食品に含まれる【トランス脂肪酸】ってどれくらい体に悪い? 使用を制限している国々とその理由は?


みなさんは「トランス脂肪酸」をご存知ですか?「良く聞くけど、身体に悪いということくらいしかわからない」という方も多いのではないでしょうか。トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなど、私たちの身近に潜む「油」の一種。海外ではトランス脂肪酸にまつわる規制が多くされている中、日本ではまだまだ意識が低く、その危険性について周知されていないことも多くあります。今回はそんな「トランス脂肪酸」について、バウエル腸セラピストでveganパティシエでもある ≪素果子|sugashi≫ 店主、半田葉子さんが解説。パーム油についても触れています。
トランス脂肪酸を制限している国々を知っていますか?
今から15年以上前の2003年、世界保健機関(WHO)は、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の上限量を設定し、総摂取エネルギーの1%に相当する量よりも少なくすることを目標としました。そして2018年5月、トランス脂肪酸を2023年までに世界の食品から一掃することを目指し、段階的な戦略を発表しました。
▷同2018年、アメリカやカナダでは製造過程でトランス脂肪酸ができる≪部分水素添加油脂(PHO)≫の使用が禁止されました。
▷2019年1月にはタイが同じく≪部分水素添加油脂(PHO)≫の使用を禁止。
▷アルゼンチン・中国・サウジアラビアなどでは、包装食品の栄養成分表示にトランス脂肪酸の含有量を表示することが義務付けられています。
▷また、2021年6月より、シンガポールではトランス脂肪酸含有食品が全面輸入・販売禁止になりました。
▷デンマークやノルウェーでは、既に2004年からすべての油脂および包装食品に含まれる人工トランス脂肪酸の量を総脂肪量の2%以下に制限されています。

一方日本はどうでしょう。規制の法案や多くの食品メーカーがトランス脂肪酸の使用を減らす努力はしているものの、他国のような規制やトランス脂肪酸の使用を禁止する規制はありません。
トランス脂肪酸はなぜ身体に悪いの?

▷2003年のWHOの発表ではトランス脂肪酸を摂り過ぎると冠動脈性心疾患のリスクが高まるという研究結果を元にトランス脂肪酸の制限をかけました。
▷また、国連食糧農業機関(FAO)や世界保健機関(WHO)の専門家委員会が2008年にまとめた報告によると、トランス脂肪酸は、動脈硬化などを引き起こし心疾患を発症する危険性を高めるとしています。
▷2009年に日本人を対象にした研究では、トランス脂肪酸の摂取量が高い人ほど腹囲が大きく、血中の中性脂肪、HbA1cが高い傾向があることがわかっています。しかも欧米と比較すると、摂取量が低い年齢層の若い集団でも、トランス脂肪酸との関連がみられました。
このように20年近く前から世界中で使用に制限がかかっていたり、多くの研究がされていることからもトランス脂肪酸が身体に良くはないことは容易にわかりますね。
トランス脂肪酸は脳の神経伝達の邪魔をし、細胞同士の連絡がうまくできずあらゆる病気にかかりやすくなります。多く摂取すると、血中の悪玉コレステロール(LDL)が増加、善玉コレステロール(HLD)が減少するため、そのため心臓病、脳卒中、2型糖尿病などの動脈硬化や心冠動脈性心疾患のリスクを高めるなどの生活習慣病のリスクが高まると言われています。体重増加や記憶力の低下につながることも指摘されています。
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