健康のつもりが逆効果?体に負担をかけてしまう果物の落とし穴【管理栄養士が解説】

健康のつもりが逆効果?体に負担をかけてしまう果物の落とし穴【管理栄養士が解説】
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「体に良くない果物があるの?」と驚かれる方も多いかもしれませんが、果物はビタミンや食物繊維が豊富で、基本的には体に良い働きをしてくれることが多い食品です。 しかし、一方で、すべての人にとって「良い」とは限りません。健康状態や食べ方によっては、体に負担をかけてしまうこともあります。 今回は、果物に含まれる栄養や体への影響を踏まえながら、「食べ方や、摂取量に気をつけたい果物」について解説します。

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果物って体にいいの?

果物には、ビタミン・ミネラル・食物繊維など、健康維持に欠かせない栄養素が多く含まれています。では、果物の1日の摂取目標量をご存じでしょうか?厚生労働省が策定した「健康日本21(第三次)」では、20歳以上の1日あたりの果物摂取目標量を200gとしています。

1日200g程度の果物を摂取することで、

・脳卒中や冠動脈疾患による死亡リスクの低下

・高血圧、肥満、2型糖尿病のリスクの軽減

・総死亡リスクの低下

といった健康効果が様々な研究で報告されています。つまり、1日200g程度の果物をとることは、健康維持に良い影響を与えるといえるでしょう。

果物摂取量は足りている?

2023年に行われた国の調査によると、現在の日本人の果物摂取量は1日あたり約93g。目標の200gに対して、およそ100g以上不足しているのが現状です。では、果物200gとはどのくらいでしょうか?下記のイラストを参考にしてみてくださいね。

くだもの
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さて、みなさんは普段どれくらい果物を食べていますか?思っていたよりも少なかった、という方も多いのではないでしょうか。果物を食べる習慣がない方や、摂取量が不足している方は、間食を果物に置き換える、食後のデザートとして取り入れるなど、毎日の食卓に、果物をひとつ添えてみませんか。

果物のおすすめの食べ方

柿やりんごが美味しく色づく季節になりましたね。果物は、できるだけ生のまま取り入れるのがおすすめです。ジュースや加工品になると、食物繊維が減ってしまったり、砂糖が加えられていることが多く、糖質の摂りすぎになるおそれがあります。特に缶詰の果物はシロップ漬けのものが多く、糖質が多く含まれているため注意が必要です。そのため、旬の果物は新鮮なうちに、そのまま味わうのが理想的です。特に脂質異常症や糖尿病をお持ちの方は、シロップ漬けの果物やドライフルーツなどを控えることをおすすめします。また、目安量はご紹介したイラストの量とは異なる場合があるため、医師の指導のもとで調整するのが安心です。

果物の量に特に注意が必要な人

果物が体にいいなら、たくさん食べればいいのでしょうか?実はそうではない場合があります。果物にはカリウムが多く含まれており、腎臓に疾患がある方は、医師からカリウム制限の指示が出る場合があります。加熱によってカリウムは減少しますが、果物は生のまま食べることが多いため、医師に確認の上、摂取量に気をつける必要があります。

カリウムの多い果物トップ5

1位 アボカド 590mg

2位 バナナ 360mg

3位 メロン 340㎎~350mg

4位 キウイフルーツ 300mg

5位 ぶどう(皮つき) 220mg 

カリウム
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この他にも、いちじく、いちご、桃、ネーブルオレンジ、ドライいちじく、干しぶどう、干し柿などもカリウムを多く含むので注意が必要です。また、カリウムは生野菜やいも類、海藻類にも多く含まれます。

まとめ

季節ごとにさまざまな味わいを楽しめる果物。1日約200gを目安にとることで、健康維持につながりやすいです。ただし、糖尿病や脂質異常症、腎臓に疾患のある方は、摂取量や食べ方に注意が必要です。体調に合わせて、医師と相談しながら無理のない範囲で取り入れましょう。果物は、栄養を補うだけでなく自然な甘みで心を満たしてくれるうれしい食材でもあります。普段あまり果物を食べない方も、季節の果物を味わうひとときを日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

<参考文献>

厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~果物1日200gのすすめ

八訂 食品成分表 (女子栄養大学出版部)

日本人の食事摂取基準(2025年版)慢性腎臓病(CKD)

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