【秋の食養生】水分の多い食事を気持ち少なめに食べる|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 【秋の食養生】水分の多い食事を気持ち少なめに食べる|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-11-06

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。十一月になりました。食欲の秋、いよいよ本番・・・?と楽しみにされている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は秋こそ小食で過ごすのがぴったりな時期。

確かに「実りの秋」というくらい、さまざまな果実や植物が甘い実をつけ、美味しく感じられる時でもあります。いっぽうで人間の体はというと、エネルギーを思い切り発散させていく夏の開放期を経て、今度は秋から冬へ向け小さく閉じていく収斂(しゅうれん)の時期。そんな時に「沢山食べたい、もっと食べたい」と求めることは自然の運行と逆のことをしているような気がするのです。大切なことは、バランスの取れた少なめの食事から栄養をしっかり摂り、冬に向けて芯から冷えない体を作っていくこと。そうそう、ちょうど今日(11月6日)までが「秋土用」の期間でもあります。土用とは季節や気の移り変わりの時期。この期間は食をやや控えめにし、自然との調和を乱さない食べ方をしていくことが大切です。土用があけてからもここぞとばかりに暴食するのではなく、常に腹八分目を心がけたいものですね。

さて、では一体何をどう食べましょうか。私が今おすすめするのは、「水分の多い食事を気持ち少なめに」いただくこと。湿気のたっぷりあった夏を過ぎ、次第に空気が乾燥し始めるこれからの時期。夜になると「火の用心」の呼びかけで小気味の良い拍子木の音が聴こえてきたりしますね。そんな時期ですので暑くてガブガブ水分補給するなんていうことも自動的に減ってきますし、気がつくと体も乾燥しがちに。体の外側から保湿などのケアをすることも大切ですが、体質を変え、季節に適応した先の長い体を作っていくためには、体の内側からのアプローチが欠かせません。冬の強い空っ風や乾燥にやられない揺るがない体を作るために今から適切な水分を食事で補っていきましょう。

だからと言って一生懸命お水やお茶をガブ飲みする必要はありません。ふだんの調理でひと工夫をするのです。たとえばオーブンで焼いたりカラカラになるまで油で揚げたりして水分を飛ばすような調理法に比べ、昔ながらの日本食は「茹でる、煮る、蒸す」などの水分の多い素朴な調理法をとってきました。あまり意識しないかもしれませんが、和食はこういった調理法を通して知らず知らずのうちに体に必要な水分を摂ることができるようになっているのです。日頃からちょっと意識して、例えばさっと火を入れた青菜のおひたしや蒸し野菜、煮物を食卓に並べるようにしていくだけでもこまめに水分を補うことができます。反対に焦げつくほど焼いたり油べっとりで揚げたりしたものばかり食べているとどうでしょうか。火のエネルギーが強すぎるものを常食していれば体の中から水分が奪われやすくなってしまうことは想像できますよね。

ですから、これからの時期は「食事を通して」水分をうまく摂ることを心がけていきましょう。例えばいつも油と強火で炒めている野菜を、一度蒸してみてください。蒸し器などがなくてもフライパンに少量の水と野菜と塩を入れ、フタをして軽くウォーターソテーするだけでもいいんです。体に入れたときになんとも言えないホクホクした優しさを感じるはず。

そして一番オススメなのはなんと言っても熱々の汁物。水分がたっぷりな上に体が温まるなんて尚嬉しい。和食が好きな方なら塩気を適宜効かせたお味噌汁や、具沢山のけんちん汁。冬は頻繁にお鍋をしてもいいですね。洋風のポタージュやトマトスープでも、韓国風のチゲでも。はたまた麺好きの方は焼きうどんや優しいお出汁のラーメンなど、汁物のバリエーションは沢山あります。時間がないときは野菜たっぷりのスープを作っておけば数日もちますしね(笑)。お好みの汁物を常備食として、これから来る寒さと乾燥の長い季節に備えていきましょう。

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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