海外でもその効用が注目されている「森林浴」。発祥は日本って知ってた?

海外でもその効用が注目されている「森林浴」。発祥は日本って知ってた?
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自然の中を歩くだけで、心も体もふっと軽くなるような心地よさを感じる季節です。そんな秋の外歩きにぴったりなのが、日本発祥の「森林浴」。1980年代に長野県で生まれたこの言葉は、いまや世界中で“Shinrin-yoku”として注目を集めています。

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日本発の「森林浴」

秋は外歩きがいっそう楽しい季節です。嘘のような猛暑が過ぎ、気温が下がって紅葉が深まってくると、登山やハイキングなどで自然に触れたいと遠出をする人もきっと増えてくるでしょう。

ところで「森林浴」という言葉は日本発祥だというのをご存じでしたか?

世界有数の森林大国・日本は、国土面積の7割近くを森林が占めています。そんな日本で誰もが知る「森林浴」。なんとこの言葉は、長野県で1980年代に誕生したと言われています。

森林浴について、日本国政府広報のウェブサイトには「人が森へ行き、森と同調(シンクロナイズ)し、快適さを感じることです」とあります。また、人が自然に触れるとリラックスする理由として以下のように書かれています。

人が森に行って快適さを感じるのは、人と自然の長い歴史があるからです。人が人になって600から700万年が経過しますが、多くの人が都市環境で生活するようになったのは、その0.01%以下、産業革命以降の200から300年に過ぎません。人は99.99%以上の時間を自然環境下で過ごしてきたことになります。遺伝子は数百年という短期間では変化できないため、人は自然環境に対応した身体を持ちながら、常に覚醒し過ぎた状態、ストレス状態、病気になりやすい状態で現代社会を生きているのです。

森林浴
photo by Adobe Stock

海外でも注目されている森林浴

気軽に楽しむことができて健康にも良いとあり、この言葉やコンセプトは約40年かけて「Forest Bathing(Shinrin-yoku)」として世界にも広まりつつあります。ここアメリカも例外ではありません。アメリカに住む筆者がForest Bathingがこの国でも注目されていると知ったのは、有力紙ニューヨークタイムズが2018年にTake a Walk in the Woods. Doctor’s Orders.(森の中を散歩しよう。医師の指示です)という記事を発表した後です。この記事を読んだ知人女性が「日本発祥のこんなものが注目されているよ」と、筆者に教えてくれたのです。

記事の中で森林浴は「ストレスに対抗し健康を増進する方法として医師などに受け入れられている」「森林で過ごす時間を診療に取り入れる北米の医師が増えている」と紹介されています。そしてこの記事は、連邦政府が運営する世界最大の医学図書館と言われる合衆国国立医学図書館(NLM)でも参照されています。

アメリカでは最近になり、森林浴に関するさまざまな記事が発信されるようになってきました。最新記事の一つは2025年7月付のナショナルジオグラフィック。この中でも「1980年代に日本で誕生し生理学的・心理学的エクササイズとして定着」「現在ではフィットネスのトレンドであり、メンタルヘルスの向上のためのマインドフルネスの実践としても注目されている」と書かれています。

この記事では森林浴を楽しめるスポットとして「ニューヨーク州アディロンダック山脈」「コスタリカ」「ニュージーランド」「ケニア」「ハワイ」が紹介されています。どれも壮大な景観が売りで、森林浴にはまさに最適なスポットでしょう。一方で、森林浴のためにわざわざ国をまたぐ必要はなく、意外と身近な公園や森、林でも十分に楽しめリラックス効果はありそうです。

最近イライラしたり、ストレスを感じることがあった? そういう場合はしばしの間スマートフォンから離れ、森や公園に出かけて、紅葉の秋を五感で楽しんでください!

参照:

日本森林医学会
長野県
政府広報
The New York Times
National Library of Medicine
National Geographic

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