寝不足の翌日は「血糖値」が上がりやすい?睡眠不足が血糖コントロールに与える意外な影響|医師が解説
睡眠不足は血糖値にも影響を及ぼします。40代、50代はとくに「睡眠時間を削る生活」には注意が必要です。ストレスや自律神経の変化、食欲との関係などについて、医師が説明します。
「昨日あまり寝ていない」だけでも、体の中では変化が起きています
仕事や家事が忙しく、「昨夜は4~5時間しか眠れなかった」ということは、誰にでもあると思います。
「ひと晩くらい寝不足でも、疲れるだけだろう」と考えがちですが、睡眠不足は疲労だけでなく、血糖値を調節する体の働きにも影響します。
特に、睡眠不足が続くと、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が高まり、血糖コントロールが悪くなる可能性があります。
つまり、「寝不足の翌日は、血糖値がいつもより高くなりやすい」ということは、十分に考えられるのです。
ただし、ひと晩寝不足になっただけで、誰でも明らかな高血糖になるという意味ではありません。
大切なのは、「睡眠も血糖値に関係する」ということを知っておくことです。
なぜ睡眠不足で血糖値が上がりやすくなるのでしょうか
食事をすると、血液中のブドウ糖が増えます。
このとき膵臓から分泌されるインスリンが働き、筋肉などの細胞にブドウ糖を取り込ませることで、血糖値は徐々に下がっていきます。
ところが睡眠が不足すると、インスリンの働きが悪くなり、血液中のブドウ糖を処理しにくくなることがあります。
さらに、睡眠不足によるストレスや自律神経の変化なども、血糖値に影響する可能性があります。
そのため、前日の睡眠時間が短かった翌日に、「いつもより血糖値が高い」ということが起こる場合があります。
特に問題なのは、それが一時的な寝不足ではなく、何日も、何週間も続いているケースです。
寝不足の日ほど「甘いもの」が欲しくなる?
睡眠不足と血糖値の関係で、もう一つ知っておきたいのが「食欲」です。
睡眠が足りないと、空腹を感じやすくなったり、高カロリーなものや甘いものを食べたくなったりすることがあります。
例えば、前日に睡眠不足だった翌朝。
「朝から甘いパンが食べたい」「昼食後なのにチョコレートが欲しい」「夕方になるとお菓子に手が伸びる」。
そんな経験はないでしょうか。
寝不足そのものが体の代謝に影響することに加えて、食欲が強くなって食べる量が増えれば、血糖値が上がりやすい条件が重なってしまいます。
「寝不足だから血糖値が高い」と決めつけないことも大切です
一方で、血糖値が高かったからといって、「昨日あまり寝ていなかったからだ」と簡単に決めつけるのもよくありません。
血糖値は、食事、運動、ストレス、感染症、薬、飲酒など、さまざまな要因によって変化します。
また、血糖値が一時的に高くなることと、糖尿病であることは同じではありません。
健康診断などで血糖値やHbA1cが繰り返し高い場合には、睡眠不足だけの問題と考えず、一度きちんと評価してもらうことが大切です。
40代、50代は「睡眠時間を削る生活」に注意
40代、50代になると、仕事や家庭のことで忙しく、「睡眠時間を削って仕事をする」という生活になりやすいものです。
夜遅くまで仕事をして、朝早く起きる。
休日に寝だめをする。
そんな生活が続いている人も少なくありません。
しかし、睡眠不足が慢性化すると、血糖だけでなく、血圧や体重、食欲などにも影響する可能性があります。
特に「最近太ってきた」「血糖値が少し高くなってきた」「日中に眠くて仕方がない」という人は、食事や運動だけでなく、睡眠についても一度振り返ってみるとよいでしょう。
「寝ている時間」だけでなく「睡眠の質」にも注目
睡眠については、単純に「何時間寝たか」だけを見ることもできません。
例えば、毎晩7時間寝ているのに、朝起きても疲れが取れない。
- 大きないびきをかく。
- 夜中に何度も目が覚める。
- 日中に強い眠気がある。
こうした場合には、睡眠時無呼吸症候群など、睡眠の質を低下させる病気が隠れている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり弱くなったりすることで、睡眠の質が低下する病気です。
特に肥満や高血圧、糖尿病などがある人では、こうした睡眠の問題にも注意が必要です。
「十分な時間寝ているのに、昼間眠い」という場合は、一度医療機関に相談してみるのもよいでしょう。
血糖値を気にするなら「食事・運動・睡眠」をセットで
血糖値を改善しようとすると、多くの人はまず食事を考えます。
もちろん、食事は非常に重要です。しかし、それだけではありません。
適度に体を動かすこと、十分な睡眠を取ることも、健康的な血糖コントロールを考えるうえで大切です。
例えば、夜遅くまで仕事をして睡眠時間を削り、翌日は疲れて運動をしない。
さらに、眠気を紛らわすために甘い飲み物やお菓子を口にする。
このような生活が続けば、血糖値にとっては決して良い環境とはいえません。
反対に、できるだけ睡眠時間を確保し、バランスのよい食事を取り、無理のない範囲で体を動かす。
こうした基本的な生活習慣の積み重ねが、長期的な健康につながります。
「忙しいから睡眠を削る」を当たり前にしない
ひと晩の寝不足で健康が大きく崩れるわけではありません。
しかし、「毎日5時間しか寝ていない」「平日は睡眠不足で、休日に寝だめする」という状態が続いているなら、生活を見直す価値があります。
血糖値が気になる人ほど、食事や運動だけでなく、「自分はきちんと眠れているか」にも目を向けてみてください。
「最近、血糖値が少し高くなった」「体重が増えてきた」「甘いものが以前より欲しくなった」「日中に眠気がある」。
こうした変化が重なっているなら、まず睡眠を含めた生活全体を振り返ってみましょう。
健康のために何か特別なことを始める前に、まず「しっかり眠る」。
当たり前のようですが、血糖値を含めた体の健康を守るうえで、睡眠は決して脇役ではありません。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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