「人間は生まれながらに美しい」人気番組「クィア・アイ」ジョナサンの言葉に込められた真意とは
人間は、生まれながらに美しい
これを機に、ジョナサンはまるで目覚めかのように“悪い習慣”を全て断つことを決意。すると同時に新たなチャンスも次々と舞い込んできた。もともとエンターテイメントの世界に興味があったジョナサンは友人のエリン・ギブソンとゲイ版『ゲーム・オブ・スローンズ』(2013)を製作したところこれが大当たり。そしてそのスーパーポジティブでユニークなキャラクターはすぐに大物プロデューサー達の知るところとなり、ついに『クィア・アイ』(2016)のオファーが舞い込んできたのだ。
放映開始と同時に番組は全米で大きな反響を呼び、様々なコメントが山のように寄せられた。中でも抜毛症などが原因で髪の薄さに悩む黒人女性のメイクオーバー(変身)を手がけたカンザスシティの回に、ヴァージニアコモンウェルス大学の社会学教授から寄せられたコメントには、彼も思わず感涙でむせび泣いたという。
「(髪が薄くて悩む黒人女性に)こんなに愛情深い心遣いをしてくれるTVパーソナリティは見たことがない」
その卓越したヘアテクニックはもちろん、出会う人全てを幸せにするその笑顔、頭の回転の早さ、そして何より、太陽をもかすめるほど熱くポジティブな“パワー”は、自身の壮絶な人生がもたらした“宝物”だ。
「『クィア・アイ』がスタートした当初は本当に自分のことを話していいのか、と正直躊躇していた自分がいた。同時にもう一人の自分がこう言ったんだ。『でもトランプ政権は自分の大切な“仲間達”(=LGBTコミュニティ)を非難し続けているじゃないか!』と。だから声を挙げてもっとオープンにする必要があるんだと思ったんだ」。そして、自称「美しきHIVポジティブコミュニティのメンバー」はこう締めくくった。
「『クィア・アイ』とは関係なく皆に分かって欲しいのは、人は皆生まれながらに綺麗だということ。誰かに“変身”させてもらう必要なんてないくらいにね」。
プロフィール
Jonathan Van Ness/ジョナサン・ヴァン・ネス
1987年3月28日、アメリカ、イリノイ州クインシーに、代々新聞等のメディアを運営するジャーナリスト家系に生まれ育つ。クインシーシニアハイスクール卒業、アリゾナ大学で政治学を学ぶも中退し、ヘアドレッサーの道を追求すべくアヴェダ・インスティテュートで美容を学ぶ。著書に『Over the Top: A Raw Journey to Self-Love』等がある。
ライター/横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」やデジタルメディア「VOGUE CHANGE」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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