HSPな人の転職活動が進まない本当の理由ー「しんどい」から抜け出す3ステップ
「HSPだとわかった。でも、仕事は相変わらずしんどい」そんなあなたへ。HSP専門のキャリアコンサルタントが「自分が消耗しにくい環境」を知り、働き方を組み立て直していく方法をお伝えします。『繊細な自分のままで賢く生きる』(フォレスト出版)より内容を一部抜粋して紹介します。
HSPとは:アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した「Highly Sensitive Person」(感受性が非常に高い人)という心理概念をもとにした言葉です。刺激や変化を深く受け取り、気持ちも深く動きやすいため、よく考えて行動を選ぼうとする生まれ持った気質のことです。HSPは病気や、性格の欠陥ではなく、神経系の特徴の一つとされています。人口の約30パーセントにみられるとされ、特別な少数派というより、人間の自然な気質のバリエーションの一つです。
転職活動しているのに、進まない…
転職サイトを開く。求人が並んでいる。
でも、どれを見ても「これだ」という感覚がない。
条件を比べようとすると、何を基準にすればいいかわからない。
時間だけが過ぎて、タブを閉じる。
面接に進んだ。「なぜ弊社を志望したか」と聞かれる。なぜか言葉が出てこない。
なんとか答えたが、帰り道に「あれでよかったのか」という感覚が残る。
…これは準備不足でも、意志の問題でもありません。
ここで「行動が足りないんだ」と思い込んで行動量を増やす方がほとんどですが、その状態で行動量を増やしても、ますます疲弊するだけです。
大量行動でも結果が出ない 自分はダメ人間⁉
HSPの神経系は、深く考え、感情が強く動き、細かい変化への反応が止まりません。このような処理が一日中走っている以上、なんなら眠っている間もリアルな夢を見たりして、神経をすり減らす度合いが強い傾向にあります。こうなると、睡眠だけでは取れない疲れもたまります。
消耗したまま、進路について判断しようとすると、だんだん基準がずれていきます。「どこが合うか」ではなく「どこなら早く決まるか」で選びやすくなります。「自分に合う環境」ではなく「とりあえず受かるか」が先になりやすい。この感覚、わかる方は多いのではないでしょうか。
実は、基準がずれてしまうのは、判断能力に劣るとか、HSPだから決断力がないのだ、といった話ではありません。あなたの「状態」が大きく関わっています。
あなたの状態が判断の精度に大きな影響を与えている、ということです。もっというと、回復した状態と消耗した状態では、同じ決断に対しても、出す答えが変わりやすいのです。
逆に言えば、神経の状態が整ってくると、「本当はどうしたいのか」が見えやすくなる、ということでもあります。
以前は考えるだけで重く感じたことに、「ちょっと調べてみようかな」と思えたり、止まっていた感覚が少しずつ前に進むこともあります。
世の中の転職ノウハウ、ココが違う
今の仕事が合わない、と思った時に、ほとんどの人がすることは、転職サイトへの登録ではないでしょうか。ついでに無料相談に申し込むでしょう。あなたも、同じようなことを何度かしたことがあるかもしれないですよね。
転職エージェントからはすぐ連絡が入り、「あなたの強みは何ですか」「得意とか、やりたいことは何ですか」と聞かれるはずです。
しかし、この質問が厄介ですよね。転職を検討しているはずなのに、どんな仕事をどう探したいのか、うまく伝えられずに苦労しているHSPの方に、これまで数えきれないほどお会いしてきました。
みなさんがどんな思いでおられるかというと……。
転職エージェントの方は、悪い人ではないのに、話そうとするとものすごく緊張してしまう。何かを伝えたら、怒涛のように求人情報が送られてくるのかと思うと、複数のエージェントに登録したり、求人を比較して検討するなんてとてもできそうな気がしない。そもそも「何がしたいか」ではなく、「何がつらいか」しか頭に浮かばないし、その話しか喋れないはずです。そんな時に、「あなたにとって、最優先の条件は何ですか?」なんて質問されても、自信を持って答えられず、モヤモヤが募るだけ。
「とりあえず、給与面、ですかねえ…」というのが精一杯かもしれないですね。そして自分に合うのかよくわからない求人がたくさん、送られてくる。2,3日で応募を決めてくれと圧がかかる。
これは、仕事が合わない、と感じている状況を、転職「だけ」で解決しようとしている状態です。あなたに本当に必要な解決から、ズレているのです。
では、ズレていないアプローチとは、何なのでしょうか。
断言します。
HSPが仕事が合わない、と思った時の正しい順番は、こうです。
休息 → 移行 → 設計
この順番は、「ゆっくり生きましょう」という意味ではありません。
回復してくると、本来の行動力や、毎日を楽しむ感覚が戻ってくるでしょう。
「何もしたくない」状態から、「またやってみたい」に変わる。その土台になるのが、休息です。
休息の次に、今の状態から新しい状態に移れる、と確信を持つこと。
その上で、どんな行動をするのか、設計して、行動や努力は、設計した通りに進めるのです。
この順番が守られると、着実に、前に進む感覚が芽生えてきます。
「合う環境を知る」という話も、実は、設計が終えてから活用するものです。自分に合う判断基準や、必要な努力をするために、今の自分が、休息・移行・設計、のうちどこにいるのかを知ること。これが、HSPの働き方を支える一番大きな土台です。
この本の著者…みさきじゅり
HSP専門キャリアコンサルタント・国家資格キャリアコンサルタント。自身もHSS型HSP。日本におけるHSPキャリア支援の先駆者の一人として、2018年より専門的な支援に従事。営業・人事など日系/外資での実務経験を持ち、約30年にわたり心理学・自己理解・キャリア形成を学び続けてきた。これまで延べ数千人のキャリア・転職・人間関係の相談に携わり、「人×環境×神経特性」の相性を重視した支援を行う。自著4冊・累計約3万部。ダイヤモンド・オンラインへの寄稿は今も読み継がれ、新聞・雑誌などメディア取材実績も多数。現在は転職エージェントのキャリアアドバイザーとしても活動している。
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