「麻布台ヒルズがジムになる?」働く街をウェルネスの場に変える、森ビルの新たな挑戦
出勤する、階段を上る、昼休みに広場を歩く。そんな何気ない日常の行動が、健康づくりにつながるとしたら? 森ビルは2026年10月13日、麻布台ヒルズを舞台に、街全体で都市で働く人々のウェルネスの実現を目指す「Hills for Wellness」をスタートした。オフィス街そのものを、働く人々の心と体の健康を支える場所へ。新たな街づくりの取り組みを紹介する。
街全体が「ジム」になる? 麻布台ヒルズで始まった新たな試み
東京・港区の麻布台ヒルズ。高層オフィスビルや商業施設が立ち並ぶ一方、都心とは思えないほど緑豊かな広場が広がるこの街で、ユニークな取り組みが始まっている。
屋外には本格的なトレーニングマシンが設置され、オフィスワーカーたちが体を動かす。ランチタイムには、スーツや仕事着のまま気軽に参加できる体操プログラムも開催。わざわざジムに行く時間をつくらなくても、働く場所そのものが運動の場になるという試みだ。
これは、森ビルが10月13日にスタートした「Hills for Wellness」の第一弾イベント「MOVE MORE WEEK」の一環。10月30日まで、麻布台ヒルズの各所でさまざまな運動プログラムが展開されている。
テーマは「街が、あなたのジムになる。」
忙しい毎日の中で、運動のために時間を確保するのは簡単ではない。だからこそ、通勤や仕事の合間といった日常の延長線上に、体を動かすきっかけをつくろうというのだ。
出勤するだけで運動に。日常の「ついで」を健康づくりに
今回のイベントで提案されているのが「3+1 CHALLENGE」。普段の生活で取り入れやすい3つの運動と、仲間と楽しむ特別プログラムを組み合わせたものだ。
一つ目は「出社する」。麻布台ヒルズでは、最寄り駅からオフィスタワーまでの移動そのものが身体活動になる。説明会では、駅とタワーを往復するだけでも、1日の推奨歩行量の約2〜3割に相当するという説明があった。
二つ目は「階段を上る」。起伏のある地形を生かした麻布台ヒルズには、各所に階段が設けられている。エスカレーターではなく階段を選ぶことも、日々の運動量を増やすきっかけになる。
三つ目は「広場を歩く」。緑豊かな屋外空間を歩き、日光を浴びたり自然に触れたりすることは、心身のリフレッシュにもつながる。ランチタイムに少し外へ出るだけでもいい。
さらに「+1」として、同僚や仲間と一緒に参加できる運動プログラムを用意。肩こりや腰痛など、働く人に多い悩みに着目したオリジナル体操や、ヨガ、トレーニングなどが開催される。


大切なのは、特別な運動習慣を新たに始めることだけではない。すでに行っている日常の動きを、健康につながる行動として捉え直すことなのだ。
健康に関心がない人にも届く「街」という仕組み
森ビルが今回の取り組みで重視しているのは、もともと健康意識が高い人だけでなく、健康にあまり関心のない人にもアプローチすることだ。
健康のためにジムへ通ったり、健康管理アプリを利用したりするのは、ある程度の関心や意欲が必要になる。しかし、街は違う。健康への関心にかかわらず、さまざまな人が毎日訪れ、働き、時間を過ごしている。
そこで今回、日常的に使われる「ヒルズアプリ」を活用。出社や階段の利用、広場での散歩などをスタンプとして記録し、獲得数に応じた特典やワーカー対抗の企画を通して、楽しみながら健康行動を続けられる仕組みを取り入れた。

健康のために何かを「頑張る」のではなく、いつもの生活の中で自然と健康につながる行動が生まれる環境をつくる。そんな発想が、この取り組みの根底にある。
運動だけではない。街全体でウェルネスを実現する
そもそも、森ビルが麻布台ヒルズの街づくりで掲げてきたコンセプトは「Green & Wellness」。
ここでいうウェルネスとは、単に病気ではないことや、身体的に健康であることだけを意味しない。心身が安定し、社会的にも安心して、より生き生きとした人生を目指す、積極的な生き方を指している。
そのため「Hills for Wellness」では、身体活動だけでなく、食事、リカバリー、新しい学び、人とのコミュニケーションなど、多角的な視点からウェルネスを捉えている。
さらに特徴的なのは、森ビルだけで完結する取り組みではないという点だ。
麻布台ヒルズに入居する企業の人事・健康経営担当者が連携する「HRウェルネス推進会」を発足。各社の健康課題や取り組みを共有し、企業の垣根を越えた健康経営を目指す。

また、慶應義塾大学との共同研究も推進。2023年から行われている都市で働く人々のウェルビーイング研究には、これまでに入居企業19社、約1,600人が参加した。働き方や生活習慣が健康状態に与える影響を分析し、その知見を企業や街の取り組みに還元していく。
つまり、街が健康づくりの機会を提供し、企業が従業員の健康を支え、大学がその効果を研究する。三者が連携することで、街全体でウェルネスを育む仕組みをつくろうとしているのだ。
「働く場所」が、健康を支える場所になる未来

健康づくりというと、どうしても個人の努力に委ねられがちだ。運動不足を解消するためにジムへ通う、食生活を改善する、睡眠時間を確保する。もちろん、そうした意識も大切だろう。
けれども、忙しい日々の中で、すべてを個人の努力だけで実現するのは難しい。
だからこそ、働く場所そのものが、自然と体を動かしたくなる場所だったら。外に出て歩きたくなる緑があり、同僚と気軽に運動できる機会があり、健康について考えるきっかけが日常の中に散りばめられていたら。
「Hills for Wellness」が目指しているのは、そんな新しい都市のあり方なのかもしれない。
まずは麻布台ヒルズで実践と効果検証を重ね、成果が確認できれば、将来的には他のヒルズへの展開も検討していくという。
オフィス街は、ただ働くためだけの場所ではない。そこにいるだけで、心も体も健やかになれる。麻布台ヒルズで始まった挑戦は、これからの「働く街」の可能性を示している。
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