臨床心理士ヨガ講師が考える、学校にヨガが必要な理由とは【学校教育にヨガを】前編
最近でキッズヨガを教えるインストラクターや、キッズヨガを取り入れるスタジオも増えています。しかし、欧米のように幼稚園や学校教育の一環にヨガやマインドフルエスが取り入れられるまでにはまだハードルが高いのが現状。そんな中で、「日本の学校教育にもヨガを根付かせたい!」そんな想いを胸に活動する、臨床心理士・ヨガ講師の太田千瑞さんにインタビュー。太田さんが立ち上げた【がっこうヨガプロジェクト】や学校で子どもたちにヨガを教えるために工夫していることなどをシリーズに分けてお伝えしていきます。今回は、太田さんが学校教育にヨガを取り入れたいと思うようになったきっかけについて伺いました。
発達障害の子どもと向き合う中で感じた思い
私がカウンセラーになる前に、学校に支援員として入っていた時期がありました。クラスの4分の1くらいの割合で発達障害の可能性がある子供たちがいたのですが、その中でも印象深かったのが知的障害とADHDの診断を受けていたAくんでした。Aくんのいたクラスは学級崩壊状態で、生徒みんなが混沌とした中にいました。私が専門とするカウンセリングは言葉を介して行われるものですが、子供たちとの関わりには言葉でのやりとりに限界があることも感じていて、Aくんをはじめ、子供たちに私ができるのはどんなことなのかとずっと考えていました。そんな時期に、プライベートでヨガのレッスンを受けに行ったんです。その時に、体がポカポカして心地よいのを感じて。心理療法には体からアプローチする技法のものがあるのですが、ヨガにはそれらの要素が入っていることにも気づき、驚きました。そしてふとAくんのことが思い浮かび、「あの子と一緒にヨガをして、静けさや穏やかさを一緒に感じたい」と思ったんです。その後、心理士として働く同期にその話をしたら、発達に特性のある子供たちを理解する上で大切な【感覚統合】という概念があることを教えてくれました。そこから様々な身体的アプローチを勉強し始めました。そのために、ヨガ講師の資格を取得したり、いろんなスタジオを探してレッスンに通ったりしていましたね。
ヨガの学びを深める中で「ジバムクティヨガ」という流派に出会いました。チャンティング(マントラを唱える)を丁寧にし、毎月のテーマがある中で哲学をしっかりと学べたり、「アーサナは難しいけど完成度は求めない」という姿勢に共感し、夢中になったんです。でも、その時点では授業にヨガを取り入れていくことへの抵抗感もまだ強かったというのも正直なところでした。ヨガインストラクターの資格を取った後は、大人向けにもレッスンしていた時期もありましたが、もともとは子どものためにという思いを決めていたので、その後YOGA Ed.にて子ども向けヨガの学びを深めました。でも、その時点ではまだ「学校でヨガをする」という考えには至らなかったんです。
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