美容賢者が注目するオーガニック化粧ブランドを多数展開|創業34年のおもちゃ箱社の堅実な視点
美しくなることは、地球に優しいことーこれからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
今ビューティーシーンで静かな注目を浴びているドイツ生まれのブランド「マルティナ」や「ソネット」など、肌の安全を求める美容上級者が注目するヨーロッパの気になるブランドを日本で一挙に展開している「おもちゃ箱」社。その社名は、かつて幼稚園の先生をしていたという経歴を持つ創業者の齋藤和彦氏が、教育現場向けに五感や感性を豊かに育てるための自然素材の画材と玩具を輸入し始めたことに由来する。そんな同社はまた、未来を担う子供達のために美しい環境を残したい、との想いから、日本ではまだオーガニックという言葉が定着する以前から、ドイツを中心としたオーガニック先進国ヨーロッパ生まれの環境負荷のかからない化粧品等の取り扱いも始めている。そこで今回は、オーガニック認証の中でも最も厳しい基準を設けている「デメター認証」を受けたブランドにこだわり、日本のオーガニックシーンのリーダー的存在として堅実な取り組みを続ける「おもちゃ箱」社取り扱いブランドの中で最も人気の「マルティナ」について広報の小澤希さんにお話を伺った。
「肌の安全」と真摯に向き合い続けて
---昨今台頭するクリーンビューティーの中でも、「マルティナ」は特に“通受け”するブランドとして注目を集めています。ブランドとして、設立した当初から化粧品を通じて訴えたかったこととは何でしょうか?
「マルティナ」の創設者であるマルティナ・ゲブハルト女史は3歳の時、犬に左ほほを噛まれ大きな傷を負いました。16歳になってもその傷跡は消えなかったため、その治療を手術に頼るのではなく、女史がもともと大切にしていた「自然療法」という哲学に基づいてホームドクターに相談したところ、処方されたクリームをつけ始めたというのがブランドの始まりです。
この傷跡の他に、思春期のにきびにも悩まされていた女史は、ドクターに処方されたウールワックス(ラノリン)とハーブを混ぜたクリームをつけ始ました。すると、半年ほどでニキビが消え、さらに3~4年後には傷跡もほぼ消えたのだそうです。
これら自らの体験によって植物の持つ大きな力を知った女史は、肌と薬草、そして自然療法の研究を始め、1986年にドイツ・バイエルン地方の自然保護区域に「マルティナ」社を創立。以来植物の力を生かし、肌が本来のバランスを取り戻すことをサポートするスキンケアを追及し続けています。
原料に使用されているものは全てオーガニックであることはもちろんのこと、オーガニックの最上級とも言われる「バイオダイナミック農法」で栽培された原料を使用しています。月の満ち欠けに合わせて栽培されるこれらハーブはエネルギーに満ち、さらに月の運行やリズムに沿って製造日を決めることで、防腐剤を用いることなく肌にダイレクトに養分を届けることを可能にしました。「マルティナ」の製品は、このような独自の技術と製造過程を経て、肌と、肌の安全と真摯に向き合い、品質の良い製品を世界各国へ届けています。
---化粧品と環境という視点から「マルティナ」独自でどのような取り組みをしていますか?また、その取り組みを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
まずオーガニック認証の中でも厳しい「デメター認証」を取得しています。そして原料へのこだわりのみならず、製造工程でも環境への負荷をかけないよう配慮しています。
具体的には:
・成分に関して遺伝子組み換えされた品種が増えている作物などは早めに成分変更を行うこと。
・自然素材であっても生分解に時間の要する原料は用いないこと。
・月の運行やリズムに合わせ、乳化剤や防腐剤を用いずに、最もクリームがよい状態で乳化できる日を選んで製造を行う。
・化粧品の品質を保つためにも、ドイツの規則に準じてリサイクル素材として使用可能なガラス素材を本体ボトルに用いていること。
日本では、化粧品類のボトルのリサイクルが難しい場合がありますが、ドイツでは可能です。そのため、「マルティナ」販売店である「コスメキッチン」では、ボトルの回収と再利用活動を既に始めています。
現在はドイツで最も古く美しい修道院のひとつである「ヴェッソブルン修道院」に「マルティナ」社のオフィス兼製造工場を構えています。アルプス山脈の麓に位置するこの広大な敷地には、小川が流れる薬草園があり、静かに流れる時間の中でひとつひとつの製品が丁寧に製造されています。このように、自然のエネルギー、美しい風景、穏やかな時間、全てが「マルティナ」というブランドとその製品の“核”となっています。
---「マルティナ」として成分的に環境に配慮している点は何でしょうか?
