“知る”を一過性で終わらせず、社会に届け続けるために|ツムラが「#OneMoreChoice プロジェクト」に託す思い

“知る”を一過性で終わらせず、社会に届け続けるために|ツムラが「#OneMoreChoice プロジェクト」に託す思い
「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子 画像提供:ツムラ

「生理やPMSのつらさを、我慢しなくていい社会」を目指して2021年から始まったツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」。2025年7月には、生理やPMSの症状そのものだけでなく、それによって日常生活がどのように影響を受けるのかを、体験を通して伝える「違いを知ることからはじめよう展」を開催。12月には、それをWeb上で再現したコンテンツも公開と「#OneMoreChoice プロジェクト」の取り組みは、さらなる広がりを見せています。

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プロジェクトを担うツムラの宮城英子さん、大山尚美さん、松井優子さんへのインタビュー、後編ではイベントを通して見えてきた人々の反応や気づき、そして“知る”を一過性で終わらせず、社会に届け続けるための工夫についてお話を伺います。

#OneMoreChoice プロジェクト
左から:ツムラ コーポレート・コミュニケーション室 コミュニケーションデザイングループ 大山尚美さん、宮城英子さん、松井優子さん

――2025年7月に東京・丸の内で開催された「違いを知ることからはじめよう展」には、4日間で約5,000人が来場。生理痛VR体験装置「ピリオノイド」や生理・PMSに伴う倦怠感を疑似的に体験できるコート[英宮1] など、さまざまな症状による「いつも通りにいかない状態」を疑似体験できるコーナーに行列ができたとお聞きしました。

宮城さん:「違いを知ることからはじめよう展」では、一人ひとりの症状の違いだけでなく、それによって日常生活にどう支障があるのか、という点を可視化することを重視しました。仮に症状が同じでも、それによって日常生活に及ぼす影響の度合いやつらさは人それぞれ違う。それを当事者以外の人たちにも知っていただけるように、ということにこだわって展示を考えました。たくさんの方に来場していただきたいなとは思っていましたけど、想定以上の反響がありましたね。

違いを知ることから始めよう展
「違いを知ることからはじめよう展」会場全景
「違いを知ることからはじめよう展」
「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子

大山さん:うれしい誤算でしたよね。生理やPMSによる症状だけを知ってもらいたいわけではなく、その先にある日常への影響までをセットで見せるというのが工夫した点だったので、そこまで体感していただけたのかなと。とはいえ、このイベントで表現しているのは一例。それがすべてではないというところにも気をつけて発信したつもりです。生理痛VR体験装置の痛みが生理痛そのままというわけでもなく、あくまで倫理上問題のない範囲で疑似的に再現されたものですので、そこは伝え方を間違えないように。表現一つとっても誤解のないように心がけました。

「違いを知ることからはじめよう展」
「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子

宮城さん:さまざまな方とお話しするなかで、興味深いこともたくさんありました。丸の内で働いている男性の方が「職場にも女性が多くおり、職場にいる女性の生理に伴う課題などに対して会社として、自分としてどう対応したらいいのか分からないから、来てみました」とおっしゃっていたりして、症状を知りたいのではなく、その先に自分ができることは何か、ということに疑問を持つ人が増えてきているんじゃないかなと思いました。

松井さん:思った以上に、男性が多かったですよね。夫から誘われて来ましたというご夫婦や、知りたいという気持ちはあってもなかなか言い出せず、このようなイベントがきっかけで参加したという方も。「今まで面と向かって話せなかったことを友人同士で話す機会になった」という感想もありました。男女だけでなく、女性同士での違いなどもイベントを通じての体験から実感してもらえたように思います。

宮城さん:これまで「隠れ我慢」を発信してきて、その言葉に共感してくれる方も増え、少しずつ社会は変わってきているのかなと思ってはいましたけど、それが目に見える形で分かったのが大きかったです。一方、まだ必要な情報が十分に届いていない部分もあるなと。今後も「知られていないことが何か」を議論しながら、活動を続けていく必要があるとも感じました。

「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子
「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子

