乳がんの発症ピークは更年期世代…新知見!【Q&A】乳腺専門医に聞く「運動で乳がんを予防する方法」

乳がんの発症ピークは更年期世代…新知見!【Q&A】乳腺専門医に聞く「運動で乳がんを予防する方法」
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増田美加
増田美加
2026-10-30

今年、乳がんは9人に1人から、8人に1人がかかるがんになりました。多くのがんは、年齢が上がるごとに増えていきますが、乳がんは妊娠・出産前の若い年代にも発症し、ピークは更年期世代の40代から60代です。新しいガイドラインで明らかになった運動で、乳がんを予防する方法について、乳腺の専門医に聞きました。

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乳がんを早く見つけるコツは?

乳がんを早く見つけるには、何をすればいいのでしょうか?

自分の乳房の普段の状態を知っておくことが大切です。ブレスト・アウェアネス(Breast Awareness)という言葉、ご存じでしょうか。ブレストは乳房、アウェアネスは意識や気づきです。乳房の状態に関心をもって、乳房を意識して生活を送ることです。

普段から自分の乳房の状態を知っておけば、小さな変化にも気づけるようになります。早期の乳がんは、症状を感じないことがほとんどです。痛みや体重の増減など、体の変化はほとんどありません。でも乳房は、手で触れて、形や状態を鏡で見ることができます。

知識を身につけて、乳房を意識して普段の状態を知ること、変化を感じたら迷わず受診することが大切です。

ブレスト・アウェアネスのポイントをお知らせしますね。(島田菜穂子先生)

【ブレスト・アウェアネスのポイント】

  1. 乳房の状態を知るために日ごろから見て、触って、感じること(セルフチェック)
  2. 乳房の変化に気づくこと
  3. 乳房の変化を感じたら、検診を待たずに受診する
  4. 症状がなくても、40歳からは2年に1回はマンモグラフィ検診を受ける

乳房のチェックはどうしたら?

乳房のセルフチェックはどうのようしたらいいのでしょうか?

セルフチェックは、自分でしこりや異常を見つけることではありません。いつもと同じ状態かどうかを把握することがポイントです。

「何が異常なのかわからない」という人がいますが、何も気づかない、異常がわからないというのは、変化がないということです。異常を見つけるより、いつもと同じかどうかを確認する意識でいいのです。

お風呂で体を洗うとき、ボディクリームを塗るときなどに、毎日行う習慣の中でセルフチェックをするのがお勧めです。(島田先生)

乳房チェックの仕方

鏡の前で見るポイント
・左右差はないか
・皮膚の色に変化はないか
・赤く腫れていたり、皮膚が厚く毛穴が目立っているところはないか
・皮膚のくぼみはないか
・ただれたり、ひっぱられたり、へこんでいるところはないか
・乳首をつまんでみて分泌液は出ないか

乳房を触るポイント
・石鹸で洗うときやボディクリームを塗るときに触ってみる
・痛みや違和感はないか
・乳房をまんべんなく触る
・鎖骨やわきの下から背中の方向まで触る
・乳房の下の輪郭まで触る

指の動かし方
・4本指を揃えて、「の」の字を描くようにクルクル動かす
・わしづかみしない
・手を乳房から離さないで、連続してクルクルする

*参考資料:「ブレストケアノート」島田菜穂子著 日本家族計画協会発行

運動は乳がん発症リスクを下げる!

「乳がんは、運動予防できる」と新しいガイドラインに出たのは本当でしょうか?

はい。新しい『乳癌診療ガイドライン2026年第6版』(日本乳癌学会編集・金原出版)では、

「閉経後の女性では、運動が乳がん発症リスクを減少させることは、ほぼ確実である」
「閉経前の女性では、高強度の運動が乳がん発症リスクを減少させることは、ほぼ確実である」

とエビデンスとともに、ステートメントが出されています。

また、「乳がん診断後の身体活動を高く維持することを強く推奨する」とも書かれています。つまり、運動は乳がん発症のリスクを下げてくれるだけでなく、再発予防にも大きな効果があり、特に閉経後の女性ではさらに効果が高いことが証明されているのです。

日常の生活習慣の中で、乳がんが予防できるなら、できることはしたいですね。10月はピンクリボン強化月間です。乳がんへの正しい理解を広め、命を落とす人や悲しい思いをする人がなくなるようなチャリティイベントが全世界で展開されます。チャリティイベントの中でも、ウォーク&ランがよく開催されているのには、わけがあるのです。(島田先生)

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photo/Adobe Stock

どんな運動をすれば乳がん予防になる?

