人と自然の共生から未来の美を生み出すメルヴィータの信念
美しくなることは、地球に優しいことーこれからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
1977年、手つかずの自然環境が残るフランス南東部アルデーシュの田園地帯に移り住んだ生物学者のベルナー・シュビリア博士は、そこに農場を構え、養蜂業を開始した。そして1983年にメルヴィータを設立した彼は、ミツバチの恵みを配合した初の製品“ヘキサゴナル(六角形)ソープ”を作り上げると、オーガニック先進国のヨーロッパ全土で瞬く間に大ヒットに。
「生物学者の観点から、植物はヒトの肌と相性が良いこと、そして自然には、愛を持って接すれば、人の想いに応えてくれるさまざまな顔(=多様性)があることを知っていました。メルヴィータが一つの製品を作るため、世界中から1000種類にものぼる植物を厳選し、ほぼすべての製品にオーガニック認証を取得しているのは、優れた品質の保証であり、地球への尊敬の念の表れなのです」。
ラテン語で、"MEL"は「花の蜜」、 "VITA" は「生命」を意味し、ブランドエンブレムにミツバチのモチーフを冠したメルヴィータ。その製品は、創業当初から世界中の美と健康に敏感な男性&女性に愛され、ここ日本でも根強い人気を誇っている。そこで今回は、シュビリア博士の30年に渡る自然とビューティーとの取り組みを、メルヴィータ ブランド・ゼネラルマネージャーの櫻間史子さんに伺った。
自然との共生を大切にするブランド哲学
ーー昨今は地球にも肌にも安全で優しいことを謳ったクリーンビューティーが続々登場し、もともとナチュラル派だったメルヴィータもその一部と見られる事が多いかと思います。ブランドを設立した当初から化粧品を通じて訴えたかったこととは何でしょうか?
メルヴィータが誕生した1980年代前半は、環境意識が高まりつつあったものの、今のような法的な規制や人々の意識はまだ整っていない状況でした。メルヴィータを創業したベルナー・シュビリアは、オーガニックコスメのパイオニアであり、メルヴィータはフランスの国際有機認定機関“エコサート”認証された最初のコスメブランドのひとつでもありますから、化粧品づくりにおいて、人と自然の共生を重視することは当然のことだと考えています。その上で、化粧品としての効果や心地よさ、そして使いやすさを叶えた化粧品を作ることが、メルヴィータが考えるビューティーブランドとしての在り方だと考えています。
ーー化粧品と環境という視点からどのような取り組みをしていますか?また、その取り組みを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
メルヴィータはミツバチをブランドのモチーフとして採用しています。これは、自然の恩恵を受けながら生態系を繋ぐ役目を担い、自然界になくてはならないミツバチのようでありたいという哲学の表れでもあるのです。
一方でミツバチは環境指標生物とも言われ、きれいな環境でしか生きることができないことから、現在世界中でその姿が減少または消滅しつつあります。私たちはこの事態を非常に残念で危惧すべき問題だと捉えています。
そのための取り組みの一環として、メルヴィータはモロッコのアルガンの森や、工場のあるアルデーシュなどのオーガニック環境での養蜂の支援活動を行っており、ここで製品化されたハチミツは、日本のメルヴィータの店舗でも販売されています。ミツバチを増やして自然環境を保護することは、生物多様性を尊重することであり、ひいては持続可能な未来へとつながるとメルヴィータは確信しています。
ーー成分的に環境に配慮している点は何でしょうか?またその成分を選んだ理由もお聞かせください。
メルヴィータでは「環境ゼロインパクト」な化粧品を目指しています。そのための環境配慮の取り組みのひとつとして、洗い流すタイプの製品の「生分解度(成分が分解されて自然に帰る指標)」を評価しています。現在33点の洗い流すタイプの製品で、28日以内に90%以上の生分解度を獲得しており、自然由来の素材を採用して環境に影響を与えないようにしています。
一部製品に配合された原料—例えば、スクラブに使用しているアルガンの殻や、歯磨き粉に使用しているミネラルなどは粒子が大きいため、28日以内の生分解度が高いとは言えないものもあるものの、自然に残っても全く問題ないものです。このように、メルヴィータの製品の生分解度の高さは、使用する原料によって違います。効果を叶えながら環境負荷の軽減を実現するため、生分解度の低い合成界面活性剤を植物由来の界面活性剤に、シリコーンを植物性樹脂に置き換えるなど、合成成分代替の取り組みを進めています。
ーー環境に配慮しながら化粧品を作る上で、困難なことはありますか?またそれをどう克服しましたか?
オーガニックコスメを作り続けることは挑戦の連続です。メルヴィータで人気のアルガンオイルは、現在世界的な美容意識の高まりとともに市場の需要が高まっており、私たちが必要としている品質の高いアルガンオイルの入手が年々困難になってきています。ですがメルヴィータでは、30年に渡って現地農園との密な関係性やフェアトレードなどに取り組んできたおかげで、自然由来100%のこだわりのオーガニックアルガンオイルを入手できています。
ーー化粧品のブラントとしてはメルヴィータが初というユニークな取り組みはありますか?
メルヴィータ直営店では毎月21日~30日に「ECO10DAYS」として化粧品空き容器の回収を行っており、容器を店頭にお持ちいただくと、100ポイント分のメルヴィータポイントをプレゼントしています。
この取り組みは、2013年から日本の美容業界の中でもメルヴィータが他に先駆けいち早く実施しました。昨年は年間5トン以上も回収し、現在はこの活動をさらに推進したいとの想いから、化粧品の空き容器(スキンケア/メイクアップ製品)であれば、他ブランドの容器も同じように回収しております。こうした活動を含め、メルヴィータは「人と自然の共生から未来の美を生み出すブランド」としての誇りとともに、これからも美と自然のより良い関係を築くための様々な活動に取り組んでいきます。
メルヴィータの故郷であるフランス南東部アルデーシュには現在エコファクトリーが設立されている。約5ヘクタールという広大な土地に23,000種以上の植物が生息し、ここでしか見られない特別な動植物群に富んだこの地は登録自然保護区でもある。そんな特別な地に佇むこのファクトリーは、創業当初からブランドを慕い支えてくれた人々の尽力の賜物であると同時に、シュビリア博士の「素晴らしい自然環境を守りたい」という想いとブランドの決意表明の証でもある。原料生産にとどまらず、資源問題や環境への影響や生態系への包括的な配慮、さらには資源の問題などの取り組みを通じ、蜜の豊富な花々を選ぶミツバチのようにメルヴィータもまた、良質な植物だけを選び抜き、健康的で美しい肌へと導く化粧品を世に送り続けるのだ。
メルヴィータからヨガやスポーツを楽しむ男性&女性におすすめ>>>>>
「秋冬の冷え太り」に着目して開発されたオイルインバームは、これからの季節大注目のボディケアだ。「カフェインの8倍の脂肪分解力を持つピンクペッパーと、脂肪の蓄積を防ぐピンクサンゴモが配合されているので、ボディ肌を引き締めてなめらかでシャープに整えてくれます。ヨガやスポーツの前にお使いいただくと代謝も上がりより効果的です」。
ウイルス対策で手荒れや乾燥が気になるなら、こちらのジェルを。「穀物発酵で得られた植物由来のアルコールを70%配合し、手指を清潔に整えます。ヒアルロン酸を配合しているので、乾燥しにくいのが魅力です。オーガニック認証取得済みで、食事の前などにも気にならない香りなので、オススメです」。持ち歩きに便利なサイズでお出かけやエチケットにも。
ライター/横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」やデジタルメディア「VOGUE CHANGE」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く