ダラダラ歩きは時間の無駄?血管を若返らせるには「歩数」より「歩幅」が重要な医学的理由
適度にしっかり歩くことで、「血管の若返り」に近い効果が期待できるといいます。どんな歩き方が好ましいのか、医師が解説します。
「たくさん歩けば健康」は半分正解、半分間違い
健康のためにウォーキングを始める方は本当に増えました。
ただ外来で意外と多いのが、
「毎日かなり歩いているのに、体力がつかない」
「健康診断の数値があまり改善しない」
という相談です。
実際に歩き方を聞いてみると、かなりゆっくりダラダラ歩きになっているケースがあります。
もちろん、まったく歩かないよりは良いです。
ただ、「歩数だけ」を増やしても、血管や心肺機能への刺激が弱いことがあるんです。
最近は、「何歩歩くか」より、「どう歩くか」が重要だと考えられるようになってきています。
実は「歩幅」がかなり大事
ウォーキングで特に重要なのが、「歩幅」です。
歩幅が狭いままチョコチョコ歩くと、運動強度があまり上がりません。
心拍数も上がりにくく、血流改善効果も限定的になりやすい。
一方で、少し大股を意識して歩くと、下半身の筋肉をしっかり使います。
特に、
・太もも
・お尻
・ふくらはぎ
などの大きな筋肉が働く。
すると血流が良くなり、血管への適度な刺激にもつながります。
血管は「適度な刺激」で若さを保つ
血管というのは、ただ存在しているだけではありません。
実は、血流による刺激を受けながら柔軟性を維持しています。
歩行などの有酸素運動で血流が増えると、血管内皮から、「一酸化窒素」という物質が出やすくなります。
これは血管を広げ、柔らかく保つ働きがあります。
つまり、適度にしっかり歩くことで、「血管の若返り」に近い効果が期待できるんです。
ケース①「毎日1万歩なのに数値が改善しない」60代男性
60代男性で、毎日かなり歩いている方がいました。
歩数計では毎日1万歩以上。
本人も「かなり頑張っています」と話されていました。
ただ、実際には散歩に近いペースで、歩幅もかなり狭かった。
その後、歩幅を少し広げ、「やや息が上がる程度」の速度を意識してもらったところ、
・血圧
・体重
・疲れにくさ
が徐々に改善していきました。
ケース②「買い物歩きだけでは筋力が落ちていた」70代女性
70代女性で、「毎日スーパーまで歩いているから運動不足ではないと思う」という方もいました。
ただ、実際には歩幅がかなり小さく、歩行速度も低下。
結果として、下肢筋力がかなり落ちていました。
高齢者では特に、「歩幅の縮小」が老化サインとして出ることがあります。
歩幅が狭くなると何が起きる?
歩幅が小さい状態が続くと、下半身の筋肉を十分使えなくなります。
すると、
・筋力低下
・転倒リスク増加
・血流低下
につながりやすい。
さらに活動量も低下し、結果として動脈硬化リスクが高まることもあります。
「ゆっくり安全」だけでは不十分なこともある
もちろん、高齢者や持病がある方では無理は禁物です。
ただ一方で、「とにかくゆっくり歩けばいい」というわけでもありません。
特に健康維持を目的とするなら、少し心拍数が上がる程度の刺激は重要です。
会話はできるけれど、少し息が弾む。
そのくらいが一つの目安になります。
歩幅を広げるだけで「姿勢」も変わる
実は歩幅を意識すると、自然と姿勢も改善しやすくなります。
猫背のまま小刻みに歩くより、背筋を伸ばして少し前へ踏み出す。
それだけでも使う筋肉が変わります。
特に、お尻や太ももの筋肉は「血流ポンプ」としてかなり重要です。
「歩数ノルマ」だけでは健康になれない
最近はスマホで歩数管理ができるため、「何歩歩いたか」に意識が向きやすい時代です。
ただ実際には、
・歩く速度
・歩幅
・姿勢
・継続性
こうした要素のほうが大事なことも多いんです。
例えば、スマホを見ながらダラダラ1万歩歩く。
それより、20〜30分でもしっかり歩くほうが体への刺激は大きいことがあります。
医師として感じること
外来でよく感じるのは、「運動量」と「運動の質」は別だということです。
長時間歩いていても、体に十分な刺激が入っていないケースは意外と多い。
逆に、短時間でもしっかり歩けている人は、血圧や体力が安定している印象があります。
血管を守るのは「適度な負荷」
血管も筋肉も、使わなければ衰えます。
ただし、過剰な負荷も良くありません。
大切なのは、「ちょうどいい刺激」を継続することです。
その意味では、「何歩歩いたか」より、「どんな歩き方をしたか」。
こちらのほうが、実は重要かもしれません。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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