日本にインスパイアされて|クロスカルチャーの魅力光る「タッチャ」が大事にする"調和の精神"とは

 日本にインスパイアされて|クロスカルチャーの魅力光る「タッチャ」が大事にする"調和の精神"とは
タッチャ
横山正美
横山正美
2021-10-10

美しくなることは、地球に優しいことーこれからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。

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2000年に入ってから、世界のビューティ業界では日本や韓国など、東洋にインスパイアされた製品やブランドが人気を博している。そんな中、あまたのハリウッドセレブが愛用し、SNSから世界的な人気に火がついたのが、9月に日本に上陸したアメリカ・サンフランシスコ生まれの「タッチャ」だ。創始者の台湾系アメリカ人のヴィッキー・ツァイは、自身のプライベートな京都での体験と日本への愛を、ブランド全体を貫くコンセプトとして全面に打ち出している。古き良き日本文化を正しく踏襲し、外国人から見た日本、という新しい視点から生まれたクロスカルチャービューティ「タッチャ」。そこで、ブランドの歴史と環境への取り組みを、タッチャ ジャパンの岡本典子氏にお話を伺った。 

日本への愛とリスペクトから生まれたブランド

ーー世界的なクリーンビューティームーブメントの中で、日本に着目した「タッチャ」は、早くから海外セレブの間で注目を集めていました。そして2021年9月に満を持して日本に“上陸”しましたが、まずはブランド設立の経緯について教えてください。

創設者のヴィッキー・ツァイ(以下ヴィッキー)は、かつて重度の皮膚炎に悩んでおり、様々な製品を試す中で、日本製のあぶらとり紙の存在を知り、シンプルかつ有効なこの製品に感銘を受けました。そして、あぶらとり紙の業者を訪ねて日本へ向かい、この製品がもともと金箔を作る工程で生まれた台紙であったこと、また芸妓や歌舞伎役者達が化粧道具として利用していることを知りました。同時に芸妓たちの間で伝承されてきた昔からの美容法やお手入れ(椿油、ぬか袋等)があることも、この時初めて知ったのです。

タッチャ
「タッチャ」創設者のヴィッキー(左)京都にて。

2008年の来日時にヴィッキーは初めて京都を訪れ、その時ある観光運転手に出会いました。当時身重で観光もままならなくなった彼女に、運転手自らが京都の美しい風景写真をCDに収め、後日ホテルへ届けてくれるという思いがけないおもいやりを受け、心身ともに癒される体験をします。 この体験こそが、ヴィッキーの日本への愛が芽生えたきっかけでした。

同時に、この旅で出会った椿油、ぬか袋、ふのりなどの数々の自然素材の効果を自らの肌で試したところ、これまでどんな強い処方でも治らなかった皮膚炎がすっかり治癒したのです。これに驚いた彼女は、知人の紹介で出会った日本人のフォーミュレーター・化学者の田川氏に「なぜ日本の自然素材がこれほど肌に効くのか?」と質問をしたところ、日本人の身体を作ってきたこれらの素材が、実は美容と健康に限りない可能性を秘めたパワフルなものであることを教えられたのです。

タッチャ
(右)ヴィッキーとオノデラ氏。(左)ヴィッキーと田川氏。両氏共「タッチャ」の核をなすキーパーソンだ。

この時、自らの肌荒れの原因でもあり、かねてより一般市場に出回るスキンケアの処方の安全性に疑問を抱いていたヴィッキーは、赤ちゃんも妊婦にも安心して使うことの出来る日本の自然由来の素材を使ったスキンケアラインを作ることを決意し、日本で出会ったチームと共に後の「タッチャ インスティテュート」(=タッチャ研究所)を立ち上げました。同時に、東京育ちでサンフランシスコ在住の日本人のオノデラ氏と出会い、スキンケア作りに欠かせない日本の素材探しから文化、そして背景に至るまで、とにかく好奇心の赴くままにリサーチを開始したのです。途中には「一見さんお断り」の京都のお店等へも、何度も通い続けるうちに、芸妓さんや置き屋のお母さん達、更には伝統工芸の職人とも交流が生まれ、さらには1813年に書かれた日本初の美容書と言われる「都風俗化粧伝」からも沢山のことを学びます。 

タッチャ
ブランドのシグネチャー成分、<HADASEI-3™ : ハダセイ-3™>の原料。

開発チームが生み出したブランドのシグネチャー成分<HADASEI-3™ : ハダセイ-3™>は、和食でもお馴染みの日本の優れた素材を、調和と調合を大切にしながら世界に誇る発酵技術を持って作り出されたものです。このオリジナル成分をほとんど全ての製品に配合することによって、パワフルなスキンケアラインが完成しました。

ーークリーンビューティムーブメント発祥の地・アメリカ発のブランドとして、化粧品と環境という視点からどのような取り組みをしていますか? また、その取り組みを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?

