食品に含まれる【トランス脂肪酸】ってどれくらい体に悪い？ 使用を制限している国々とその理由は？

トランス脂肪酸とは

世界中で規制がかかるほどのトランス脂肪酸とはいったい何なのでしょうか。

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングなど、私たちの身近に潜む「油」の一種。日本では食品の裏表示を見てもトランス脂肪酸を確認することはできませんが、様々な食品の中に含まれています。

トランス脂肪酸の種類

トランス脂肪酸は大きく分け、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。

●天然に食品中に含まれているもの…バター・牛乳・牛肉など
牛や羊などの反芻（はんすう）動物では、胃の中の微生物の働きによって、トランス脂肪酸が作られます。そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には微量のトランス脂肪酸が天然に含まれています。
●油脂の加工・精製でできるもの…マーガリン・ショートニング・精製油
世界中で注目され危険と言われているのがこの「油の加工・精製」からできる、加工油です。私たちが思っている以上にトランス脂肪酸は食品、特に加工食品の中に含まれています。

トランス脂肪酸とはどんな油脂？

トランス脂肪酸は油を加工する過程で生成されます。
「マーガリン」や「ショートニング」、「精製された油」、それらを含む食品（焼き菓子・パン・揚げ物など）に多く含まれています。

元々は液体である油。「マーガリン」や「ショートニング」はその液体油脂に水素を添加した「水素添加法(PHO)」により、半固形または固形に加工されています。この「水素添加法」をする際に生じるのが「トランス脂肪酸」。天然の油脂にはあまり存在しない特殊な構造をしていて、食品の保存期間や風味の安定性を高めるために作られた人工的な、加工品の油を作る際に生じます。

また、半固形・固形でなくても、安価な油を精製して食品用に加工する際にも生じます。食品表示に書かれている「植物性油脂」の多くががそれにあたります。

マーガリンは市販されているので身近な食品ですが、ショートニングを目にすることは少ないのではないでしょうか。しかしショートニングは、食品表示を見るとよくわかりますが、市販のパンや焼き菓子、洋菓子に多く含まれており、食品業界では当たり前のように使用されている油です。

マーガリンやショートニング、安価な油を触ったことはありますか。自然の油に比べてベトベトし、それを落とす時にも多くの洗剤が必要になります。それらが体内に入り、内臓の管にへばりつく…と考えると少し恐ろしいですね。実際にマーガリンやショートニングは体内に入ると固まりやすく、動物性油脂のように血液の粘土を高め血流を悪くし、結果心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因になることがわかっています。

トランス脂肪酸が含まれている食品

トランス脂肪酸は日本では食品表示に書かれているわけではないため、私たちが意識的に避けるしか方法がありません。「マーガリン」「ショートニング」と表記のあるものはもちろんですが、「植物性油脂」と書かれたものにも注意が必要です。

内閣府の食品安全委員会≪食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価の状況について≫では、以下のような一覧表が掲載されています。

マーガリン…常温でも溶けないような凝固剤として使用。
チョコレートやアイスクリーム…口どけが滑らかな食感になり、チョコレートは溶けにくくなるため、使用しています。
揚げ物…酸化しにくく、サクッと仕上がります。ポテトチップスや市販の調理済みのとんかつやコロッケ、天麩羅、ドーナツなどに使用されています。
焼き菓子…バターのようなコクが出たり、サクッとした食感を出すために使用されています。
ラードや牛脂…動物性油脂はもともと固まってはいるのですが、油脂の脱臭がされています。その脱臭操作にトランス脂肪酸が生成されています。
その他…インスタントラーメンや食品以外にもシャンプー、口紅などにも使用されています。

※トランス脂肪酸については、農林水産省のホームページでとても詳しく掲載されています。気になる方は是非見てみてください。

農林水産省ホームページ【すぐにわかるトランス脂肪酸】

何かと物議を醸し出しているマクドナルドですが、ホームページをみるとしっかりとパーム油と牛脂をブレンドした油を使用していると記載されていたりします。

マクドナルドHP：フライを揚げるのに固形油を使うのはなぜ？
そしてこのパーム油にも注意が必要です。