再出発を誓う。粮理家・ウェルネスフードスタイリスト松見早枝子さんの生き方

――そして新たな人生を歩もうと考えるわけですね。
「はい。自分が本当に良いと思っているものを、自分の言葉で伝える。とてもシンプルですが、嘘なく、生きていこうと思いました。そこで、昨年の12月に社名と肩書きを変え、今年初めに、各方面に向けて発表をさせていただきました」

――新しい肩書きについて教えてください。
「これまでは“料理研究家・ビューティーレシピスト”として活動をしてきました。実はこれ、私が付けたものではなく、あるクライアントさんが付けてくださったんです。出版した本も美容を意識したものだったので、特化した方が良いだろうということで。これで約10年やってきましたが、続けていくうちに、そもそも健康とはどういうことかを考えるようになりました。体はもちろん、心も健康でなければ意味がない。だから心が喜ぶ料理、つまり楽しいということも大事なんだと思いました。私の中で体に良い、そして心に良いものを、ずっと続けていこうと。そして心機一転、“粮理家・ウェルネスフードスタイリスト”という肩書きに改めました。まず粮理家の"粮"は「糧」の俗字です。食糧や食物、精神・生活を豊かにし、力づけるもの、という意味があります。このことを理解して料理する者でありたいと考えています」

――ウェルネスフードスタイリストと加えたのはなぜですか？
「体と心のウェルネスに関わる良い食品・商品、例えば調理器具やナチュラルなサプリメントなどをオリジナルでプロデュースしたいという想いがあります。将来的にはサイトを作り、さらにお店を持ちたいという構想もあり、ウェルネスフードスタイリストと加えました」

――ご家族について聞かせてください。
「幸い息子の病気は完治し、現在とても元気な6歳です。やんちゃで頑固。私の小さい頃に本当に似ていますね（笑）。夫とは、ワインを一緒に飲みながら、よく話をします。仕事の細かい話というよりは、もう少し広く、人生について...とかかな。年齢を重ねることで、誰しも苦しい経験はあると思います。夫もそう。家族の辛いことを今後公表するつもりは全くありませんが、本当にいろいろあった数年でした。家族がどん底を味わいながら、自分たちで這い上がっているところ。でも、自分の信念があれば伝わると信じています。今は家族3人で、迷いなく生きています」

――最後に、松見さんが自然な笑顔でいれるときはどんなときでしょうか。
「毎日、ケタケタ笑っていますよ（笑）もともとマイペースで、あまり裏表のない性格。嫌なこともスルーできてしまうタイプなんです。でも特に最近ですね。家族といる時間も、仕事をしているときも、よりたくさん笑うようになりました。もちろんまだスタートしたばかりなので、これから先どうなるかはわかりませんが、とても充実しています。今足りないのは、私が思い描く“休日のダラダラ”ができていないこと。趣味の本を読んだり、差し迫ってはいないけど、興味があることにトライしたり。でも子供がもう少し大きくなってからかなぁ。以前やっていたヨガの再開もしたいですしね。今後はヨガと料理教室を組み合わせた会も企画したい！」

彼女の料理教室に参加した方は分かるはずだ。容姿の美しさはもちろん、進行や話がわかりやすく、要は仕事も美しい。それでいてケタケタと笑いながら、とても温かい女性だ。
今は肩書きなんて必要ないという人も増えたが、彼女は肩書きと向き合い、その名に責任を持って人生を全うしている。そんな考え方もひとつだろう。彼女のそうした美しい姿勢が、確実に信頼につながっている。だから、たとえ彼女が仕事を一度手放そうとも、信じて付いていこうと待ち望んだ方が多いのだろう。スタートラインに立ったばかりの粮理家・ウェルネスフードスタイリスト、松見早枝子さんの今後の活躍に期待したい。

松見 早枝子（Instagram ID: saekomatsumi）
プライベート料理教室：Tronc（トロン）
2003年度ミス・インターナショナル日本代表を経て、料理研究家として活動。
美と健康をテーマとしたビューティレシピストとして、雑誌、テレビ、イベント、講演会、料理教室など幅広い分野で活躍中。食に関するさまざまな資格を有し、食を通じて美しくなる、オリジナリティの高いレシピを提案している。一児の母として子育て中のママや子どもの健康を考えたレシピも多数紹介している。またワインスクールの講師も務めるなどワインに関する仕事も多数。クックパッド「プロのレシピ」に毎月更新でレシピを寄稿中。シャンパーニュメゾン「モエ・エ・シャンドン」初のフードペアリングアンバサダー。

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