乳がんを予防するためには、どんな運動をどの程度するのがいいのでしょうか? 

閉経後の女性は、週に10メッツ(METs =metabolic equivalents)の運動を行うごとに、乳がんリスクが3%ずつ減少するとされています。メッツとは、安静時に対する運動時の消費エネルギーの比で、身体活動の「強度と時間」で規定されています。

たとえば、1時間あたりのメッツ値は、ウォーキングで3~5、水泳で4~8、ジョギングで7~12に相当します。週に10メッツで乳がん予防効果が証明されているので、ウォーキングなら週に約2時間が目安になります。

また、閉経前の女性の乳がん発症リスクを下げる高強度の運動とは、エアロビクス、サイクリング(時速20㎞程度)、水泳、テニス、ランニングなどです。

しかし、運動をすれば乳がんを完全に予防できるという意味ではなく、定期的な乳がん検診を組み合わせることが大切です。(島田先生)

運動は乳がん予防+更年期症状にもいい

運動は更年期症状の改善にも効果があると聞きますが、本当でしょうか?

更年期の女性に対する運動習慣のメリットは、いくつもあります。

  1. 乳がんの発症や再発予防
  2. 女性ホルモンの低下に伴う抑うつ、意欲低下、不眠、代謝低下に伴う肥満や脂質異常症、高血圧、骨粗しょう症、心血管障害、GSM(閉経関連尿路性器症候群)の予防や軽減
  3. サルコペニア(筋力低下による身体機能低下)やフレイル(加齢に伴う虚弱)の予防
  4. ヘルスリテラシーの向上による検診受診率の向上、病気の早期発見などにもかかわるというデータもあります

身体活動量が多い人ほど、男女を問わず、がん全体の発症リスクが下がるという報告も出ています。(島田先生)

*参考
国立がん研究センターがん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防」
身体活動・運動の推進「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」厚生労働省

早期発見すれば乳がんは治る!

がんの早期発見のためには、何をするのがいちばん、いいのでしょうか?

早期発見のためには、乳がん検診を受けることです。自分で気づいたときには、早期でないことが多いのです。日本では毎年、約10万人の女性が乳がんにかかっています。もう乳がんは他人事ではない時代です。乳がんは、早期発見が何より大切です。

早期に発見できれば、治りやすく、5年相対生存率(5年間生きる確率)は約92%ととても高く、早期の乳がんなら、約98%が治ります。

治療後も、治療前と変わらず元気に活動できて、若い世代の女性なら妊娠・出産も可能な人がたくさんいます。

毎年約9万人の乳がんが発見されますが、そのうち0期~1期の早い段階で発見された人が5万人を超えています。早期で発見された人は、その多くが自覚症状がないうちに、がん検診で発見された人です。0期~1期のはじめなら、抗がん剤をしなくていい可能性も大いにあります。

いまや乳がんは、早期に発見できるがんです。がん検診で早期に発見して、早く治療につなげる。そのことで乳がんは“治る”がんになっています。(島田先生)

 

お話を伺ったのは・・・島田菜穂子(しまだなおこ)先生

ピンクリボン ブレストケアクリニック表参道 院長。NPO法人乳房健康研究会副理事長。1988年 筑波大学医学専門学群卒業。その後、筑波大学付属病院などを経て、東京逓信病院放射線科で乳腺外来開設。1998年~1999年 米国ワシントン大学メディカルセンターブレストヘルスセンター留学。2002年年、日本初、乳がん啓発ランニングウオーキングイベントを開催。2008年より現職。放射線科診断専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、マンモグラフィ読影指導医。乳房超音波診断認定医、日本がん検診診断学会認定医。認定スポーツドクター、健康スポーツ医、東京2020聖火ランナー、サウナ・スパ健康アドバイザー。

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