食品に含まれる【トランス脂肪酸】ってどれくらい体に悪い? 使用を制限している国々とその理由は?
パーム油の危険性
日本でもトランス脂肪酸を減らす試みとして、植物性油脂であるパーム油を代用するメーカーがあります。トランス脂肪酸が減ることは良いことではありますが、同時にパーム油の使用も気を付けなくてはなりません。
パーム油は半固形で無味無臭。もとの色は写真の通り褐色です。使い勝手が良いパーム油は、ショートニングの代用品としても多くの外食産業で使用されています。また、工業用油や化粧品にも使用されている、世界一生産量の多い安価な油です。
パーム油はヘキサンというガソリンに多く含まれ、ベンジンの主成分でもある有害な化学物質に溶かして高温処理し、色と臭みをとる溶剤抽出法で精製され、石油化学物質が含まれます。また、食用として使い物にならないような油にたくさんの添加物を加え、食用として販売されています。にわかに信じがたい事実です。ヘキサンには毒性があるものの、沸点が69度前後と低いため加熱すれば容易に除去できはするものの、毒性のある添加物とされています。
食品の裏側の原料表示を見ても「パーム油」「植物性油脂」としか明記がなく、私たちは油の処理方法までは知ることができません。
パーム油はトランス脂肪酸同様、体内に入ると固まりやすく、動物性油脂のように血液の粘土を高め血流を悪くし、結果心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因へとつながる恐れがあります。
パーム油が使用されている食品は、マーガリンやショートニングの代用ですので、先に挙げたトランス脂肪酸が多く含まれている一覧表と同じような食品になります。
「あぶら」は私たちの身体にはなくてはならないもの
「あぶら」は栄養学的には「脂質」に当たり、脂質 炭水化物 たんぱく質のこれら3つは「エネルギー産生栄養素」と言われ、私たちの生活には必要不可欠な栄養素です。
脂質は、脳・神経系の機能を正常に保ち、体温を維持し臓器を守ります。また、血液やホルモンの材料、肌や髪の皮脂膜、細胞膜の材料の構成など、とても重要な栄養素です。
本来「あぶら(油脂)」は私たちの身体にはなくてはならないものです。
まとめ
日本人は海外に比べトランス脂肪酸を含む油脂食品が少ないため規制がない、などと一部では言われていますが、日本でもトランス脂肪酸の規制に向けての法案がでてきています。食の欧米化や共働きによる外食やトランス脂肪酸を含む油で調理されたお惣菜などの購入の頻度が増え、生活習慣病が年々増えていること、様々な国がトランス脂肪酸に意識を向けていることから見ても、私たちがトランス脂肪酸を意識した食生活をすることはとても大切なことと言えるでしょう。
家庭ではマーガリンやショートニング、牛脂を使用して何かを揚げたりお菓子を作ったりする機会はあまりないため、油の入った食べ物にさほど抵抗感のない方も多いですが、食品業界では賞味期限や食感、価格を重視するために天然の油ではなく人工的な「トランス脂肪酸が含まれた」油脂を多く使用されていることを、身体に気を遣っている方は特に、意識する必要があります。
WHO(世界保健機関)でもトランス脂肪酸の摂取量を「総エネルギー摂取量の1%未満(平均的な日本人で約2g未満)」にするよう勧告しています。まずはトランス脂肪酸を意識してみることから始めてみましょう。
AUTHOR
半田葉子
バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_
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