全ての成分が自然由来成分であることは前述の通りですが、特に土壌(大地)には並々ならぬこだわりを持っています。この“土壌”から豊かにするという「バイオダイナミック農法」で栽培された植物原料を使用することは、その土壌のコンディションはもちろん、植物の生産者をも守ることにつながると考えています。
---「マルティナ」以外では見られないであろう環境に対するユニークな取り組みはありますか?
生産から加工、包装、流通に至るまで厳しい審査を通った生産物であることを保証する「デメター認証」を全製品で取得しているブランドとしては唯一無二と自負しています。
そして「安全で確実な肌のための成分のみでつくること」に徹底的にこだわり、月の運行やリズムに沿って製造日を決めることで、防腐剤や乳化剤を最小限に抑え、ひいては環境に優しい成分の厳選に繋がっていると考えています。
また、ヴェッソブルン修道院という神聖な場所で、ワークショップや国際交流も開催し、自然環境の魅力や自然を大切にする意識を発信することに繋がっている点もマルティナ女史ならではの発想です。
現在では「オーガニック」という言葉がすっかり定着し、様々なブランドが溢れる日本。その中で今注目を集めるドイツ生まれの「マルティナ」等を扱う「おもちゃ箱」の創業者の齋藤氏は、創業当初からオーガニック認証の最高峰「デメター認証」取得ブランドにこだわり続けると同時に自らも現在田園調布南の本社で養蜂を営むという徹底したオーガニック志向だ。現在はオリジナルブランドの「24ORGANICDAYS」も展開し、今後は日本国内での製品製造を視野に入れているという同社。化粧品にもますます安全性が求められる中、地球にも肌にも安全で健やかな化粧品を、手の届きやすい価格でーそんな齋藤氏とマルティナ女史の想いの共鳴は、今後日本でもさらなる共鳴を呼ぶことだろう。
ヨガやスポーツを楽しむ男性&女性に、「マルティナ」からのおすすめ>>>
●マルティナ シアーナクレンジングミルク
「肌は心や体調を映し出す鏡のような存在で、日々変化するものです。まず、朝晩ご自身の肌にしっかりと触れ、肌トラブルを引き起こさないように整えるために、素肌本来の機能を引き出すような洗顔アイテムを選んでいただくことが重要です」と小澤さん。メイク落とし・洗顔を1本で果たせる処方かつ自然環境や素肌のことを第一に考えたオーガニック成分が、健康美溢れる肌へと導くマルティナのクレンジングミルク。ヨガやメディテーションで自分と向き合う時間を大切にすると同時に、クレンジングを通して自らの肌の“声”を聞いてみて。
●ソネット ウォッシュリキッド
「衣食住の中の「衣」にまつわる洗濯洗剤は、24時間素肌に触れるものを洗う素材なので、思いの外重要なものです。そのため、排水として流された後水を汚染しないものであること、そして肌に触れてもアレルギーなどを引き起こす可能性の少ないものであることが望ましいと考えています」。おもちゃ箱が扱うブランドの一つであるドイツの「ソネット」社の洗剤は、水質汚染に心を痛めた創業者が、自然環境を守るべくオーガニック原料に拘り作り上げた製品として注目を集めている。
「洗剤は全成分表示が義務付けられていない商品カテゴリではありますが、全成分を開示し、まるでスキンケアのように可能な限りオーガニック栽培された植物原料を採用する徹底ぶりが素晴らしいと思います。衣類やタオルが長持ちするという嬉しい面も持ち、ヨガウエアのお洗濯にもおすすめです」。
ライター/横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」やデジタルメディア「VOGUE CHANGE」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く