フィットネスの未来を創るミラーフィット代表・黄皓が考える、自己肯定感とウェルビーイング

 フィットネスの未来を創るミラーフィット代表・黄皓が考える、自己肯定感とウェルビーイング
Yugo Numata(Gran)

鏡を通じて、自宅にいながら本格的なトレーニングプログラムを受けられる——10年前なら"遠い先の未来"だったであろうサービスが、今まさに現実のものとして体験できる時代。黄浩さんが経営する企業ミラーフィットが開発する「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」は、まさにその"未来が現実になった"ような次世代型フィットネスサービスです。今回のインタビューでは、その画期的かつ未来的なサービスが生まれたきっかけや魅力、さらには黄皓さんが考える自己肯定感やウェルビーイングの未来について話を伺いました。

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「健康はお金では買えない」ということの本当の意味

−−定額制パーソナルトレーニングジムBESTAや、エステやジムなど美容サービス付きマンションのプロデュースなど、美と健康に関するサービスを次々と展開されてきた黄皓さん。このようなウェルネス事業を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

黄皓さん:潜在的なきっかけとなったのは、幼少期のある出来事です。日本に来たばかりの10代の頃、髪型や服装など見た目の違いを周りに指摘される事があって、それに恥ずかしさを感じて自分に自信が持てなかったんです。でもある日流行りのツンツンヘアにしようと思って床屋に行ったら、うまく希望が伝わらずにしっかりめの角刈りにされてしまって(笑)。ところがこれが「意外と似合うね」と思いがけず周りから好評だったんですね。外見で人から褒められるというこの経験が、いまでも忘れられないほど印象的で、ちょっとした事でも人は自信がつくんだなと感じたことが、人の見た目に興味を持った原体験ですね。

−−かなり若い時から、現在の仕事に繋がるような想いを感じていたのですね。その後、商社を経て起業されたわけですが、そこで具体的に事業をスタートするきっかけがあったのでしょうか?

黄皓さん:商社時代の仕事は直接ウェルネス事業とは関係なかったのですが、忙しさのあまり健康を疎かにしていたら、10kgほど太ってしまったことがありました。少しでも痩せて見えるように着痩せする服装を選んだり、休日に友達と海に行った時はお腹を引っ込めたり、体型にコンプレックスを抱えたままモヤモヤしながら過ごしていたんですね。ちょうどその頃、父が病気で倒れてしまって。父は幸いにも治療をすることはできましたが、「健康だった頃の体に完全に戻るわけではないんだな」「健康はお金では買えないってこういうことなんだな」と痛感し、健康や美容には"投資"が必要なのだと気づきました。これが自分でウェルネス事業を手掛けようと思った、一番のきっかけですね。

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父親が病に倒れたことをきっかけに「”健康はお金では買えない”の本当の意味を痛感した」と話す黄皓さん

−−健康だけではなく美容も、という2つの軸にこだわる理由を教えていただけますか?

黄皓さん:僕自身は「健康だったら、ダサくてもいい」も嫌だし、「お洒落だけど不健康」も違うという考えです。健康で美しくいたいというのは当たり前の欲求だから、その両方を満たせるサービスを作りたいと考えたのが最初です。健康と美容が満たされていると、自分を好きになれる。その近道を作れるんじゃないかと考えました。だから、健康と美容の二つの軸で事業を考えるべきだなと。

自分を好きになることは難しい、だからこそ伴走してくれる存在が必要

−−「自分を好きになる」というキーワードは、ご自身が手がけるパーソナルジムなどでも提言していらっしゃいますね。

黄皓さん:トレーニングを続けるには、モチベーションが必要です。でも残念ながら、モチベーションはとても再現性が低いんですね。だから、スポーツジムをはじめとする"モチベーション依存"になってしまうサービスを、人は続けられないのだと考えています。僕たちが事業を通して実現したいのは、そのモチベーションをサポートすること。何かと言うと、自己肯定感が高い状態を作ってあげるということです。

−−なるほど。ただ、自己肯定感を高い状態にする、というのが難しそうに思えます…。

黄皓さん:確かに、自己肯定感が高い状態を自分一人の力で作り出すのは難しいです。だからこそ、自己肯定感を高めるためには誰かのサポートがあるといいなと。一番簡単なのは、人から褒められること。人から褒められると、やる気が出て続けやすいですよね。

