【名声が命を奪う】公の注目を浴びる人々の健康リスクと介入の必要性を研究結果が示唆
名声には代償が伴う可能性を新たな研究が示した。
ドイツのヴィッテン・ヘアデッケ大学の研究によると、知名度の高いミュージシャンが、知名度が低いミュージシャンに比べて死亡リスクが著しく高いことがわかった。
知名度の高さが死亡リスクに影響
この研究では、1950年から1990年に活動した比較的知名度の高いミュージシャン324人の公的データを用い、それぞれのミュージシャンに対し、性別・年齢・国籍・民族・音楽ジャンル・ソロ/バンドの区分が同じ知名度の低いミュージシャン324人をマッチングし、分析を行った。分析の結果、知名度の高いミュージシャンはそうでないミュージシャンと比較して死亡リスクが33%高く、平均寿命が4.6年短いことが分かった。知名度の高いミュージシャンの平均死亡年齢は75歳であったのに対し、そうでないミュージシャンは平均80歳だった。
アーティストが音楽チャートに初めて登場した時期を考慮したところ、死亡リスクの上昇は知名度が高まった後に現れることが分かった。これは死亡リスクの変化の背後にある根本的な要因が名声であることを裏付けている。ただし、この研究で用いられた手法では、知名度が直接的な早死の原因であることを証明することはできず、俳優やスポーツ選手など他の職業に当てはまるかどうかも示せない。しかし、統計上十分に明確な差が認められ、何らかの影響があることは示唆されている。
名声がもたらすストレスと健康リスク
研究チームは死亡リスクの差の一因として、精神的・社会的なストレスが関わっている可能性を指摘している。有名であることによって生じる世間からの強い注目やプライバシーの喪失、多くの人々に対して常に高い水準でパフォーマンスを求められるプレッシャーの影響などが考えられる。「こうしたストレスは、心身に苦痛をもたらしたり、健康に悪影響を及ぼす形でのストレス対処行動を招いたりし、ミュージシャンとして元々抱えている職業上のリスクをさらに高める。」と研究者らは述べている。
ソロアーティストはリスクが高め?
また、知名度の影響とは別に、総じてソロアーティストの方がわずかにリスクが高い傾向も示された。バンドやグループという組織的な構造では、対外的な対応などの業務を分担できたり、メンバー同士で感情的・実務的な支えを得られたりすることがリスク差に影響している可能性が示唆されている。
著名人の健康リスク研究は一般の人にも応用できる可能性
「有名でいること、それ自体が24時間体制の仕事だ。」と俳優ビル・マーレイは語った。これまでにも、公演やツアー活動、不規則な生活がミュージシャンの寿命を縮めることは知られていた。しかしこの研究は、元々の職業上の負荷に関係なく、名声そのものが健康を脅かす可能性があることを強く示している。
研究者らは、有名であることは寿命に影響する重要な要素であるとし、今回の研究が公の注目を浴びる立場にある人々に対する適切な健康介入の重要性を浮き彫りにしていると述べている。また、今回観察された死亡率の背景にある仕組みを探る今後の研究の必要性を指摘している。この知見は、有名人自身の健康支援や予防策を考えるうえで役立つだけでなく、有名人は社会的な注目を集める存在であるため、そこで得られた知見や取り組みが世間にも広まりやすい。そこから、一般の人々への健康支援や予防策にも応用できる可能性があると研究者らは述べている。
出典
https://www.uni-wh.de/en/does-fame-cost-lives-study-shows-increased-risk-of-death-among-celebrities
https://www.bbc.com/news/articles/cde6702n4geo
https://www.sciencealert.com/fame-can-cut-years-from-a-singers-life-study-reveals
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