毎日の"梅干しひと粒"で、冬の疲れ知らず|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 毎日の"梅干しひと粒"で、冬の疲れ知らず|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-11-20

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。立冬を迎え十一月も後半にさしかかってきました。先日は木枯しだったのでしょうか、良いお天気で台風なわけでもないのに、つよい風が三日ほど吹き荒れました。季節の移ろいなのかなあとぼんやり。また色づいた枯れ葉がしだいに落ちていき、地面にたまったところを見つけて踏んで歩く。そんな小さな楽しみに感謝しながら…私たちの祖先は季節が恵む旬のものを食べ、季節を歌に詠み、季節に沿った緩急のある暮らし方を営んできました。季節と共にある命の感覚、忘れたくないですね。秋が秋らしさを失わないよう、冬が冬らしさを失わないよう…地球や環境のためにそれぞれがそれぞれの場所でできることを小さく積み重ねながら祈るばかりです。

夏から秋、秋から冬へと移ろいの時期には体調を崩しがちになります。前の季節の不調や疲れを引きずったまま次の季節へ移行していくと、その症状はなかなか治りにくいともいいます。なにかおかしいなあ…という部分があれば早めにケアをしていくことが大切です。

疲れが癒える宝のような食材は「梅干し」。みなさんはどの程度梅干しを口にしますか?梅干しのもつクエン酸と塩気は他に類をみないほど素晴らしいと言われ、私たちの体を健康に保つ心強い味方です。そういったことが理屈として判るずっと昔から人々は肌感覚で感じ取っていたのでしょう、梅干しを生活の相棒のようにして大切にしてきました。「梅干しはその日の難逃れ」という言葉もあり、梅干しを食べればその日一日を無事に健康に過ごすことができるともいわれていたほどです。

私も疲れを感じた時には、熱々の番茶に梅干しとお醤油とすり生姜を入れたものを飲んで早く寝るようにしています。そうすると次の日には細胞が入れ替わったかのように元気が体に満ちているのです。習慣づけるなら、朝起きがけに飲むのがおすすめ。梅干しをひとつお湯にとくだけの梅湯でもいいですね。寒い朝、心身共にじんわり温まり、心地よい一日のスタートを切ることができます。また天然の良い塩(自然塩)を使用して作られた梅干しは、心臓の働きもよくしてれるんです。天然の塩に多く含まれるマグネシウムのおかげですね。

最近は梅干しを手作りされる方も多いと聞きます。自分の手で触って育てていく感覚は素晴らしいもの。体に入れる前から「食事」は始まっているのだなあ…とつくづく思います。そういった自家製の醍醐味は捨てがたいですが「なんでも手作りでなきゃ」と肩肘張ってしまってはつらいものでもあります。人それぞれ生活も心の余裕も違いますので、お店で買えるものは買わせていただいて、無理なくつづけられる習慣を手に入れることも大切。焼き梅というものがありますが、これを現代的に言うなら「梅干しタブレット」でしょうか。一日ひとつぶじっくり舐めるだけでも効果があります。梅の力を最大限いただくために、お店で買うときは添加物や白砂糖を使わず梅と天然塩のみで作られたものを選びましょう。

最近、湯治にはまっています。先日訪れた温泉で売られていた手足のツボ押しなどにまつわる養生本には「自分にできることは何か」を常に気にかけて生きることの大切さが書かれてありました。養生の基本は、まさにそのことだと思うのです。季節の巡り、体や心の巡りを静かに観察し、今この瞬間に自分が自分にしてあげられることを常に問い、ささやかに実行していきたいものです。

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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