マオリ伝統のハーブが光る少数精鋭・多機能なSans Ceuticalsの魅力
美しくなることは、地球に優しいこと——これからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
世界のビューティシーンで、今最も注目の国の一つであるニュージーランド。そこは、豊かな大自然、美しい水、そして何よりマヌカハニーや先住民族マオリの伝統のハーブなど、美と健康の可能性を大きく広げるエッセンスの宝庫でもある。そんなニュージーランドで2012年に誕生し、セレブ御用達世界的ブランドとなったのが、Sans Ceuticals(ソンズ・シューティカルズ)だ。「プロの美容師として20年過ごす中で、トリコロジー(毛髪科学)に魅了されました。スキンケアもヘアケアも、本当に効果的なものであれば、ケアもシンプルで済むはず」というCEOのルーシー・ヴィンセント氏の哲学の元に誕生した製品は、いずれもロングセラーばかりだ。そして昨年、少数精鋭の製品レンジで世界的な成功を収めたSansが、2013年以来待望の日本再上陸を果たした。そこで早速ヴィンセント氏にブランドの魅力と、環境への取り組みについて話を伺った。
環境を損なうことなく“より良い生き方”に貢献する
——Sans Ceuticalsは、世界的にもクリーンビューティの先駆けとして注目されており、日本再上陸が待たれていたブランドでもあります。まずはブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
私がこのブランドを立ち上げたのは、ちょうど10年前の2012年でした。理由は、当時自分自身が使いたいと思うようなヘアケアが市場に見つからなかったからです。私が求めていたのは、クリーンな原料を使用して必ず結果を出すような、そんな結果重視の自然由来ヘアケア製品でした。そこで自分で作ろう、と思い立ったことがきっかけとなりました。そして何故市場にはそのような製品がないのだろうか、という疑問が頭をもたげ、独学で成分や処方について学び始めたところ、私が望むような製品をつくることは、実は可能なことなのだと気づきました。
ブランド立ち上げの際、重要なインスピレーションとなった要素の一つは、自然の美しさです。それが現在のブランドのモットーである“環境を損なわない製品づくり”につながっています。一方で、自分らしく生きることの自由とパワーを見出した女性たちの美や生き方も、大事なインスピレーションの一つでもあります。そんな女性たちのため、例えば「身だしなみを整える」などの社会的な期待に応える“手間”から彼女たちを解放したいと考えました。ですから、Sansの製品はそのような時間を最小限に抑え、ヘルシーな美しさを手早く実現するため最も有効な成分を多く配合しています。
ブランドとしての私たちの目標は、心身ともに健康であること、いつも気分良く過ごすことができること、そして環境を損なうことなく“より良い生き方”に貢献することです。そのため、製品を作るだけでなく、料理のレシピやビューティルーティン、そして音楽のプレイリストなどをオリジナルに作成したり、”Sans Woman”という注目の女性たちのインタビュー等を包括的に提案する”ウェブジャーナル“も発信しています。
——環境と化粧品という観点からどのような取り組みをしているのか、また始めるに至った理由をお聞かせください。
私たちは、自然と人の健康を守ることを基本に、化粧品を通じて常に社会にアプローチしてきました。そのため、パッケージの廃棄物を最小限に抑え、非常に生分解性の高い原材料を使用し、環境を損なわない成分のみを使用することに重きをおいています。同時に、Sansのいかなる製品にも「フィラー(=つなぎ、充填剤)」と呼ばれる不要な成分は一切含まれていません。ですから、一つひとつの製品は少量で大きな効果を発揮します。
——環境に配慮した成分ということでは、何が一番に挙げられますか?
熱帯雨林を含む耕作放棄地など野生で収穫された原料を重点的に使用しています。また、“カワカワ”といったニュージーランドのマオリ族伝統のハーブもそのうちの一つです。
——製品開発で一番苦労したことは何ですか?
ブランド立ち上げ時点では、製品の性能と自然環境保護の両立が大きな課題でした。ですが、現在は研究所の技術開発が日々進化しているため、天然由来成分の力を最大限に発揮しながら、革新的な製品を生み出す可能性が広がっています。ですから、当初と比較すると今は化粧品開発が大きく進化していると思います。
——ブランド独自の、またはSansが世界初といった環境への取り組みはありますか?
実は今、とても革新的なプロジェクトに取り組んでいるのですが、これについてはまだ現段階ではあまり多くを語ることはできません(笑)。 ただ、一つ言えることは、美容業界で現在進行中の廃棄物問題を解決する新たな手法に関わること、そしてより心地良い使用感をもたらす革新的な製品に関わることだと言っておきましょう。
ヨガする人におすすめのアイテム
Activator 7 Body + Hair + Face Oil
「スポーツをする人におすすめが、1本で全てが完了する「アクティベーター7オイル」です。ジムやヨガレッスンの後のシャワーの時このオイルを最後に使えば、ボディクリームで時間をかけてマッサージしなくても、すばやくうるおいを閉じ込めることができます」とヴィンセント氏。ビタミンA&E、そして植物由来のスクワランオイル等を豊富に配合したリッチなオイルでありながら、テクスチャーはあっさり。フェイシャルオイルとしてはもちろん、妊娠線のケアや毛先の保湿にも応用できる多機能さで、ブランドデビュー以来のベストセラーアイテムでもある。
Nourishing Hair Hydratant Ultra+
「アウトドア派の人におすすめしたいのが、「ナリシング ヘアイドラタン ウルトラプラス」。乾燥して傷んだ髪の補修や、特に海やプールなどで泳ぐ前のヘアプロテクターとして高い効果を発揮してくれます」。使用後の髪がしなやかでまとまりやすくなるクリームタイプのトリートメント。美髪に必要なケラチン等の成分に富み、髪の1本1本を外的刺激から保護してくれる。完全メイド・イン・ニュージーランドの人気の1本だ。
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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