日本ではすでに浸透している「もったいない」の精神がきっかけです。資源消費が及ぼす自然界への影響について理解を深めるほど、この美しい地球を決して無駄にしてはならないと気づきました。ブランドとして2025年までに100%再生可能、リサイクル可能、コンポスト可能、レフィル使用を目指しています。以下が具体的な取り組み内容です。

タッチャ
「タッチャ」独自の環境への取り組みは、四季を愛で自然とともに共存してきた日本人の姿勢を踏襲している。

■無駄を減らすことについて
「循環させること」を大切に無駄を極力削減します
・森林管理協議会もしくはそれに同等の組織による認証を得た紙のみを使用
・バージンプラスチックの削減と環境循環システムを構築

■気候変動への対応について
温室効果ガスの「足跡」を減らします
・カーボンフットプリント(商品やサービスのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガス量をCO2に換算した数値)とその他温室効果ガスの排出量を特定する
・運送過程で発生する二酸化炭素とグリーンハウスガスの排出量を抑える

■ソーシング関連の取り組みについて
社会や環境に優しい方法で原料の調達元に配慮しています。 
・社会や環境への影響に配慮しながら、生産初期段階から原料を厳選する
・無駄を減らすために、原料生産過程の隅々まで分析する

ーー製品を通じて、ユーザーに訴えたいこととはなんでしょうか?

創始者のヴィッキーが訴えたいのは、彼女が日本に学んだ調和の心から生み出された「HARMONY FROM SKIN TO SOUL  この肌と、こころに、美しい和を。」という哲学です。スキンケアを通し、肌だけでなく心と調和し、心のお手入れをする事。忙しい毎日の中で、唯一スキンケアをする時間だけが、自分と向き合える時間である事。さらに、スキンケアはセルフケア、ひいてはセルフラブ=自分を愛する事につながるという事。この考え方を伝えたいと思っています。特に日本女性は自分より他人を優先してしまうことを知り、それだけに自分を大切にするセルフケアの時間を大切にして欲しいと思っています。

タッチャ
「HARMONY FROM SKIN TO SOUL  この肌と、こころに、美しい和を。」のスローガンとともに、スキンケアを自らを慈しむ時間だと提唱。

スキンケアのステップの1つ1つに『クレンジングは“きよめる”こと。肌の汚れだけでなく、1日にあった心の不浄を洗い流す気持ちで行う。洗顔は“みがく”。心をみがきながら、肌をみがく。次に“うるおす”。エッセンスで、他の人の為に使ったエネルギーを潤いに変えて、自らの肌を潤すように与える。そして最後は“あたえる”。コクーンに包まれるようにクリームを与え、明日への活力を見出す』という意図を持って行うこと、というブランドとしてのスキンケアとの向き合い方の哲学があります。そのプロセスのお供となるのが、「タッチャのスキンケア」です。

ヴィッキー本人の荒れた肌が治った経験から、日本の古来より継承され、日本人の身体を作って来た米・茶・海藻などの、スーパーフードの力を信じ、妊婦や赤ちゃんにも使える安心できる製品を世界に伝えたいと思っています。

ヨガする男性/女性にお勧めしたいプロダクト

タッチャ ルミナス  デューイー スキン ミスト

タッチャ
タッチャ ルミナス  デューイー スキン ミスト  40ml ¥5,500/タッチャ ジャパン 問い合わせ先:タッチャ ジャパン カスタマーラブ(お客様相談室)0120-302-311 www.tatcha.jp

発酵液とオイルが乳液状になった、発酵液エマルジョンミスト。「タッチャ独自の<米・茶・海藻>の発酵成分コンプレックス<HADASEI-3™ : ハダセイ-3™>をベースに、伊豆大島産椿油をはじめとする3種類の植物オイルと、7種類の植物エキスを贅沢に配合。独自の乳化技術によって、2層が分離する事がないよう安定化し、水分と油分のバランスのとれた霧のような細かいミストを実現させました」と岡本さん。クリームをつくる過程で、偶然生まれたフォーミュラは、5年もの歳月をかけて完成したタッチャが誇る処方だ。軽く振り、顔から15cm程度離してスプレーを。この時、ミストをくぐるように与えると、顔全体にいきわたる。スプレー後の肌をハンドプレスすれば、角質層によりスムーズに潤いが浸透する。「ヨガの前&後に、手軽に。1本で、潤いを与え、保湿もできる、米の発酵液を使ったマルチタスクな乳液ミスト。持ち運びにも便利です」。

タッチャ ライス ポリッシュ 

タッチャ
(左から)タッチャ ライス ポリッシュ クラッシック、ジェントル、ディープ、カミング 各60g  ¥7,700(税込)/タッチャ ジャパン 問い合わせ先:タッチャ ジャパン カスタマーラブ(お客様相談室)0120-302-311 www.tatcha.jp

「古来より受け継がれてきた「米ぬかで肌を洗浄する」という日本人の知恵から着想した弱酸性のパウダー洗顔料です。ジェントル、オイリースキン、センシティブスキン、そしてカミングと肌タイプ別に4種類をラインナップ。タッチャ ライス ポリッシュ カミング以外は、すべて酵素の力で肌をすっきりと洗い上げます。また、パウダーの1/3は食用の米粉を採用しているので、保湿をサポートしながら不要な汚れのみを優しく洗い、清め、磨き上げられたようなつややかな肌へと導きます」と岡本さん。ヨガの後の汗ばんだ肌をスッキリ洗い整えてくれる洗顔料は、肌に優しいからデイリーユースもOK。濡れた手のひらに小さじ1/2程度のパウダーを取り、水を加えてクリーム状の泡を作った後、目の周りを避けた顔全体になじませ、15秒ほどマッサージするように洗浄を。その後ぬるま湯でていねいに洗い流せば、しっとりつややかで毛穴の気にならない肌に

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横山正美

横山正美

ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。



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