自己肯定感って、例えるなら自転車みたいなものです。幼い頃、自転車に乗れるようになるためには何度も練習するわけですが、始めは補助輪をつけて走りますよね。でもある時、補助輪なしで自走できる瞬間がくる。自己肯定感も同じです。自分だけで自分を認め肯定するのって、最初は難しい。だから「外見的アプローチ」はすごく重要だし有効だと思います。ジムで外見にアプローチするトレーニングをして体型が変わって、それが褒められたりすると、嬉しいからやる気も出るし、モチベーションが高まる。続けられると自信がついて、自分を褒めたくなる。誰かに褒められなくても、自分で自分を褒められたり「いいな」と思えたりする。それが続いて自己肯定感につながるんじゃないかなって。

僕自身も、よく周りから「自己肯定感高いですよね?」と言われますが、僕の自己肯定感は後天的に高まったものです。もともとは自己肯定感が低くコンプレックスも強い人間でした。だけどトレーニングを続けて変われて、人から褒められていく中で自己肯定感が高まっていったという経験があります。自分の努力が誰かに評価されることは、単純に嬉しい。それが重なって自信につながり、"補助輪"が外れても大丈夫な状態になるーーそれが「自己肯定感が高い状態」と言えるのではないでしょうか。よく「ナルシズム」と混同されるけど、それは「ナルシズム」ではなくて「セルフラブ」。人から褒められることに依存せず、自分で自分を常に「いいな」と思えている状態が理想ですね。

そんなふうに、自己肯定感が自走できるように"補助輪"をつけてお手伝いするのが、僕たちの事業であるフィットネスであり、エステであるという考えなんです。

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最初は「褒められて嬉しい」からスタートしてもいい、そこから自走できる状態になるまでお手伝いするのが自分たちの仕事と語る

−−「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」も、同じ考えのもとでスタートしたのでしょうか?

黄皓さん:そうです。自分を好きになれるようにフィットネスをみんなに続けてほしい、そのためにどんなアプローチをしたらいいか?というところから考えました。フィットネスは心にも体にもいいことだと誰もがわかっているのに、日本のフィットネス参加率はたった3%なんです。その理由を考えた時、あることに気づきました。「いざ、ジムに行こう。運動しよう」と思った時に、足を止める瞬間がいくつもあることに。例えば、天気が悪いとか、予約が取れなかったとか、自分の予定が合わない、時間がない、今日ウェアを持ってきていないとか…「ジムに行こうと決めてから実際に足を運ぶまで」の間に、たくさんのネガティブなブレーキが存在するんです。

−−ジムに入会しても続けられないのは当たり前、ということでしょうか?

黄皓さん:そうです。「ジムに行って運動すること、そしてそれを続けること」って、実はいくつもの奇跡が重ならないとできないことなのかもしれない、と考えました。ネガティブなブレーキが効いてしまう瞬間が重なると、せっかく入会してもジムに通えないという人がとても多い。そしてそれは意思の問題ではなく、環境の問題であることが多いんです。だから環境整備が重要だなと考え「破格&通い放題のパーソナルジム」や「ジム付きマンション」のプロデュースなどを手掛けたのですが、コロナ禍になると「ジムという空間自体に行けない」という新しい課題が生まれました。これを解消するにはオンライン化しかないとなったわけです。

ミラーフィット
「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」は、部屋にいながらにして本格的なトレーニングが受けられ、インタラクティブに仲間と繋がれるミラー型フィットネスデバイス。
ミラーフィット
スマートフォンと同様、タッチパネルで操作が簡単なのも嬉しい。

−−なるほど。でもYouTubeだったり携帯のアプリだったりと、他にもオンラインでできるモノはたくさんありますが、なぜ鏡だったんでしょうか?

黄皓さん:既に存在するスマホでのフィットネスは、画面が小さくて見にくかったり、スマホを持ちながらの運動自体が難しいという課題があります。最近ではVRという方法もありますが、こちらはこちらで重い器具をつけての運動となると危ないことも。そんな中、スマートミラーと出会って「これだ!」と思いました。本体の薄さはたったの3cmで、設置は立てかけるだけと簡単。フィットネスをしない時も、鏡なら毎日見るし使いますよね。これならジムを休会してる人たちにもストレスなく使ってもらえるんじゃないかなと。

ミラーフィット
フィットネスをしない時は、鏡として使える。どんな生活空間にもなじむ、ミニマルでスタイリッシュなデザインも魅力。

−−なるほど。部屋に置くだけで鏡としてもデバイスとしても使えるんですね。この「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」、どんどん内容もアップデートしているそうですが、その中で現在黄皓さんが最も気に入っている機能について教えてください。