――2025年7月のイベントの反響を受け、2025年12月18日からはWeb展示の「違いを知ることからはじめよう展」も公開されたそうですね。

宮城さん:イベント後のアンケートやSNSで全国開催を望む声が多くあったので、地域を問わず誰でも見られるよう、実際の体験とは異なりますが、イベントで展示していたコンテンツをWeb上で表現することにしました。企画展は順路があり、理解を深めながら最後に「わたしの#OneMoreChoice」を考えていただく流れでしたが、Web上でもその流れを再現しています。このコンテンツを見たあとに、これまでの活動や調査結果なども見ていただけたらうれしいです。

「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子
Web展示『違いを知ることからはじめよう展』キービジュアル

大山さん:その症状について、同じ会話・同じシーンを登場人物の2人それぞれの視点から読むことができる「心の声が読めるマンガ」や 、一見、“いつも通り”に見える日常の ワンシーンに隠れている、生理・PMS に伴う不調やつらさを「隠れ我慢」 してしまう本音が聴ける「日常の副音声」というコンテンツもご用意しています。企画展と内容は同じですが、構成やデザインを変えてWeb上で見やすくしているのがポイントです。

――お話を聞いていると、お互いの「隠れ我慢」を知り、思いやりを持てるようになればもっと生きやすい社会になるのかなと改めて思いました。

宮城さん:ツムラは漢方の会社として、一人ひとり不調症状が違うという考え方を大切にしています。生理やPMSに伴う症状と言っても、頭痛やめまいなど多岐にわたる症状があり、その違いへの理解が広がれば、他の不調症状で苦しんでいる人たちへの理解にもつながるのかなと。「#OneMoreChoice プロジェクト」は、今後も生理・PMSに伴うさまざまな不調への理解を広げていきたいとも思っています。

大山さん:“隠れ我慢”はどうしてもしてしまうものですし、すべての我慢が悪いわけではありません。成長につながる“良い我慢”ももちろんあります。ただ、この活動を通じて「我慢しなくてもいいんだ」と思っていただける人が増えたらいいなと思っています。多くの方が「周りになかなか言い出せない」「自分の不調を話す機会がない」とおっしゃいますが、意外と隣にいる人に話してみると「私も」と共感してもらえることがあるんじゃないかなと。話したくない方ももちろんいらっしゃると思いますが、誰かに伝えたいと感じている方は不調を一人で抱え込まず、誰かに話してみる。このプロジェクトが、そのきっかけになったらうれしいです。

松井さん:「#OneMoreChoice プロジェクト」のWebサイトでは、「隠れ我漫画」という隠れ我慢しない・させないために役立つヒントを見つけるコンテンツも用意しています。コミュニケーション専門家の監修のもと、さまざまな状況での効果的な伝え方を漫画にしているのですが、周りに伝えづらいと感じたときに、これらのヒントを活用してもらえたらとも思います。天気の話題のような軽い感じで、自分の健康について周りの人と話せる環境が広がることを願っています。

Web展示『違いを知ることからはじめよう展』
Web展示『違いを知ることからはじめよう展』「心の声が読めるマンガ」より

宮城さん:さまざまな症状を抱えているにもかかわらず、周りに伝えられず、無理に我慢している方々に、このプロジェクトのコンテンツや活動を見ていただき、自分がどうすれば我慢に代わる選択肢を取れるのかを考えるきっかけにしてもらえたらうれしいです。我慢に代わる選択肢は一つではなく、一人ひとり違います。正解はありませんが、小さな選択の積み重ねで、少しずつ“隠れ我慢”のない社会が広がっていくのかなと。社内では「草の根活動」「地道」と言われることもありますが(笑)、これからも地道な発信を大切にしながら、他の企業、大学などと協力しつつ、取り組みを続けていきたいです。

*#OneMoreChoice プロジェクトWeb展示はこちらから見ることができます。

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取材・文/吉田光枝

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違いを知ることから始めよう展
「違いを知ることからはじめよう展」
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「違いを知ることからはじめよう展」会場の様子
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