の種類によってはかなり高額です。

就労もままならない状況の中、毎月、高額な支払いがある患者にとって精神的負担も大きくのしかかります。

障害者ではないので福祉のサポートは受けられない、一般枠での就労となりますが健常者のようには働けない。働けないどころか「日常生活もやっと」という人もいます。

日常的にある痛みや辛さは数値化されないため、当事者がどれだけ訴えたとしても「怠けている」とか「ずるしてる」「気合いが足りない」などと言われた人も少なくありません。

当事者としては"なりたくてなったわけじゃない"だけに、非常に悔しい想いをするけれど、俯瞰すると誰も責められない。当事者としてもこればかりは経験しないとわからないことだろうとも思うのです。

 

世の中には、経験して初めて知ることの方が多いかもしれませんが、想像すること、想いを寄せることや馳せることは誰にだって出来ることのような気がします。

それならば、この現状を知らない人に知ってもらうことが必要で、わたしは当事者としてリアルな声が届くように言葉を伝えたい。

わたし自身、病気によって失ったものや諦めたものは数え切れない程たくさんあります。

わたし達は、物語のページをめくるように、その都度、人生の選択をしていて思い通りにいくときもあれば、思い通りにいかないときもあるわけです。

そして、ある日突然、想像すらしてなかった出来事にぶち当たることも多々あります。

わたしの場合、そのひとつに病気を発症するという「イレギュラーなこと」が人生で起こってしまいました。

イレギュラーな出来事は病気になるそれだけでは終わらず、わたしがこれまで大切に築いてきたものを、いとも簡単にごっそり奪っていくのです。

身体的なことのみならず、キャリア、自信、自己肯定感、収入、趣味、人間関係、未来、夢。

多くのものを失い、諦め、今を生きてます。

病気にならなかったら、恐らく今とは全く違う人生を歩んでいたことでしょう。

でもそれは想像でしかありません。

失ったものや諦めたものはたくさんあるけれど、それはもうどうすることも出来ないこと。過去を変えることなんて出来るわけもないのです。

そう思うようになってから私は、今を嘆くのではなく、視点を変えて、これまでとは違う世界で新たな人生観、喜び、自己肯定感、達成感、充実感を得ることを選び、新たな人生を生きよう!と決めました。

人生はいつからだってやり直せる。

まだまだこれから!

私が腹を括れたのは、年齢も大きいかもしれません。

わたしは来年50歳。

再び訪れる節目を前に、この一年どう生きたいかをより考えるようになりました。

元気だった頃の自分と比べる必要もないし、他の誰かと比べる必要もない。

「わたしはわたし」

心がざわざわする日、泣きたくなる日、投げ出したい日もあります。

そんな日は空を見上げて深呼吸をして、1日の終わりに、この"魔法の言葉"を口にします。

「わたしはわたし」

実際にはいいことばかりじゃないけれど、言葉の力を信じて、なりたい姿をイメージしながら繰り返してみてください。

今日もよく笑った!!!!!

明日もいい日になる!!!!!

みなさんにとって、今日も明日も笑顔溢れるいい日になりますように。

AUTHOR

宮井典子

宮井典子

ヘアターバンデザイナー、ピラティスインストラクター。37歳のときに膠原病予備軍と診断される。38歳で結婚し、39歳で妊娠、出産。産後4カ月で仕事復帰し、ピラティスのインストラクターとして精力的に活動。45歳のときにSLE、シェーグレン症候群を発症。現在は、病気や薬の副作用による髪の悩みに特化したヘアターバンをデザイン、販売している。

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