黄皓さん:まさにそのアップデートできるところが気に入ってます。ネットで繋がったデバイスだからこそ、買って終わりではなく買った後にもユーザーからの声を聞いて、絶えず裏側で更新できるのが最大の強みですよね。こんなコンテンツが欲しいとかこのレッスンが人気とか、ユーザーの声や傾向を取り入れて進化していける、その拡張性が一番の魅力なんじゃないかな。

ミラーフィット
筋トレやヨガ、ピラティス、ストレッチの他、瞑想、ボクシングエクササイズ、ゴルフやバレエまで豊富なカテゴリーから気になるトレーニングをピックアップ。ライブ配信に加え、オンデマンドプログラムは24時間いつでもアクセス可能なので、隙間時間を有効活用できる。

−−普段使っている鏡が多機能になって、しかも進化し続けるんですね。これなら部屋に置いておくだけで、フィットネスが続けられそうな気がしてきます(笑)

黄皓さん:続けられますよ!「続けること」には3つのコツがあると僕は考えています。一つ目は公言すること、二つ目は、自分を甘やかすこと。たった1分でも5分でも続けたということを認めてあげて欲しい。もう一つは、コミュニティに属すること。1人では頑張れない時でもトレーナーや仲間の声が自分を支えてくれます。そして3つ目は「課金すること」なんですが、「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」はこの3つを満たしているんです。実際にネットに繋いでトレーナーと会話しながらとか、同じプログラムを受ける人たちとコミュニケーションしながら…ということができるので、誰かに背中を押してもらったり、トレーナーが引っ張ってくれたりと、続けやすい条件が揃ったデバイスなんですよね。

ミラーフィット
自宅で一流のワークアウトが体験できるだけでなく、トレーナー(インストラクター)や他の参加者とのコミュニケーションもモチベーションに。

「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」は「健康とキレイにつながる"どこでもドア"」

−−そんな「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」が、いよいよ2月から一般販売されますが、今の意気込みを教えてください。

黄皓さん:「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」は応援購入という形で発売されます。なぜ「応援購入」なのか? それは、僕たちは世の中の人が運動に対して感じているハードルを、本気で取り除きたいと思っているので、それを皆さんに支援して欲しいんです。そしてご自身にはもちろん、例えばご家族とか地方にいるご両親とか、身近にいる方にプレゼントしてもらえたら嬉しいですね。これがあればフィットネスだけでなく、大画面で遠く離れたところに住んでいるお孫さんとコミュニケーションできたり、家に1人でいる時でも仲間とやりとりできるから孤独を感じなくて済んだり…。「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」では、「頑張れる環境」だけでなく、コミュニティやコミュニケーションをどんどん提供していきたいと思っています。

−−そのうち一家に一台、スマートミラーという時代が来るかもしれないですね。

黄皓さん:スマートホームとしてスマートミラーが備えられていて、これが健康への入り口となったら嬉しいですね。「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」の前に立てば、体のことをトレーナーと相談できたり、プロのヘアメイクさんにメイクのことも相談できるーーそんな「キレイになるためのどこでもドア」みたいな存在になれたら最高だなと思います。

僕は体を鍛えることって、一度しかない人生を楽しむためには必要不可欠なことだと思っているんです。同じ物事を捉えるにしても、自分の機嫌がいいとポジティブな捉え方ができますよね。だから自分の機嫌を良くするためには、やっぱり健康が大切で、そのためには運動したい。だから、みんながこの運動を日常生活の中で、抵抗なく続けるための仕組み作りをするのが僕の使命だし、そのために「MIRROR FIT.(ミラーフィット)」が役立つといいなと願っています。

黄皓さんプロフィール

黄皓
黄皓さん

1986年生まれ。10代で中国から来日。早稲田大学を卒業後、大手商社での勤務を経て、独立・起業。スマートミラーデバイスを活用したオンラインフィットネスサービスを提供する「ミラーフィット」のほか、サブスク型パーソナルジム・エステを運営する会社、上海を拠点に主にアパレル関係の貿易と物流の会社の3社の代表を務める。Amazonプライムの人気番組『バチェロレッテ』『バチェラー・ジャパン』に出演。

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Text by Satomi Maeda
Photos by Yugo Numata(Gran)

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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