「生理の貧困」広がる支援、生理用品「エリス」を展開する大王製紙「奨学ナプキン」取り組みへの思い

 「生理の貧困」広がる支援、生理用品「エリス」を展開する大王製紙「奨学ナプキン」取り組みへの思い
奨学ナプキン

新型コロナウイルスをきっかけに、経済的な要因を始め、様々な理由で生理用品の入手が困難である「生理の貧困」が知られるようになりました。生理用品「エリス」を展開する大王製紙株式会社では、ひとりひとりの生理に寄り添うプロジェクト「meet my elis」を実施。その中で、生理用品の入手が困難な学生1,000名を対象として、1年間生理用品を無償で提供する「奨学ナプキン」を始めます。その背景にはどのような思いや課題意識があったのか。担当者に話を伺いました。

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生理用品のメーカーとしてできることを。

——「奨学ナプキン」の取り組みを始めた背景には、どのような課題意識があるのでしょうか。

2022年4月に生理用品ブランド「エリス」を大きく刷新し、多様性が尊重される社会の中で、生理に関してもひとりひとりに寄り添うようブランドメッセージをリニューアルしました。そのブランドイメージを体現する取り組みとして「meet my elis」というプロジェクトを開始し、その一環として「奨学ナプキン」を始めています。

学生を対象とした企画である理由は、これからの未来を担う若者の皆さんが、経済的な理由や生理用品が必要なことを保護者に言い出せないなど、様々な理由で生理用ナプキンが買いにくかったり、入手しにくかったりという悩みを抱えていることは、私たちも耳にしていました。ですので、少しでもサポートできないだろうかという課題意識から、奨学ナプキンを行うことにしました。

——社内で問題提起の声はあったのでしょうか。

日常生活を送っているなかで、「生理の貧困」などの話題を目にしたり耳にしたりすることはありますので、「生理用ナプキンを販売しているメーカーとしてできることは何か」と考えた結果の一つとして、このような取り組みに繋がりました。

「奨学ナプキン」について(大王製紙より提供)
「奨学ナプキン」について(大王製紙より提供)

 ——コストの高騰により価格改定を行うものの、生理用品に関しては値段を据え置きにされたとのことでしたが、生理の貧困への課題意識からこのような決定をされたのでしょうか。

新型コロナをきっかけに、日本でも生理の貧困が顕在化しました。そのため、生理用品に関しては他のカテゴリーに比べ、自助努力で可能な限り乗り切りたいと思っているところです。ただし現在、世界情勢も不安定な部分がありますので断言はできないのですが、できる限りは頑張っていきたいと考えております。

ニーズはひとりひとり違う

——数年前に「素肌のきもち」のシンプルデザインがSNS上で話題になりました。一方で奨学ナプキンの対象に含まれてもいる「コンパクトガード」は様々なデザインがあることが印象的です。それぞれどのようなニーズがあったのでしょうか。

生理用品のパッケージや個包装などデザインに関しては、「生理用品とわかりにくい、落ち着いたデザインが欲しい」というニーズがあり、その声を形にした商品が「素肌のきもち 超スリム シンプルデザイン」です。

一方で「憂鬱な生理期間だからこそ、可愛い個包装や華やかなデザインだと、買うときにも気分が上がる」というニーズを反映した商品が「コンパクトガード」です。

今年の春には他の「素肌のきもち」を生理用品ではなかなか見られないような「くすみカラー」の色味にリニューアルしていますし、「コンパクトガード」もデザインと薄さを刷新しました。様々なニーズにお応えできるよう商品を展開しています。

——私もコンパクトガードを利用したことがあるのですが、最初は「こんなに薄いナプキンがあるのだ」と感激しました。

ありがとうございます。外出時に持ち歩くものですので、「かさばらないものが欲しい」というニーズは生理用品に求める声としてありました。また、つけているときに装着感を感じにくいことや、下着や洋服に響きにくいこともニーズとしてあり、改良を進めてきました。

 

「エリス コンパクトガード」(大王製紙より提供)
「エリス コンパクトガード」(大王製紙より提供)
「エリス 素肌のきもち超スリム シンプルデザイン」(大王製紙より提供)
「エリス 素肌のきもち 超スリム シンプルデザイン」(大王製紙より提供)

できることでサポートをし、支援の輪を広げていく

——貴社では世界中の女の子の自立を支援するための「ハートサポートプロジェクト」も行っています。

2018年10月11日の国際ガールズデーから始めており、「世界中の女の子たちの環境について考え、行動するきっかけにしてほしい」という思いで、みなさまの協力を得ながら行っている取り組みです。2020年は新型コロナの影響で活動が難しかったのですが、今年で4回目を迎えています。

2018年と2019年はケニアの女の子のサポートを行い、2021年からはザンビア共和国の女の子のサポートを行っています。背景には、生理用ナプキンを買うことが困難で、不衛生な代用品で感染症リスクを抱える課題があります。生理用品を繰り返し利用できる仕組みが重要ですので、布ナプキンの作製支援を行うコミュニティスペースを設け、作製した布ナプキンの販売によって収入を得る機会を提供しています。

プロジェクトにご協力いただく方法は、Twitterで「エリスハートサポート」のハッシュタグをつけて投稿していただくと、1件の投稿につき、布ナプキン1枚の作製費が支援される仕組みで、今年は上限の5,000件以上のツイートがありました。また今年3月には、渋谷区の宮下公園で開催されたイベントにて「ハートサポートオリジナル支援販売機」を設置しました。500~2,000円の支援をいただき、金額によって布ナプキンの材料費が届けられるもので、お礼としてオリジナルのエコバッグをお渡ししています。

海外への支援と聞くと、遠いことのように感じてしまいがちですが、SNS投稿やイベントをきっかけに知っていただくなど、なるべく身近に感じていただいて、支援活動を広げていけたらという思いで活動をしています。

——最後に、生理の貧困を始め、生理に関することについて今後の課題だと感じていることについてお聞かせください。

そもそも、最近まで生理に関する話題自体が「公にしてはいけない」「話してはいけない」など、話題にしづらいタブー視されているものでした。一方で私たちは「生理のことをオープンに話しましょう」と呼びかけているわけではありません。話したくない人もいますし、悩みを共有したい人もいます。ただ「実は生理に関してこういうことで困っている」「生理に関することで我慢している」といったことが減っていけばという思いで、ひとりひとりの生理に寄り添うことを掲げています。今後も生理用品のメーカーとして、できることがないかを考えていきます。

奨学ナプキンの詳細はこちら⇒https://www.elleair.jp/elis/meetmyelis-shogaku/

 

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雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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